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【事業会社で働く経営リーダー・中核人材層の実態|調査レポート】働き方・報酬価値観からみる、これからの人的資本マネジメント

年収1,000万円到達後の次のキャリア目標はワークライフバランス重視が30.4%で最多、経営リーダー・中核人材層の価値観変化を採用戦略の中枢へ

デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社のDTHR研究所は、事業会社で働く「経営リーダー・中核人材層」の働き方・報酬価値観に関する実態と今後の人的資本マネジメントに求められる視点について調査・分析しました。CxO・取締役クラス・部長級以上の経営人材支援を手掛ける中で日々感じる、経営を担う人材層のキャリア観・報酬観の変容は、人的資本マネジメントを見直すうえで重要な示唆を与えるテーマであると考えています。

本調査では、年収1,000万円への到達が依然として重要なキャリア上の目標として認識されている一方で、一定のキャリア成果を実現した人材ほど、さらなる報酬拡大だけではなく、ワークライフバランスや働きがい、将来のキャリア展望といった多様な価値を重視している実態が見えてきました。

  • 経営リーダー・中核人材層の6割が「年収1,000万円は目指す価値がある」と回答
  • 年収1,000万円を目指す価値があると思う理由は「生活の安定」や「家族の幸福・自己実現」が上位を占める
  • 年収1,000万円到達で感じるネガティブなギャップは「可処分所得が増えない」と「生活水準は劇的に向上しない」の2項目が3割超
  • 年収1,000万円以上に到達後の次なるキャリア目標は「ワークライフバランスの重視」が最多

はじめに

労働力人口の減少や人材獲得競争の激化を背景に、企業における人的資本マネジメントの重要性はこれまで以上に高まっています。なかでも、事業成長や組織変革の推進役となる経営リーダー・中核人材層は、企業の競争力を支える重要な存在であり、その獲得や育成、活躍支援は多くの企業にとって重要な経営課題となっています。

本調査は、企業内において一定のキャリア成果を実現した人材層を対象に、そのキャリア形成の実態や価値観を分析したものです。調査対象として、多くのビジネスパーソンにとって一つのキャリアマイルストーンとして認識されている年収1,000万円超のビジネスパーソンに着目し、2026年4月に実施した調査結果(有効回答数1,006人)をもとに、到達年齢や到達契機、到達後に感じる価値やギャップ、さらにはその先のキャリア志向について分析しました。従来の昇進・昇給中心の人材マネジメントに加え、従業員体験やキャリア形成支援を含めた総合的な人的資本戦略の重要性を示唆しています。

年収1,000万円超ビジネスパーソンの中心は中核人材層|到達は40代・内部昇進が主流

今回の調査にご回答いただいた年収1,000万円超ビジネスパーソンの役職と年収は以下の通りです。

【役職分布】

  • 経営者(代表・社長):4.8%
  • 経営者(社長以外・役員含む):7.0%
  • 本部長・事業部長・部長クラス:26.7%
  • 次長・課長クラス:37.9%
  • 係長・主任クラス:12.8%
  • 一般・スペシャリスト:10.8%

【年収分布】

  • 1,000万 ~ 1,499万円:72.8%
  • 1,500万 ~ 1,999万円:16.5%
  • 2,000万 ~ 2,499万円:4.8%
  • 2,500万 ~ 2,999万円:2.1%
  • 3,000万円以上:3.8%

回答者属性の中で、まずは《役職》を見ると、「次長・課長クラス(37.9%)」と「本部長・事業部長・部長クラス(26.7%)」の両者を合わせると64.6%となり、年収1,000万円超ビジネスパーソンの約3人に2人が中核人材層に分布していることになります。また、回答時の《年収》は「1,000万 ~ 1,499万円」が7割超の分布になっています。

勤務先は都心の大企業が中心で、年収は1,500万円未満が約9割を占める。

年収1,000万円に《到達した年齢》を聞くと、最多は「40~44歳(24.9%)」、次いで「45~49歳(23.9%)」となり、約半数は40代で年収1,000万円に到達する傾向が見受けられました。

さらに、年収1,000万円の《到達に起因した契機》を質問したところ、最多は「内部昇進・昇格(70.6%)」で他要因を圧倒する結果となりました。2位以降は「時間外労働(11.1%)」、「転職(10.4%)」、「人事異動・出向(9.6%)」、「インセンティブ(8.6%)」と続きます。

年収1,000万円到達者は40代が最多で、成功要因は内部昇進・昇格が突出している。

年収1,000万円到達の契機としては「内部昇進・昇格」が最も多い結果となりました。つまり、年収1,000万円超ビジネスパーソンを分析する本調査の位置づけは、高所得者層のライフスタイルを読み解くものではなく、日本企業における経営リーダーや中核人材層の実態を捉える調査として位置づけることができます。

