電力小売全面自由化以降、日本の小売電気事業には多様な事業者が参入し、特に卸電力市場を活用した市場調達型のビジネスモデルが拡大してきました。しかし近年は、燃料価格の高騰や卸電力市場価格のボラティリティ上昇に加え、容量市場の導入、供給力確保義務の検討、カーボンニュートラル対応や需給調整力の重要性の高まりなど、小売電気事業を取り巻く前提条件が大きく変化しています。こうした中、これまで一定の競争力を有していた市場調達型モデルは見直しを迫られており、小売電気事業者には、自社の事業特性に応じた新たな電源調達戦略と事業運営モデルの構築が求められています。
本レポートでは、まず小売電気事業を取り巻く主要な環境変化を整理した上で、小売電気事業者を類型化し、各類型における影響の違いを分析します。その上で、現在検討が進む供給力確保義務が事業環境や市場構造に与える影響を考察し、今後の小売電気事業者に求められる電源調達戦略の方向性と、再エネ・火力投資を含む対応の可能性について提示します。
【目次】
1. はじめに
2. 転換期における小売電気事業者属性毎の影響
3. 供給力確保義務による事業環境の変化
4. これからの小売電気事業者の電源調達の可能性
(2026年7月発行)