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資産集約型再保険をめぐる最近の規制・監督の動向/ Asset-intensive reinsurance and recent regulatory developments

生命保険セクターの構造的な変化に対する監督の強化の必要性

近年、生命保険会社による資産集約型再保険(asset-intensive reinsurance)と呼ばれる再保険取引の利用やオルタナティブ資産への投資が増加しており、それに対して、国際機関や保険監督当局がより一層厳しい目を向けるようになってきています。

国際的な保険監督基準の設定主体である保険監督者国際機構(IAIS)は、2025年11月に公表した「生命保険セクターにおける構造的な変化」と題する論点書において、「生命保険会社によるオルタナティブ資産への投資や資産集約型再保険の取引について、引き続き注視が必要である」と述べています。また、英国健全性規制機構(PRA)は、国・地域間における資本規制の差異を利用した再保険取引に対する強い懸念を表明しています。さらに、米国では、全米保険監督官協会(NAIC)が2025年8月、一定の閾値を満たす生命保険会社に対して資産集約型再保険にかかる資産の十分性の分析を行うことを求めるガイドラインを採択したところです。日本においても、金融庁が2026年4月、保険会社に対して資産集約型再保険にかかるリスク管理の高度化を促すこと等を目的とした保険会社向けの総合的な監督指針の改正案を市中協議に付しました。

このような資産集約型再保険やオルタナティブ資産への投資にかかる議論は、保険セクターのみならず、グローバルな資本市場、特に、プライベートな資本市場とも深く関係するものです。例えば、国際通貨基金(IMF)は、2025年10月の世界金融安定レポート(GFSR)において、伝統的な金融機関と非伝統的なノンバンクが共存する「プライベート・クレジット・エコシステム」に対する規制・監督のあり方を検討する必要性を指摘しています。

本稿では、金融システムにおいてその存在感がより一層高まっていると言われているプライベート・マーケットの動向も視野に入れつつ、特に、規制・監督の観点から、2024年4月に公表したレポート「PEファンドの生命保険ビジネスへの参入とその潜在的なリスク - 再保険取引の規制・監督の必要性」 をアップデートする形で、生命保険会社による資産集約型再保険の利用やオルタナティブ資産への投資にかかる議論の流れを整理するとともに、規制・監督のあり方について論じます。

An English summary version is available here.

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