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挑戦が生む「最高のチーム」とは ―現役レーシングドライバー 佐藤琢磨選手に学ぶ、結果を出す組織の本質

~デロイト トーマツ News Pickup~

2025年11月、社職員向けに、世界を舞台に挑戦を続ける現役プロレーシングドライバー・佐藤琢磨選手と、デロイト トーマツ グループ Chief Talent Officer(CTaO)神山友佑、ファシリテーターはBHRL(Business HR Leader)友野敬介による社内対談イベントが開催されました。

会場は熱気に包まれ、登壇者の一言一言に耳を傾けながらメモを取る参加者の姿や、質疑応答の際の真剣な眼差しが印象的でした。今回のテーマは、「目的に向かって最大限の力を発揮するチームの条件」。

極限のプレッシャーの中でコンマ1秒を争うレースの世界から、私たちの仕事やキャリアに通じるヒントを探りました。 

一瞬の判断が運命を分ける ―分析から見えるもの

「たった0.07秒。そのわずかな違いが、勝敗を分けた」

これは、佐藤選手がインディ500という世界最高峰の舞台で体験されたエピソードです。トップでピットに入ったものの、わずか1.5メートルのオーバーシュートにより、残念ながら優勝を逃します。

『琢磨がブレーキを踏むのが1秒遅かった』と、世界中から言われた際に、「本当に1秒だったのか?」と考えた佐藤選手は、データをもとに事実の確認に乗り出します。結果、その原因はAI解析によると「0.07秒早くブレーキを踏むべきだった」というものでした。瞬きよりも短いこの一瞬が、何年にも及ぶチームの努力やスポンサーの期待、そして自身のキャリアさえも左右すると語っています。

また、レース中の事故に巻き込まれた際には、ネット上での激しい批判にさらされ、精神的にも追い込まれる苦しい時間が続きました。世界中から凄絶なバッシングが巻き起こる中、佐藤選手はそれが誤解によるものであることを確信していました。しかし、言葉を尽くしても逆効果になるばかり。「相対性理論のように、見ている視点の場所によって、『動いているのはどちらなのか』、見えるものが変わってしまう」。それを証明するために、佐藤選手とチームのメンバーたちはさまざまなデータを事実として集めました。それらをもとに冷静な分析が進むと、自然と周囲の反応が変わり始めます。 

やがて現地のファンからも「あなたは悪くない。信念を持って頑張って」と声をかけられるようになり、ついに事故後の初のレース前のパレードでは、最も大きな声援を受けるようになりました。こうして、ファンやチームメンバーの支えによって自信を取り戻し、最終的には優勝を果たすことができたと言います。

この経験から佐藤選手は、「失敗や挫折は挑戦の過程で必ず直面するもの。感情と事実を分けて冷静に分析することが重要」、「良い結果も悪い結果も受け止め、データと真摯に向き合い、その分析を次に活かす姿勢が、さらなる成長につながった」と感じられたそうです。

失敗を乗り越える力 ―チームワークとは

佐藤選手は、「プロは結果を出すからこそプロである」、しかし同時に「結果は一人では生まれない」とも強調します。レースの世界では、ほんの僅かなミスが命取りになりますが、そのミスが起きた時、誰かを責めるのは簡単です。しかし、なぜそのミスが起きたのか、環境やプレッシャー、技術面など様々な要因を一つひとつ見ていくことで、改善点が明らかになる、と力強く語ります。

佐藤選手自身も、一瞬のミスで優勝を逃した際、仲間とぶつかることもありましたが、絶望の中で救ってくれたのもまた仲間の存在でした。「誰もが全力を尽くしているからこそ失敗もある」と受け止め、同じ極限の世界を経験しているからこそ、互いの苦しみを理解し冷静に声をかけ、深く気遣える。そこに「最高のチームワーク」の本質があるという気づきを得たのです。

走り続けることの大切さに気づくまでには時間がかかったものの、仲間とぶつかり合い、事実と向き合いながらも、次の課題に向けて共に歩み続ける姿勢こそが、成長の原動力になると佐藤選手は語ります。失敗を責め合うのではなく、共に乗り越えることで、より強い信頼関係とチーム力が生まれるのです。

では、信頼関係やチーム力とは、どのように強くなっていくのでしょうか。

チームの力を最大化するために ―共通のProfessionalism

チームが一丸となるためには、ドライバーだけでなく、エンジニア、メカニック、データサイエンティスト、マーケティング担当など多様な専門家が一つの目標に向かい、情熱を掛け算することで想像を超える成果が生まれると佐藤選手は強調します。自分にはない能力や経験を持つメンバーを信頼し、感謝する、この一見当たり前とも思えるリスペクトの精神が、チームを一致団結させるための鍵になるのです。

「関わる全員が、心から熱くなれる目標を掲げること」
「たとえ前例がなくても、みんなで『やってみよう』と思える空気をつくること」

チームの力を最大化するポイントはここだと佐藤選手は語ります。

結束力を強めるためには、明確なビジョンとゴールを共有し、各メンバーが責任を持って行動することが不可欠です。佐藤選手もレース場では、「最後の責任はハンドルを握る自分にある」という覚悟を持ちつつも、同時に、各メンバーが自分のなすべきことを理解し、失敗があれば冷静に見つめ、一つの目標に向かって課題を乗り越えていく姿勢を持つ、それがプロフェッショナルの証ではないかと述べています。

これらの考え方はビジネスの現場にも通じます。「私たちデロイト トーマツも、多様な専門性や経験を持つメンバーが集まり、クライアントや社会の課題解決に挑戦しています。個々の専門性を尊重し合い、チーム全体で目標に向かう姿勢が、組織の競争力とイノベーション力を高めるのです」と、CTaO神山も語ります。

佐藤選手とデロイト トーマツに共通する「Professionalism」、それは、チームとして挑戦を続け挫折を共に乗り越え、目指すゴールを手にするためには、緻密な分析だけでなく、互いの強みを認め合い、信頼とリスペクトの心を持って協働することが不可欠だということではないでしょうか。

「No Attack No Chance」―挑戦が道を切り開く

佐藤選手が語った言葉、「No Attack No Chance(挑戦なくしてチャンスなし)」。その背景には、論理だけでなく明確なビジョンや情熱、そして「できたらすごい」という夢や挑戦を楽しむ心も大切だということです。佐藤選手も「楽しんで挑戦できるチームは、何よりも強い」と語っています。

これは仕事やキャリア成長を考える際も同じで、挑戦を楽しむ意欲を持つことが「情熱」となり、その情熱こそが社会に価値あるインパクトを与えていくのではないでしょうか。

誰もが、それぞれの分野のプロフェッショナルです。チームとしてゴールを目指す時、最高のチームとは何か、仲間とどう信頼を築き挑戦に活かすか、ぜひ自分自身に問いかけてみてください。

挑戦の数だけ新たな道が拓けます。恐れず一歩を踏み出し、今いる環境やこれからのキャリアで、自分にとっての「最高のチームの姿」を思い描いてみましょう。

キャリア情報配信

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