メインコンテンツに移動する

デロイト トーマツ、今後のテクノロジー・メディア・通信業界を予測した「TMT Predictions 2026 日本版」を発行

お知らせ

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一、以下デロイト トーマツ)は、今後のテクノロジー・メディア・通信(TMT)業界についてデロイトが予測した「TMT Predictions 2026」グローバル版をもとに、日本オリジナルの考察・分析を加えたレポート「TMT Predictions 2026 日本版」を発行しました。

AIがビジネス変革の核となる今、多くの企業が業界トレンドやテクノロジーをいかに自社の事業成長と収益に結びつけるかという本質的な問いに直面しています。

本レポートでは、グローバル版の13トピックの抄訳に加え、デロイト トーマツ グループのプロフェッショナルによる考察・分析を「日本の視点」として12トピック掲載しています。

今年は、産業向けに実装が進むフィジカルAI市場における日本企業の勝ち筋について言及しています。また、日本の半導体産業復活の期待が高まる中、製造だけではなく、企画・設計力を強化することの重要性を論じています。さらに、AIエージェントの普及がSaaSに与える影響や企業への実践プランを提言しています。レポートでは他にも、AI活用における日本企業の本質的な課題と解決策、AIデータセンター市場、テクノロジー主権、生成AI動画の規制動向、ショートドラマに加え、エージェンティックコマースの可能性も踏まえた消費者リワード戦略の展望など、幅広いトピックを取り上げ、グローバルおよび日本の視点から提言を行っています。

詳細は以下リンク先より、レポートPDFをダウンロードのうえご確認ください。

「TMT Predictions 2026 日本版」レポート全文
 

グローバルの予測と日本の視点

AIエージェント

グローバル版:

AIはソフトウエアのルールを再定義している。AIはビジネスソフトウェアを変革し、新たな市場を創出しているが、こうした動向は2026年にかけて加速する可能性がある

エージェント型AIは、エンタープライズ統合の次の時代を牽引することが期待されている。推計によれば、世界のAIエージェント市場は2026年の85億米ドルから2030年には350億米ドルに達する見込みである。他方、デロイトは、企業が関連する課題とリスクに周到に対処し、エージェントのオーケストレーションを一層巧みに行うことができれば、この市場見通しは最大30%上振れし、2030年には450億米ドル規模に達する可能性があると予測している。

2026年には、SaaSアプリケーションは一層高機能化し、パーソナライズされ、適応的かつ自律的になる見通しである。エージェント型AIは、時間の経過とともに、現在のSaaSツールを代替し始める可能性すらある。2026年には、最大で75%の企業がエージェント型AIに投資し、SaaSプラットフォーム全体で自律型AIエージェントへの支出が急増する原動力となる見込みである。

日本の視点:

AIエージェント時代にSaaS事業が生き残るためには生存条件を満たす必要性がある

AIエージェントの導入は単なるツール刷新ではなく、企業の競争力を左右する経営戦略そのものである。マルチエージェント技術はワークフローを根底から覆し、市場の競争原理や労働市場の構造にまで変革をもたらし得る。企業は、技術的可能性の追求だけでなく、データ管理への投資、セキュリティ、費用対効果、現場の実態に向き合いながら、自社事業に即した導入戦略を慎重に検討していくことが不可欠である。

SaaS事業者にとっては、議論の中心は「SaaSの死」ではなく、System of Record/Controlとしての基盤価値を再定義し、「顧客基盤の深さ」、「リプレース困難な強み」、「AI内製対応力」という生存条件を満たせるかが、次の競争を決める。

フィジカルAI

グローバル版:

産業用ロボットの年間出荷台数は、2030年までに100万台に達し、年間収益は200億米ドル超になる可能性がある

世界の産業用ロボットの年間出荷台数(累計)は2026年に550万台に達する可能性があるが、過去数年と比べて大きくは増えない見通しである。長期的には、先進国市場での労働力不足が国内製造を下支えし、計算能力およびマルチモーダルAIの進展がロボットの能力を拡張することで、成長が加速する可能性がある。これらのAIの進歩により、2030年までに産業用ロボットの年間販売台数は100万台超、売上高は200億米ドルに達する可能性がある。ドローンもこのシフトの一部として台頭しており、大半はいまだ人による操作であるものの、自律機能は急速に高度化している。

日本の視点:

日本におけるフィジカルAIの活用ポテンシャルは高く、産業向けを中心に実装は確実に進んでいる

日本は、超高齢化、国内回帰、サプライチェーンの強靭化などの内的要因を抱えており、フィジカルAIの実装を通じた競争力強化の余地が大きい。産業向けを中心に実装は確実に進んでいる。ソフトウエアやAIの推論・制御の領域では、米国や中国に遅れをとっており、大規模な汎用基盤モデルを今から構築していくのは簡単ではないが、日本の強みは、「緻密で丁寧な現場品質」と「安全で信頼性の高い設計」にあるといえる。各種のハードを統合し、強みのある現場のデータを収集・活用していく「実装力」を、国家・民間の総力を挙げて取り組んでいくことが、勝ち筋である。

半導体

グローバル版:

