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【Corporate as a Serviceプロフェッショナルに訊く Vol.3】多彩な専門人材が前橋に結集。プロフェッショナルたちが語る、チームワークと実行力で挑むコーポレート業務改革

バックグラウンドの多様さと自己研鑽が最強のチームを作る

Corporate as a Serviceの「実働部隊」として活躍する「前橋オペレートセンター」のプロフェッショナルへのインタビュー前編。

優秀な人材が日々の実務に追われ、本来の戦略的役割を発揮できない――。多くの日本企業の経理部門が抱えるこの共通課題に対し、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社(以後、デロイト トーマツ)は2023年、従来型BPOの枠を超えた新たなソリューション「Corporate as a Service」(以後、CaaS)の提供を開始した。本連載では3回にわたり、CaaSを提供するプロフェッショナルたちへのインタビューをお届けする。サービス開始から2年間で蓄積されたナレッジをもとに、企業のコーポレート業務が直面する課題や理想的な姿を、専門家の視点と具体的な支援事例を交えながら解説していく。

第2回は、「Deloitte Tohmatsu Corporate as a Service Operate Center MAEBASHI」(以後、前橋オペレートセンター)で活躍するメンバーに焦点を当てる。前橋オペレートセンターはCaaSの運用の拠点、つまり企業の経理業務の標準化・効率化を担う実働部隊の本拠地だ。メンバーは税理士や経理実務の経験者、異業種からの転職者等、多様なバックグラウンドを持ち、東京で勤務するプロフェッショナルと連携しながらクライアント企業の経理業務を支援している。同センターのプロフェッショナルたちは、日々どのような想いでクライアントの課題解決に取り組んでいるのか。その声を訊いた。
 

インタビュイー


デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター

鈴木/佐藤/小野/岩崎/芝田

 

多様なキャリアパスから集結したメンバーたち


―― 最初に皆さんの自己紹介をお願いします。バックグラウンドや現在の仕事内容、デロイト トーマツに転職を決めた理由も教えてください。

鈴木:
私は生まれも育ちも前橋です。大学卒業後も地元の事業会社に勤務していました。その企業はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を主軸に、多様なアウトソーシングサービスを展開する会社で、人材派遣事業も手掛けていました。私自身は社内の経理業務に加え、クライアント企業のバックオフィス経理業務も担当していました。

そのような中、デロイト トーマツが前橋にオペレーションセンターを新設して人材を募集していることを知り、自身のキャリアとの親和性を感じ、転職を決断しました。現在は複数企業の経理業務代行を担当し、月次・年次決算や連結会計を含めた経理業務全般に携わりながら、業務改善や効率化施策を担当しています。

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター 鈴木

 

佐藤:
私は大学卒業後に新潟の税理士法人で約2年半、会計と税務の実務に従事していました。そこでは中小企業の経理全般と税務申告業務を担当していましたが、前橋オペレートセンターの情報を聞き、「デロイト トーマツでしかできないような高度な専門業務に挑戦したい」と考え、2023年7月に入社しました。

現在は企業の経理業務と物流会社の総勘定元帳(General Ledger)管理を担当しています。具体的にはクライアントが記帳したデータの検証作業や、決算関連書類・税務関連書類の作成等、経理業務全般を手掛けています。

小野:
私の前職は自動車ディーラーの受付事務でした。大学時代には経済学を専攻して簿記の基礎は学んでいましたが、経理実務の経験は全くありませんでした。それでも「前橋オペレートセンターは未経験者も歓迎する」という募集内容に魅力を感じ、挑戦を決意しました。

現在は製造業の固定資産管理業務を担当しており、固定資産に関する伝票起票等、経理業務の中でも特定の領域を担当しています。入社当初は知識不足を痛感する場面も多々ありましたが、チームメンバーのサポートもあり、1年を経た現在では業務を円滑に遂行できるようになりました。

岩崎:
私は2023年11月に入社しました。前職までアパレル業界で17年間勤務し、主に接客業務を担当していました。転職のきっかけは、アパレル時代に抱いた「私たちが創出した売上がどのように経営に活かされているのか」という知的好奇心でした。業務の合間に簿記を取得し、会計の専門性に魅力を感じて前橋オペレートセンターへの転職を決断しました。

現在はデロイト トーマツが開発した会計ソフト「Universal Business Cloud会計」(以後、UBC会計)を活用した経理業務と固定資産のオペレーション維持管理を担当しています。また、統合型ERP(企業資源計画)システムを使用した伝票起票業務も並行しています。

