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「聴くこと」から始まる、半径5メートルの協働・共創

~デロイト トーマツ グループ News Pickup~

毎年3月20日は、世界中の人々の幸福とウェルビーイングを促進するために制定された国連の記念日「国際幸福デー」とされています。デロイト トーマツ グループでは、この日にちなみ、社職員向けにさまざまなイベントが開催されました。

今回は、ゲストにエール株式会社の篠田真貴子氏をお招きし、デロイト トーマツ グループCEO木村研一氏と、ファシリテーターはA&A well-beingリーダーの奥谷恭子氏がお送りする、「聴くこと」から始まるプロフェッショナル、そしてウェルビーイングとの関係について語っていただきました。 

写真:左から奥谷恭子氏、篠田真貴子氏、木村研一氏

Photo by 長津成幸

専門性とインテグリティが支える「プロフェッショナル」

「プロフェッショナルとして自立するために必要なことは?」という最初の問いに、篠田氏は「学問的体系に裏打ちされた高度技能で顧客の依頼に応え報酬を得ること、そして倫理観(インテグリティ)を持って仕事をすること」という本質的な定義を提示されました。

加えて木村氏は、そのインテグリティを軸に「プロフェッショナルたちが気持ちよく働ける環境、思いっきりバリューが発揮できる状態がウェルビーイングでありプロフェッショナルとして力を発揮できる」と口にし、この根幹が揺らいでしまうと個人そして会社組織そのものが揺らぐというようなことになりかねないと言います。

そしてこのバリューを発揮し、ウェルビーイングを実感し続けていくためには「誇りを感じる瞬間」が無くてはならないものです。

「いろんな分野のトップタレントを集めチームを組成しクライアントに価値提供できた時は非常に誇らしい。これこそがバリューだと思っています。」まさに多様な専門家がチームアップした上で価値を届けられたときに、プロフェッショナルとしての誇りが生まれると木村氏は語ります。

写真:左から奥谷恭子氏、篠田真貴子氏、木村研一氏

Photo by 長津成幸

ここで印象的だったのは、「自立」に対する考え方です。篠田氏は、「一人で全部できることが自立だと思われがちですが、それは違う」と指摘します。成功している人ほど、問題に直面した瞬間に「咄嗟に誰に聞けばよいかが5人くらい浮かぶ」といいます。

一人でできることには限界がある。本当にクライアントのニーズに正しく答えるためには、自立を孤立と思わず「相談できるネットワークを多く持つ」ことが重要であり、自分の能力やキャパシティを正しく見積もる知的謙虚さとインテグリティが、プロフェッショナルとしての要素として不可欠だと木村氏も語ります。

さらに篠田氏は、怒りや悲しみといった納得できない感情についても、「自分が大切にしているものに強く触れたサイン」と語ります。つまり、自分の内面の声はおろそかになりがちだが、無視せず状態を把握することもまた唯一無二のプロフェッショナルとしての重要な能力であると言うのです。

卓越した成果を上げる人ほど、単に能力が高いだけでなく、周囲の状況、自身の状態を正確に把握しようとしていることが見えてきます。そして、その把握の出発点にあるのが「聴く」という行為であり、自分を取り巻く内と外、両方の声を「聴くこと」が、ウェルビーイングとも強く結びついているのではないでしょうか。

そしてこの「聴く」姿勢は、個人だけでなく組織変革の現場でも力を発揮します。

カルチャー統合を超える「聴く」実践

デロイト トーマツ グループでは2025年12月に三つのビジネスが統合し、合同会社デロイト トーマツが誕生しましたが、これは多様性のシナジーをどう価値に変えるかが問われる取り組みでもあります。

こうした多様性が価値になる一方、文化や価値観の違いは思わぬ摩擦を生み出してしまうこともあります。それに対し木村氏はこう語ります。「組織や環境が変われば価値観が合わないのは当然にありえます。しかし、どう通じるようにするか考える前に、まずじっくり聴き、理解していくことが大事。違うからこそ理解が深まる。」

篠田氏も、規模感の異なる企業への転職経験で、その制度や文化の違いに戸惑った経験を振り返りました。

「大企業のフレーム経験しかなかった自分にとっては驚くことのオンパレード。でも事実として企業は成長していて、楽しく働いている社員たちがいる。そこには何かメカニズムがあってうまくいっている。そこでじっくり聴いてみるとその構造が見えてくる。構造が見えてきたら、もう大丈夫」。自分が当たり前と考えていたことが当たり前とは言えない世界もあると気づかされたとき、「違い」は排除するものではなく、理解することで価値に変えられる。そのプロセスの中心に「聴くこと」がありました。

また、象徴的なエピソードの一つとして、奥谷氏は大学時代の「合唱のハーモニー」を紹介しました。

「みんな楽譜を見て指揮者に合わせて歌っているから合うはずなのに微妙にずれていたりする。その時先生に『周りがどう歌っているかよく聴くように』と言われたんです。」その時は「なんでだろう」と思いながらも、互いの声や息遣いに耳を澄ませ、自分の出し方を調整していくと音は次第に一体化され、見違えるように美しいハーモニーに変わっていったそうです。

相手の声を聴きながら自分を合わせる、これをお互いに意識して行うことで、ハーモニーの質が不思議と変わってくる。「聴く」というのは仕事でも同じだと語りました。

では、この「聴くこと」を日々のキャリア構築でどう生かすことができるのでしょうか。

Photo by 長津成幸

「聴くこと」でつながりを設計できる人の強さ

キャリアを考えるとき、専門性や成果に目が向きがちですが、持続的に価値を生み続ける人に共通するのは、聴く力を起点に協働できることではないでしょうか。

自分の専門性を孤立させるのではなく、まずは半径5メートルを見渡し、誰かに助けを求めることができること、異なる価値観を理解しようとすること、自分の感情を意思決定のヒントとして扱えること、こうした一見当たり前に思える意識の積み重ねが信頼関係を育て、やがて大きな価値創出へとつながっていきます。

こうして考えてみると、キャリアは直線的な個人競技ではなく、身近な人間関係の中で形づくられる共同作品なのかもしれません。だからこそ「どう伝えるか」の前に「どう聴くか」という視点を磨くことが、結果として最も遠くまで届く力になり得ます。

不確実性の高い時代においても折れないプロフェッショナルとは、「一人で強い人」ではなく、周囲に耳を傾け「ともに強くなれる人」なのかもしれません。

Photo by 長津成幸

Career Platform

デロイト トーマツ グループのキャリアプラットフォーム 「Talent Cross」では、多様なバックグラウンドを持つ仲間との交流や最新情報、学びを通じて、ご自身の経験やスキルの活かし方を発見する機会を提供しています。