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防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(実務対応報告第48号)の解説

2026年4月20日公開

1.ᅠ はじめに

企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)より、2026年2月27日に、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下「実務対応報告第48号」という。)が公表された1

本稿では、実務対応報告第48号について解説する。

2.ᅠ 実務対応報告第48号の公表の経緯

企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下、「法人税等会計基準」という。)は、主として法人税、地方法人税、住民税、事業税及び特別法人事業税など、具体的な税金を挙げて、当該税金について規定する税法を参照することにより適用対象となる税金を特定して会計処理及び開示について定めている。

この点、2024年年次改善プロジェクトの審議の過程において、その適用対象となる税金に関して、具体的な税金を挙げて当該税金について規定する税法を参照することにより特定するのではなく、原則的な定めを置き具体的な税金を特定しない方法に見直すことを検討してはどうかとの意見が聞かれた。この意見を受けて、2024年11月の公開草案「2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正(案)」の公表時に、法人税等会計基準の適用対象となる税金を特定する方法を見直すことについて、市場関係者からコメントを募集した。適用対象となる税金に関する原則的な定めを置くことを概ね支持するコメントが寄せられたことを受け、ASBJは、法人税等会計基準の適用対象となる税金を定める方法を見直すことの検討に着手し、審議の結果、2026年1月9日に、企業会計基準公開草案第94号「法人税等に関する会計基準(案)」(以下「法人税等会計基準案」という。)が公表された。また、合わせて関連する会計基準等についての公開草案が公表されている。

これらの公開草案が最終化され適用されるのは、公表した日から1年程度経過した年の4月1日を想定しているとされていることから、防衛特別法人税が課される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度において、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関して準拠すべき会計基準等が存在しないこととなる。

ここで、ASBJは、令和7年度税制改正により防衛特別法人税が創設され、2026年4月1日以後に開始する事業年度から課される予定であったことを受けて、防衛特別法人税の税効果会計の取扱いを明らかにすることを目的として、2025年2月20日に、補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」(以下「防衛特別法人税補足文書」という。)を公表した。

さらに、防衛特別法人税が課される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度に準拠すべき会計基準等が存在することとなるよう、防衛特別法人税に関する税効果会計だけではなく会計処理及び開示の取扱いも明らかにすることを目的として、2025年11月20日に、実務対応報告公開草案第72号が公表された。その後、公開草案に寄せられた意見を踏まえた検討がなされ、公開草案の内容を一部修正したうえで、実務対応報告第48号が公表された。

3.ᅠ 実務対応報告第48号の概要

防衛特別法人税は、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すこととされているため、法人税に対する付加税という点において、地方法人税と共通の性質を有していると考えられることから、防衛特別法人税に関する会計処理及び表示については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととされた(実務対応報告第48号7項、13項、BC7項及びBC12項)。

また、グループ通算制度を適用する場合は、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下、「実務対応報告第42号」という。)に従うこととされた(実務対応報告第48号10項~12項、14項~17項、BC9項~BC11項及びBC13項~16項)。

【図表1】グループ通算制度を適用しない場合の会計処理

(参考)地方法人税の取扱い(概要)

  • 当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、一部の場合を除き、法令に従い算定した額を損益に計上する(法人税等会計基準5項)。
  • 損益に計上する法人税、地方法人税、住民税、事業税(所得割)及び特別法人事業税(基準法人所得割)は、損益計算書の税引前当期純利益(又は損失)の次に、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示する(法人税等会計基準9項)。
  • 法人税、住民税及び事業税等のうち納付されていない税額は、貸借対照表の流動負債の区分に、未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示する(法人税等会計基準11項)。

 (参考)税効果適用指針の取扱い

  • 法人税、地方法人税及び特別法人事業税(基準法人所得割)について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等に規定されている税率による(税効果適用指針46項)。

(参考)法定実効税率
防衛特別法人税補足文書の13項に示されている防衛特別法人税率を考慮した法定実効税率の算式は以下の通りである。

防衛特別法人税率を考慮した法定実効税率の算式

(注) 防衛特別法人税の課税標準の計算において法人税額から基礎控除額として500万円を控除することとされているが、上述の算式においては考慮していない。

【図表2】グループ通算制度を適用する場合の会計処理

(参考)地方法人税の取扱い(概要)

  • 法人税及び地方法人税に関する会計処理及び表示は、実務対応報告第42号に定めのあるものを除き、法人税等会計基準の定めに従う(実務対応報告第42号6項及び24項)。
  • 通算税効果額を損益に計上する場合には法人税及び地方法人税を示す科目に含めて個別財務諸表における損益計算書に表示し、株主資本又は評価・換算差額等に計上する場合には貸借対照表の純資産の部の対応する内訳項目から控除して表示する。また、通算税効果額に係る債権及び債務は、未収入金や未払金などに含めて個別財務諸表における貸借対照表に表示する(実務対応報告第42号25項)。

4.ᅠ 適用時期及び経過措置

実務対応報告第48号は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するとされている(実務対応報告第48号18項)。

5.ᅠ おわりに

ASBJから2026年1月9日に公表された法人税等会計基準案等が最終化されると、実務対応報告第48号は適用が終了することが想定されるが、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する取扱いが変更となることは想定していないとされている。

以 上

注釈

1  リンク先のASBJのホームページを参照のこと。
https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2026/2026-0227.html
2 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下、同じ。)

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