*本調査は到達時点での直接的な契機を尋ねたものであり、過去の転職経験や転職後の昇進・昇格など複数のキャリアイベントによって年収が上がっている場合を含みます

この結果は、企業が中長期的に経営リーダー・中核人材層を確保する上で、外部採用だけでなく、社内での計画的な育成・登用が依然として重要であることを示唆しています。一方で、成長戦略や組織変革のスピードが高まる中では、内部育成だけでは補えない経営リーダー・中核人材層を外部市場から獲得する必要性も高まっています。企業には、内部育成と外部採用を組み合わせた人材ポートフォリオ戦略が求められます。

年収1,000万円の到達は依然としてキャリア形成の重要なマイルストーン

年収1,000万円を《目指す価値》について聞いたところ、「目指す価値は大いにある(24.3%)」、「目指す価値はある(36.1%)」となり、合わせて6割がその価値を肯定している結果となりました。一方、「目指す価値はない(5.1%)」「目指す価値はまったくない(4.0%)」は合わせても1割未満にとどまりました。

年収1,000万円を目標に価値を感じる人は6割超にのぼり、多くの人が達成を前向きに捉えている。

では、年収1,000万円超ビジネスパーソンは、なぜそこに価値を見出しているのでしょうか。

理由として最も多かったのは「経済的な余裕や安定を得られるから(66.1%)」でした。次いで「家族や自分の希望を叶えやすくなるから(40.1%)」、「社会的な評価につながるから(17.4%)」、「キャリアアップや自己成長の証明になるから(16.5%)」と続く結果になっています。

年収1,000万円を目指す理由は、経済的余裕の獲得が最多で、家族や将来への安心感を求める声も多い。

注目すべきは、社会的地位やステータスに関する回答よりも、生活の安定や家族の幸福、自己実現に関する回答が上位に位置している点です。年収1,000万円という目標は、単なる所得水準の象徴ではなく、自らの選択肢を広げるための基盤として認識されていることがうかがえます。

企業にとって重要なのは、年収1,000万円という水準が依然として強い吸引力を持つ一方で、その価値は必ずしも報酬そのものだけにあるわけではないことが示唆されました。報酬は人材を惹きつける重要な要素であり続けるでしょう。しかし、ビジネスパーソンが求めているのは報酬そのものではなく、その先にある安心感や選択肢の拡大、自己実現の機会であるということは認識しておく必要があるのです。人的資本経営の観点からは、報酬制度を競争力の源泉として整備するだけでなく、従業員一人ひとりが将来への展望や成長実感を得られる環境を構築することが求められる時代へと移行しています。

年収1,000万円到達後に感じる現実|期待とのギャップが生む新たな課題

年収1,000万円を超えるということは経済的な余裕や安定を得られる一方で、年収1,000万円の《到達後に感じたギャップ》からは年収1,000万円到達後の実態を示す結果が見えてきました。

最も多かった回答は「可処分所得が思っていたほど増えない(36.3%)」であり、「生活水準は劇的に向上しない(32.3%)」が続き、この2項目のみが3割超となりました。一方で、「ネガティブなギャップは特に感じない(23.3%)」というビジネスパーソンも3位の回答となっています。

年収1,000万円到達後は、可処分所得や生活水準の伸びに期待との差を感じる人が多く、報酬だけでは満足度向上につながりにくい実態が見える。

年収1,000万円は多くの事業会社で働くビジネスパーソンにとって、重要なキャリア上のマイルストーンとして認識されていると考えられます。しかし、実際に1,000万円に到達した方々は、必ずしも想像していたほどの満足感や生活の変化を得られているわけではないということが明らかになりました。

当然、経済的な安定や選択肢の拡大といった恩恵は存在するはずですが、それと引き換えに責任や業務負荷が増加し、時間的・精神的な制約が報酬恩恵よりも大きくなるケースも少なくありません。こうした実体験が、年収1,000万円到達後のキャリア志向を変化させる一因になっている可能性も考えられます。

企業は優秀人材を惹きつけるために報酬競争が欠かせない要素であることは否定しません。しかし本調査が示しているのは、一定以上の報酬水準に到達した人材に対しては、報酬だけでは十分な動機付けになりにくいという現実です。

次に求めるのは報酬だけではない|キャリア志向の多様化に伴う人的資本戦略

年収1,000万円に到達した今、《次のキャリア目標として最も近いもの》を質問したところ、「ワークライフバランスを重視し、家族や自分の時間を増やす(30.4%)」でトップとなり、次いで「さらに高い年収を目指す(28.6%)」が続く形で、上位2項目が3割近いデータとなりました。

