不正発覚時の初動対応の一つであるデジタルフォレンジック調査の基本と調査で発生し得る問題及びその回避策について解説する。
不正は、発覚時に全容把握が困難で、事実認定・原因解明に時間を要する。上場企業は規制当局への報告や適時開示が必要であり、不祥事対応は世間の評価も厳しいため、迅速かつ的確な調査・対策が求められる。初動対応は調査の方向性を左右する重要な段階だ。この初動対応の一つに、PCや携帯電話などのデジタル機器に残されたデータを有効な証拠として利用するために収集、保全、分析するデジタルフォレンジック調査がある。本稿ではデジタルフォレンジック調査の初動対応の基本と調査で発生し得る問題及びその回避策について解説する。
デジタルフォレンジック調査の初動対応では以下の3つが重要である。
デジタルフォレンジック調査で生じうる問題は、主に以下のものがある。
上述のような問題を避ける第一歩として、社内のシステム・ツール・デバイスを網羅的に洗い出し、拠点ごとの管理も全社横断で実施することが重要だ。 部門独自で確保しているものや例外運用も含め、全てを管理する必要がある。
データ抽出は、デジタルフォレンジック調査を想定した手順に沿って行うべきだ。定期的な訓練で担当者の習熟度やシステム変更への対応力を高めることが望ましい。
中期的には、訓練で判明した課題を新システム導入時に反映し、初動対応の迅速化を図る。導入後の改修はコストも時間もかかるため、導入時の十分な検討が重要である。
蓄積データの利活用はDX対応にも不可欠だ。システム導入時は、平時と有事両方の利用シーンを具体的にて仕様を検討するべきだろう。
最後に、デジタルフォレンジック調査の初動対応で確認すべきポイントを整理する。
多くの企業にとって有事対応は不慣れなことだ。デジタルフォレンジック調査では、システム部門だけでなくベンダーとの連携も必要になるため、手順を整理し、定期的な訓練を行うことが推奨される。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
フォレンジック & クライシスマネジメント サービス
マネジャー 新谷 和久