芝田:
前職では群馬県庁の外郭団体に所属し、県内農業従事者への支援事業に携わっていました。その在職中に出産を経験し、子育てと仕事の両立を実現するためには働き方を見直す必要があると判断して退職しました。その後、次のキャリアに挑戦すべくハローワークの職業訓練校で専門知識を習得し、簿記2級の資格を取得しました。

デロイト トーマツへの入社を決めたのは、未経験者にも門戸を開く企業姿勢に強い魅力を感じたからです。現在は全国の自治体の特別会計業務を一部受託し、日次の仕訳処理から月次検査資料の作成、予算編成支援、決算業務の遂行等を担当しています。

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター 芝田

 

専門性は過去の多様な経験から育まれた


―― 皆さん、多種多様なバックグラウンドをお持ちですね。そうした経験は現在の業務にどのように活かされていますか。

岩崎:
アパレル時代は会計の知識も深い理解もありませんでしたが、前橋オペレートセンターで働く中で、初めて現場での売上と会計のつながりを実感できました。アパレル業界での現場経験という「定性的な視点」と会計業務で扱う「定量的なデータ」の両方を経験したことで、より広い視野でクライアントの課題を理解することができるようになりました。

例えば「売場では商品の配置に課題があると感じていたが、会計データからも特定カテゴリの回転率の低さとして数字に現れていた」「店舗スタッフとしては売上低下を接客の問題と捉えていたが、数字を分析すると実は在庫管理や発注タイミングに課題があった」といったことです。

芝田:
私も、県の関連機関にいた経験が今の業務に大いに役立っていると感じています。現在は自治体の業務を請け負っていますが、「組織の中からは変革がなかなか難しい」という独特の空気感を、実体験を伴って理解しています。制度化された伝統的なプロセスには、時代に即した変化や改善を阻む障壁となり得る特性があります。

ただし、そうした環境下でも変革を支援することが私たちの役割です。クライアントの立場や心情に共感しつつも、「このように段階的に変革を進めることが可能ではないか」といった実践的な提案ができることが、私の経験を活かした強みだと考えています。

 

―― 佐藤さんは前職でも会計と税務に携わっていたと伺いました。同じ業務でも、前職とデロイト トーマツでは具体的にどのような違いを感じていますか。

佐藤:
最も顕著な違いはクライアントの規模感です。前職では年商10億円程度の企業が中心でしたが、デロイト トーマツでは1兆円、2兆円規模の企業を担当することもあり、感覚的には1万倍もの差を感じます。この規模感の違いは、会計処理の複雑性やシステムの規模、運用方法の精緻さにも直結しています。

また、前職でもクライアントとのコミュニケーションはありましたが、そこでは一人で経理を担当する方や経営者と直接やり取りすることが大半でした。一方、ここでは経理部長クラス等、組織のより上位層の方々との協働機会が多く、コミュニケーションの質や深度にも大きな違いを感じています。

また、ご相談いただく課題にも違いがあります。前職では会計処理自体よりも「売上向上」や「利益確保」といった全社的な経営課題が大半でした。一方、現在は「経理部門の人員最適化」や「新会計基準への対応方法」等、経理業務の高度化・専門化に関するご相談が多いと感じています。

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター 佐藤

 

変化する経理の役割に応える―専門性をさらに高める自己研鑽の取り組み


―― 皆さんが業務を遂行する上では、会計の仕組みやクライアントの経理・財務部門等への深い理解が不可欠ではないでしょうか。専門性は一朝一夕に身に付くものではありませんが、ご自身のスキルや知識をさらに磨くために、どのような取り組みをしていますか。

鈴木:
今、経理部門に求められる役割は急速に変化しています。従来の会計処理や財務報告の正確性に加え、デジタル変革の推進や業務の標準化・自動化によって、戦略的な意思決定をサポートする機能が重視されています。私自身、これまでは経理の資格取得等、専門知識の習得を中心に行ってきましたが、デロイト トーマツに入社してからはコンサルタントやデジタルの専門家との協働が増える中で、テクノロジーと会計知識を融合させたアプローチの重要性を痛感しています。

基本的なプログラミングや会計システム導入プロジェクトの知識を深め、クライアントに対して、より包括的な価値提案ができるようになりたいと考えています。日々の業務で専門家と接する機会を学習の場として活用し、実践的なスキル向上を図っていきたいです。

佐藤:
私は会計士の勉強を継続していますが、実務においては会計の専門知識だけでは十分ではありません。特にCaaSを提供する上では、会計システムの構造理解やデータ分析能力、業務プロセス設計の知見等も必要です。理論と実務、そしてテクノロジーを横断的に理解することで、クライアントの経営課題に対してより本質的な解決策を提案できると考えています。

