4月上旬から約3週間にわたり、デロイト トーマツ グループの新人研修「Deloitte Boot Camp(DBC)」が実施されました(一部法人は6月中旬まで任意プログラムを受講)。この研修は、ただ知識を教わるだけではありません。「自分の考えを言葉にしながら成長していく」、プロフェッショナルとしての土台を築いていきます。本記事では、このDBCの集大成として行われた最終講義の様子をレポートします。登壇したのは、グループ CPPO(Chief People & Purpose Officer)である神山 友佑。プロフェッショナルとして成長するとはどういうことか。未来のリーダーたちに送られた熱いメッセージから、その答えの一端を探ります。
新東京ビルの大会場には税務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、コーポレートなど、グループ各社の多様な専門領域に羽ばたく新入職員が、対面で約200名以上、オンラインで約550名が参加。会場は、これからのキャリアへの期待と緊張感が入り混じった、静かな熱気に包まれていました。新入職員たちが取り組むのは、いわゆる基礎研修にとどまりません。ビジネスマナーは当然のことながら、ツールであるExcelやPowerPointにおいてもそれらを駆使していかに戦略的な意思決定を行うか、いかにプロフェッショナルとしてのプレゼンテーションとなるか、という目的のための手法を身に着けます。また、論理的思考、問題解決、仮説構築、IT・情報セキュリティといったテクノロジー領域をはじめ、今年新たに導入された生成AI関連に至るまで、プロフェッショナルファームに求められる実践的なスキルを体系的に習得していきます。
加えて、少人数制で先輩職員と対話を重ねる「Professional Growth Class(PGC)」や、学んだ知識を実務さながらに活かすプロジェクト型演習を通じて、知識のインプットだけでなく、自ら考え、伝え、価値に変える力を養成。プロフェッショナルとしてクライアントに向き合うための土台を、入社直後から高い水準で築いていきます。
CPPO神山はマイクを手に会場を左右へ行き来しながら熱く語り、講義を展開しました。本講義のテーマである「Professionalism」は、デロイト トーマツ グループが育成の中で一貫して重視している価値観の一つ。神山はこれを「プロフェッショナルとしての矜持を持ち、偽りのない本物の成長を続ける」ことだと定義し、この価値観を深く理解し、実践し続けることが研修のゴールであると説きます。そのために今回のDBCでは、新入職員がプロフェッショナルとして常に意識すべき具体的な行動目標として「5つの姿」が設定されていました。それは、徹底的に考え抜く姿勢、スピードと品質へのこだわり、困難な状況でも最後までやり遂げる粘り強さ、仲間と摩擦を恐れず議論する対話力、そして、日々一歩でも成長できたか問いかける内省の習慣など、デロイト トーマツ グループが大切にするプロフェッショナルとしてのあり方を体現するものです。
講義は、中心に立つ神山と、神山を取り囲む新入職員たちとの熱意ある対話で進行します。まず、前述の「5つの姿」を、自身がどのように体現したか、5名の新入職員が自身の経験と成長を発表しました。
たとえば、ある新入職員は「『摩擦を恐れず議論すること』を意識し、相手を尊重しながらも本音でぶつかることに挑戦できた」と語りました。また「『日々問いかける』中で、入社式では学習推奨時間の目安が90分とされる中でも、負けたくないという思いから、毎日180分の学習を継続し、『最後までやり遂げる』ことができた」など、さまざまな想いで振り返る具体的な行動の報告に対し、神山は一人ひとりの言葉に深く頷きながら、こう応じます。
「皆さんのその行動こそが、私たちが大切にしている『デロイト トーマツらしさ』という文化そのものです。」
スキル習得だけでなく、プロフェッショナルとしての「あり方」を重視するデロイト トーマツ グループの育成文化が、この対話を通じてより鮮明になりました。
神山は未来へ羽ばたく新入職員たちへ、2つの力強いメッセージを送りました。
一つ目は、「批判されることを絶対に恐れないでください」。
批判を恐れて防御的になると、人の成長は止まってしまう。批判に対して「なぜそう感じさせてしまったのか」と内省しつつも、鷹揚に構える姿勢こそが、プロフェッショナルとしての成長を加速させるのだと説きます。
二つ目は、「自分の人生は、思いがけない偶然によって形成されていきます」。
キャリアの多くは計画通りに進むのではなく、米国スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ(Krumboltz, J. D)教授の「計画的偶発性理論」が示すように、偶然の出会いや予期せぬ機会から形成される。だからこそ、目の前の機会に本気で取り組む姿勢が、未来の可能性を拓くのだと語りました。
CPPO自らが登壇し、新入職員と直接対話し、未来に向けたメッセージを送る。この講義全体の姿そのものが、デロイト トーマツ グループの育成に対する深いコミットメントを証明していました。
講義の最後に、神山は未来への期待を込めて、こう締めくくりました。
「20年後に、この中の誰かが、自分の言葉で未来の新入職員に語りかけてくれるリーダーに育ってくれたら、私としてはとっても嬉しいです。」
この言葉は、この研修が単なるスキル習得の場ではなく、未来のリーダーを育むための長期的な「種蒔き」であることを示しています。研修はゴールではありません。むしろ、参加者一人ひとりが自分だけの「プロフェッショナル像」を探求し続ける、長い旅の始まりなのです。
真の「プロフェッショナル」とは何か。その問いを、それぞれがこれからのキャリアの中で深めていくのかもしれません。
「プロフェッショナルであること」は、すべての働くひとにとって、ひとつの道標になると思います。すべての職、すべての仕事に従事する誰もが、その道のプロフェッショナルです。皆さんもぜひ、日々の仕事での行動が、「プロフェッショナルとしての自分」としての取り組みになっているか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
その小さな積み重ねこそが、真のプロフェッショナルを育てていくのだと思います。