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Comfort Zoneを越えた先にある、グローバルキャリアの価値

~デロイト トーマツ グループ Event Report~

日系企業の海外進出が本格化した時代から、「グローバル化」は企業経営だけでなく、人材育成においても重要なテーマであり続けてきました。さらに、現在の企業におけるグローバル化という概念は、単に「海外で働くこと」だけを意味しません。異なる国や地域にまたがるだけでなく、価値観、専門性、働き方の違いを前提に協働し、その中で成果を生み出す力が求められる時代です。

今回は、日系企業の海外事業を支援するデロイト トーマツ グループの専門サービスJSG(Japanese Services Group)メンバーとして、海外から帰任したメンバーと、これから赴任するメンバーが集い、それぞれの想いをつなぐ場として設けられた「JSG Welcome Home Meeting & 赴任者壮行会」のイベントレポートから、真のグローバル人材としてどのような役割が求められているのか考察します。

JSGとは何か ―日系企業の海外展開を支えてきたユニークなネットワーク

そもそもJSGとは、日系企業の海外進出や拠点設立、現地での事業展開を支援するため、1975年に発足した専門組織です。その原点には、デロイト トーマツ グループ創業期のリーダーたちが抱いた強い問題意識がありました。

戦後、欧米の会計監査業務の実態に触れた先人たちは、日本の会計システムや監査法人の水準を国際的な水準へ引き上げ、日系企業の世界進出を支える本格的な国際ファームでなければならないと考えました。1968年のデロイト トーマツ グループの源流である「等松・青木監査法人」設立間もないうちにTouche Rossと提携、翌年には海外駐在員派遣を開始しました。当時は日本の会計監査制度や日系企業の海外でのプレゼンスも高くなく、現地ファームと対等な関係を築くのは容易ではありませんでした。

それでも、専門性を磨き、地道に信頼を積み重ね、常に真摯に向き合いながら、日系企業のグローバル進出を支えてきました。その取り組みがやがて、組織的・戦略的に海外進出とグローバル人材育成を進める体制を本格化させ、現在のJSGのルーツとなりました。

今日では、22カ国に203名の駐在員を配置し、現地メンバーを含め約1300名が47カ国178都市で日本語によるサービスを提供する体制へと広がっています。

経験者と次世代が交わることで、その経験は新たな挑戦につながる

今回のイベントは単なる歓迎会や壮行会だけではなく、帰任者と赴任者の経験を接続し、次の挑戦につなげる場として丁寧に設計されていました。プログラムは、マネジメントメッセージのほか、JSGの歴史を改めて振り返ったうえで、帰任者と次期赴任者によるグループセッションなどで構成されており、参加者は担当地域ごとに着席し、双方向での対話が可能となっていました。

デロイト トーマツ グループ CEO 長川 知太郎氏からは、参加者が今後のデロイト トーマツ グループを支えるグローバルリーダーシップ人材であり、戦略の中心を担う存在であることが明確に示されました。長川氏自身も、2006年から2008年までデロイト オランダファームにて勤務し、JSGメンバーとして、現地日系企業のクライアント向けにコンサルティング業務に従事していた経験があります。

長川氏は、赴任者には新しい体験からできる限り多くの学びを吸収すること、帰任者には海外で得た知見や視野を日本の仲間や組織へ共有し、その経験を次の挑戦へとつなげてほしいと語りました。

さらに、「デロイトのグローバルネットワークの中で『JapanといえばJSG』と言われるほど、JSGは象徴的な存在の一つになっている」。長川氏は、日系企業の海外展開を支え続けてきた独自のネットワークであるJSGが、今後ますます重要な役割を担っていくことへの期待を示しました。

そうしたメッセージは、後半のグループセッションにもつながっていきます。

セッションの中で印象的だったのは、メンバー一人ひとりが、この赴任を単なる海外勤務の機会としてではなく、現地と日本の双方に価値をもたらす経験として捉えていたことです。

次期赴任者たちは、現地で価値を発揮した上で、「帰国後に役立つものを、必ず持ち帰りたい」「次につなげたい」という思いを語りました。こうした思いを受け止め、帰任者たちは「非常に心強く感じた」と振り返ります。

海外で得た学びを自分自身の経験にとどめず、帰国後のクライアント業務や次の赴任者への継承につなげようとする姿勢からは、JSGの経験が組織の中で受け継がれていく様子がうかがえました。

また、海外赴任に関心を持つ職員や、デロイト トーマツ グループに興味を持つ採用候補者に対しても、海外で働くことの意義や魅力を伝えていきたいという意見も聞かれ、帰任後の組織づくりにも新たな視点をもたらす可能性を感じさせました。

このように、自らの学びを今後のキャリアに生かすだけでなく、周囲に伝えていこうとする姿勢は、長川氏が伝えたかったメッセージと重なります。

越境し、学び、持ち帰り、次につなぐ ―グローバルなキャリアへの示唆

キャリアは、今いる環境の延長線上だけでつくられるものとは限りません。
慣れ親しんだ環境にとどまるのではなく、その先へ踏み出して活動していくことで新たな価値を生み出す可能性もあります。

これは、グローバル環境だけでなく、あらゆる「新たな世界」に飛び込むチャンスを与えられたときに通じるはずです。

同時に、新たな環境に飛び込むとき、私たちは受け身で学ぶだけの存在ではありません。これまで培ってきたTalentや専門性を生かし、その場に新しい視点や刺激をもたらすこともできます。異なる環境で自分の力を試し、そこで得た気づきを次の行動へ反映していく。その積み重ねが、キャリアの可能性をさらに広げていくのではないでしょうか。

だからこそ、「自分はどのような環境で力を試し、何を学び、次にどう生かしていくのか」。その問いが、Comfort Zoneを越えた先のキャリアを考えるきっかけになるはずです。