小野:
日常業務の中でコンサルタントとクライアントの戦略的なディスカッションに同席する機会がありますが、プロフェッショナルの高度なコミュニケーションスキルや問題解決アプローチを実地で学んでいます。専門的な経理知識をクライアントのビジネス課題と結びつけ、説得力のある形で提案する能力は、テキストでは学べない貴重な学びです。時に自分の知識不足を痛感することもありますが、そうした経験が明確な学習目標を設定する契機となり、より効果的な自己研鑽につながっています。

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター 小野

 

芝田:
私はプロジェクトのリーダーをする機会が増えており、そこでチーム運営のあり方をリアルタイムで学んでいます。また今後、クライアントがグローバルに広がる可能性を見据え、英語力の向上にも注力しています。現在、自分の時間が持てるのは通勤中の自動車の中くらいしかないので(笑)、運転中に英語のラジオを聴くのをはじめ、日常の中に学習機会を意識的に組み込んでいます。
 

「互いに高め合う」という協働アプローチ


―― 次に前橋オペレートセンターの職場環境について伺います。鈴木さんはチームリーダーとしてチームワークをどのように育まれているのでしょうか。

鈴木:
前橋オペレートセンターではクライアント情報の機密保持と対面でのコミュニケーションを重視し、オフィスへの出社を基本方針としています。

前橋オペレートセンター全体では現在約40名のメンバーが在籍し、3名から5名程度の小規模チームが複数編成されています。特徴的なのは、各チームで蓄積された課題解決手法や業務効率化の知見がセンター全体で共有されていることです。例えば「特定の問題に対して効果的だった解決アプローチ」や「業務効率を高める資料テンプレート」といった実践的ノウハウを定期的に共有しています。

こうした“横展開”がスムーズにできるのも、日々の活発なコミュニケーションのおかげです。個人が知識やスキルを向上させるだけでなく、センター全体のケイパビリティを向上させようという共通意識が醸成されていると感じています。

小野:
私も前橋オペレートセンターの「チーム力」を強く感じています。私のチームは5人で業務を分担していますが、それぞれが異なる専門性や経験を持ち、お互いの強みを活かして協力しています。

チーム内で定期的に持つミーティングでは、各自の課題や学びを共有する時間があり、直接関わっていない案件からも学ぶことができます。こうした日々の小さな交流の積み重ねが、相談しやすい風土を作り、何か悩みがある時にはさまざまな経験を持つ人に気軽に相談できる環境につながっていると感じています。

岩崎:
私はこのメンバーの中で在籍期間が一番短いのですが、入社当初から新人が溶け込める環境を全員が作り出していると感じました。特に印象的だったのは、センターのメンバー全員が「分からないことは遠慮なく質問してください」という姿勢を持っていたことです。

新人が緊張せずに溶け込めるよう、一人ひとりが意識的に声を掛けてくれたり、業務の進め方を丁寧に説明してくれたりと、働きやすい環境作りを心掛けてくれていました。そうした経験があったからこそ、今は私よりも後に入社してきた方々に対しても、同じように接することができています。業務で発生するちょっとした疑問や「自分なりに調べてみたけれど、これで合っているか自信がない」といったことも、気軽に同僚に確認できます。身近な仲間からすぐにアドバイスをもらえる環境は、日々の業務を進める上で非常に心強いサポートになっています。

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社 CaaSオペレートセンター 岩崎

 

―― チームの編成はどのように決めているのですか。一人が常時いくつぐらいの案件を担当しているのでしょう。

鈴木:
それは各案件のボリュームで異なります。負荷が高い案件の場合は、それだけに集中してもらうこともありますし、比較的シンプルな起票作業や経理処理の一部であれば、2社ないし3社と掛け持ちする場合もあります。また、入社歴の浅いメンバーの場合、最初は一つの案件に集中して経験を積んでもらうことが多いです。

チームリーダーとしては、メンバーそれぞれの経験や強みに合わせて業務を割り当て、各人ならではの強みを発揮できるようにしています。本センターのメンバーは実際に手を動かす場面が多いので、どうすればみんなが止まらずに前に進められるかを常に心掛けています。また、CaaSは東京(丸の内二重橋ビルディング)を拠点とするプロフェッショナルと緊密に連携していますから、私たちだけで対応が難しい状況になっても、専門家の視点で解決を後押ししてもらえます。(後編に続く)

後編はこちら

【Corporate as a Serviceプロフェッショナルに訊く Vol.4】

Corporate as a Serviceの「実働部隊」として活躍する「前橋オペレートセンター」のプロフェッショナルへのインタビュー後編。

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