下位項目にも目を向けると、「現在の会社で役員や経営層を目指す(8.6%)」、「起業・独立して自分の事業を持つ(4.7%)」、「副業・パラレルキャリアを確立する(3.5%)」と続きます。一方で「現状維持を望む(19.7%)」も約2割であり、報酬以外の価値を重視する傾向も見受けられました。

年収1,000万円超の人は、ワークライフバランス向上やさらなる収入増加を次のキャリア目標に掲げる傾向がある。

この結果は、企業の人材マネジメントにおいて重要な示唆を含んでいます。従来、日系企業の人事制度は昇進や昇給、報酬拡大によってモチベーションを高める設計が中心でした。しかし本調査からは、一定の報酬水準に達した経営リーダー・中核人材層においては、必ずしも報酬だけが次の目標になっているわけではないことがうかがえます。

経営リーダー・中核人材層は、組織運営や部門成果への責任を負う立場であり、多くの場合、業務負荷も高いポジションと定義されます。そうした層に対して、さらなる昇進や報酬だけをインセンティブとして提示しても、従来ほど高い効果は期待できない可能性が見えてきました。

こうした傾向は、採用市場においても重要な変化を意味しています。経営リーダー・中核人材層は、転職やキャリア選択において報酬だけでなく、経営課題への挑戦機会、意思決定への関与範囲、組織文化との適合性、働き方の柔軟性などを総合的に評価する傾向があります。そのため企業は、報酬条件だけで競争するのではなく、「その企業で働く意義」や「実現できるキャリアストーリー」を明確化し、候補者へ発信していくことが求められます。

今後の人的資本マネジメントでは、柔軟な働き方の実現、働きがいの創出、マネジメント支援体制の整備、自律的なキャリア形成支援など、総合的な従業員体験の向上が重要になると考えられます。

経営リーダー・中核人材に選ばれる企業へ|採用戦略と人的資本マネジメントの再設計

本調査から明らかになったのは、年収1,000万円超の経営リーダー・中核人材層にとって、報酬は依然として重要な要素である一方で、それだけでは十分な動機付けになりにくくなっているという事実です。一定の報酬水準に到達した人材ほど、次に重視するのはワークライフバランスや働きがい、将来のキャリア展望、組織のミッションとの共感といった、より本質的な就業価値へと移行しています。

このような環境下では、企業が優秀な経営リーダー・中核人材を獲得するために必要なのは、単なる報酬条件の引き上げではありません。自社がどのような経営課題を抱え、どのような変革を目指し、その中で採用した人材にどのような役割・期待・成長機会を提供できるのかを、採用設計の上流から整理し、候補者に伝わる形で構造化していくことがますます重要になっています。

デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社は、エグゼクティブ・ハイクラス人材の採用支援を強みとし、単なる人材紹介にとどまらず、こうした採用の上流設計から企業を支援しています。具体的には、経営戦略・事業戦略を踏まえた採用要件の定義、候補者に訴求すべき報酬以外の魅力の整理、採用ポジションの役割期待の明確化、さらには採用後の活躍を見据えた受け入れ体制の設計まで、一気通貫で支援することが可能です。

人的資本マネジメントの重要性が高まる今、採用は単なる欠員補充ではなく、企業の成長戦略そのものを実現するための重要な経営アジェンダになっています。デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社は、報酬競争だけに依存しない採用戦略の構築を通じて、企業が真に必要とする経営リーダー・中核人材の獲得と、その先の活躍実現までを支援してまいります。

調査概要

「事業会社で働く経営リーダー・中核人材層の実態調査」
調査期間:2026年4月22日(水)~ 2026年4月24日(金)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,006人
調査対象:事業会社で働く、年収1,000万円以上のビジネスパーソン

■デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社について

ハイクラス領域の採用支援を通じて経営課題・事業課題を解決する総合人材エージェントです。プロフェッショナルファームの一員であることによる人材ネットワークと、“転職潜在層”へのリーチも可能とするエグゼクティブサーチの独自ノウハウによって、個社およびフェーズ毎にある特有の経営課題を人的資本の側面から多角的に支援し、企業のバリューアップに貢献しています。

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■DTHR研究所について

デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社のDTHR研究所は、経営課題の解決に向けた実行主体である「人材」を軸に、経営と連動したテーマとして重要視される“人的資本”の視点から、日本企業の継続的な成長を促進するための採用・組織開発・育成・採用マーケティングにおける多角的な情報発信をしています。

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