脆弱なサプライチェーンを管理することはこれまでも課題であったが、現在その重要性はさらに高まっている

2026年には、生成AIおよび高性能コンピューティング需要に対応すべく、高帯域幅メモリ(HBM)のコパッケージングツール、3D積層、プラズマエッチング、GAAトランジスタといった新たな半導体製造技術が台頭する見通しである。これらを含む重要技術には少なくとも300億米ドルの支出が見込まれる。他方で、当該技術は特定地域に集中するごく少数の専門サプライヤーに依存しているため、半導体サプライチェーンは引き続きグローバルな緊張の影響にさらされる可能性が高い。

日本の視点:

製造に加えて企画・設計といったバリューチェーン領域も含めたエコシステム全体の強化が必要である

地政学的リスクが高まり、従前の国際水平分業体制が危機にさらされる中、日本の半導体産業の復権には、製造力強化と並んで企画・設計力の抜本的底上げが不可欠である。エッジAI・ロボティクス、医療、車載安全、防衛・宇宙などの用途特化に注力し、ソフトウェア・アルゴリズム・システムまで統合して差別化すべきである。政府はEDA・試作支援に加え、基盤・応用R&Dの強化と公共アンカー需要の創出を担い、民間は大企業とスタートアップの共創によりスピードと量産品質を両立させる。官需を起点とした半導体エコシステムの創出を提言する。

AIデータセンター

グローバル版:

AIモデルは進化を続けより効率的になっているが、計算需要はそれを上回るペースで増加している

2026年までに、AI計算(コンピュート)の約3分の2は推論(AIモデルの実行)が占める見通しである。依然として、推論の大半は安価なエッジ側チップではなく、2,000億米ドル超相当の高価かつ高消費電力のAIチップを用いるデータセンターで実行され続ける見込みである。

日本の視点:

日本企業がデータセンター投資を検討する際は、将来シナリオを複数、俯瞰的に描いた上で、不確実性の高い市場変化の兆しを早期に捉え、柔軟に対応できる力を備えることが肝要である

「生成AI計算需要の継続拡大」、「供給制約の解消」の論点から、「データセンター投資はバブルか」を見極める。推論中心に移行した後も、学習後スケーリングなどでデータセンター依存は続く。引き続き、電力や建設・設備などの供給制約が課題となっているが、現在、供給制約を打破する技術革新が局所的に発生しつつある。テックジャイアントのAI投資のエコシステムに参画できるか、災害大国として培った建物の堅牢性・可用性を担保しながら、ハイパースケーラーの求めるAIインフラ調達のスピードとアジリティを実現するサービスやプロダクト開発ができるかが、日本企業の勝ち筋となるだろう。

ショートドラマ

グローバル版:

若年層はシリーズ化された短尺動画コンテンツにより高い関心を示している

ショートドラマ(スマートフォン向けの短尺・プロット重視の連続作品)は、年間で数億人が視聴し、短尺動画の利便性と連続的な物語性を融合したフォーマットである。世界的な人気は急伸しており、アプリ内収益は、2026年には78億米ドルに拡大するとデロイトは予測している。2025年は米国が世界収益の半分を生み出す見込みであるが、他市場の台頭により米国のシェアは40%へ低下する見通しである。

日本の視点:

日本のショートドラマ市場はいまだ黎明期にあるが、企業による広報・広告用途での活用は広がりつつある

日本のショートドラマ市場はいまだ黎明期にあり、制作主導で拡大しているが、ヒット不在と課金の未定着が課題である。ショート動画は消費スピードが速く、コンテンツの寿命が短いとされる。消費者課金の定着とテレビ局の参入による予算拡大・大胆なキャスティングで認知を高め、IP化やファンダムの活用、縦型漫画由来の原作発掘から制作・配信までの一貫体制を構築し、PDCAの迅速化とLTV(顧客生涯価値)の向上を図ることが重要である。スタートアップと既存メディアの連携で量産とプレミアム化を進め、早期のヒット創出が鍵となる。

 

日本の視点レポート一覧(12トピック)

テクノロジー

1. AIエージェント時代の変革:企業が乗り越えるべき課題と実践的アクションプラン(AIエージェント/SaaS)

2. 複雑な状況での意思決定能力をAIにより拡張させる(エージェントオーケストレーション)

3. 埋め込み型生成AIで「延命」ではなく「変革」を起こすために(埋め込み型生成AI)

4. フィジカルAI日本市場の可能性(フィジカルAI・ロボティクス)

5. 日本半導体の勝ち筋と官民連携の処方箋(半導体サプライチェーン)

6. データセンター投資はバブルか(AIデータセンター)

7. テクノロジー主権の再設計:経済安全保障時代のAI・半導体戦略(テクノロジー主権)

 

メディア・エンターテイメント

8. 日本におけるショートドラマ市場の現状と展望(ショートドラマ)

9. 「信頼」と「リーチ」をつなぎ直す:日本版オールドメディアとニューメディアの新しい関係(放送と動画配信)

10. 米国AI 生成動画規制の「域外適用」による日本への影響(生成AI動画規制)

 

通信

11. 通信事業者の経済圏戦略におけるポイントプログラムの役割と今後の展望(消費者リワード)

12. 次世代衛星インターネット環境は着実に整備されつつあり、ユーザー側のユースケース開拓への参画が求められる段階へ(次世代衛星通信)

 

※本レポートは、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)が2025年11月に発表した内容・テーマをもとにデロイト トーマツ グループが翻訳・加筆したものです。グローバル抄訳(和訳版)と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。