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グローバルな租税政策がますます複雑化する中、その影響は多国籍企業の考え方や事業運営の在り方を大きく変えつつあります。Deloitteの「2026年世界租税政策調査」は、28の法域にわたる税務・財務分野のリーダー1,010人から得た知見を基に、どの分野で複雑性が増しているのか、どのような政策変化が生じているのか、そしてそれが今日のビジネスにどのような意味を持つのかを明らかにしています。
今年の調査が示した明確なメッセージは、グローバル企業のリーダーが直面する最大の租税政策上の課題が、コンプライアンス負担と複雑性の増大であるということです。
新たなレポーティング義務、コンプライアンス要件、行政上の要求は、単に業務負荷やコストを増加させるだけでなく、事業運営モデル、投資先の選定、さらにはテクノロジー・インフラに関する意思決定にも影響を及ぼしています。
こうした複雑性の一部は構造的なものであり、避けることはできません。しかし、その多くは政策上の選択によって生じているものであり、関係者による提言や対話を通じて改善されるべきものです。例えば、「第2の柱」におけるセーフハーバーのように、簡素化が進められた分野では、企業はそのメリットを実感していますが、さらなる簡素化の必要性は明らかです。
また、本調査では、複数のテーマや法域にまたがって活用される新たな租税政策上の手段も確認されました。企業はデジタル化がもたらす潜在的なメリットをますます認識する一方、短期的な業務変革にはやや慎重な姿勢も示しています。また、政府の税制優遇措置は、投資や人材の獲得競争を促進する産業政策ツールとして、租税政策における重要性を高めています。
税務コンプライアンスの負担の増加が、ビジネスにとって最大の課題であると回答
今後2~3年以内に税務情報の開示がさらに増加すると予想
AIベースの税務コンプライアンス・ソフトウェアが有益な効果をもたらすと予想
本調査から明らかになったこと
税務の複雑性は、2026年において世界の税務・財務リーダーに最も大きな影響を与える課題です
レポーティング義務、コンプライアンス対応、行政上の要求はあらゆる分野において強まっています。回答者の40%が、企業全体の事業運営に影響を与える主な要因としてコンプライアンス要件の増加を挙げており、84%が今後2~3年以内に税務情報の開示がさらに増えると予想しています。
第2の柱の実施が進む中で、制度簡素化への取組みは引き続き重要です 「Side-by-Sideパッケージ」に含まれる追加的なセーフハーバーは、一定の簡素化効果をもたらすものとして歓迎されています。しかし、回答者の41%は、さらなる簡素化のための国際協力が引き続き優先課題とみており、さらなる取組みが求められています。
投資判断においては、税負担の水準よりも税制の安定性と予見可能性が重要です
投資先となる法域を検討する際、回答者の60%が最も重要な判断要素として、税制の安定性と予見可能性を挙げています。一方、企業全体の税負担を重視する割合は52%でした。
デジタル化とAIは税務変革への期待を高めていますが、その効果は直ちには現れません
回答者の85%がAIベースの税務コンプライアンス・ソフトウェアによる好影響を期待しています。企業は正確性や効率性の向上を実感しつつありますが、データ品質、ガバナンス、導入コストがデジタル税務変革の効果の発現を遅らせています。
税務行政のデジタル化に伴い、データに関する重大な懸念が顕在化しています
回答者の69%が、「データの機密性確保」を上位3位以内の懸念事項として挙げており、電子インボイス導入に伴う主要課題の一つとなっています。
税制優遇措置は「税の競争(tax competition)」の重要な要素となりつつあります
各国政府は投資、人材、サステナビリティに関する目標達成に向けて、税制優遇措置の活用を拡大しています。
回答者の57%は、各国政府が外国人材を誘致するために税制優遇措置の利用や価値を高めていると回答しています。
回答者の34%は、サステナビリティ関連の補助金や優遇措置を全面的に活用しています。また回答者の59%はそれらの活用を検討しています。
答) 最大の課題は、税制全体における複雑性の急速な高まりです。その一部は第2の柱やEUの炭素国境調整措置(CBAM)などに起因していますが、複雑性の多くは、国際的な制度を各国が一貫性なく導入していることから生じています。また、規制要件と自主的開示の両面から来る税務透明性関連の情報開示の増加もさらなる負担となっており、この傾向は今後数年間にわたり続くと予想されています。
答) Tax Administration 3.0は、税務コンプライアンスのプロセスを納税者の日常的なシステムに組み込み、「税務が自然に処理される(tax just happens)」状態を実現するOECDのデジタル税務行政モデルです。最終的には納税者と税務当局の双方にメリットをもたらすと期待されており、調査回答者もその認識を共有しています。
回答者は以下のようなポジティブな効果を期待しています。
AIベースの税務コンプライアンス・ソフトウェアによる正確性の向上
Tax Administration 3.0によるコンプライアンス対応に要する時間と人的資源の削減
電子インボイスの導入によるコンプライアンスの簡素化
一方で、移行自体に短期的に更なる投資が必要となり、一部の企業にとっては複雑性の増加につながっています。
とりわけ電子インボイスにおいてこの傾向は顕著です。コンプライアンスが簡素化されると考える回答者は過去2年間で減少している一方、多額の初期投資を主要な影響として挙げる回答者が増加しています。
税務のデジタル化が、コンプライアンスの簡素化を実現するためには、新たなテクノロジーだけでは不十分です。基盤となるデータの品質、適切なITインフラ、そして税務を企業全体のシステムや業務プロセスに組み込む能力が不可欠です。
答) 第2の柱が実施段階に移行するなかで、多国籍企業にとって最大の影響は新たなルールへの対応に伴うコンプライアンス負担です。
回答者の88%は、第2の柱の結果として、企業全体の税負担が増加すると予想しています。ただし、大幅な税負担増を見込む割合(32%)よりも、若干の税負担増にとどまると考える割合(56%)が依然として高くなっています。
Side-by-Sideパッケージによる追加的なセーフハーバーは一定の簡素化効果をもたらすものとして歓迎されましたが、回答者の41%が、さらなる簡素化のための国際協力が引き続き優先課題とみており、さらなる取組みが求められています。
上記のとおり追加的な税負担そのものは限定的と見込まれているものの、コンプライアンス業務の負荷は依然として大きい状況です。そのため、多くの多国籍企業にとっての戦略的課題は、どれだけ税額が増えるかではなく、第2の柱のコンプライアンス対応をいかに効率的に構築するかにあります。
初回の申告期限が6月末に迫る中、企業と税務当局はいずれも実務上の対応に注力しています。OECDが公表した「共通理解(Common Understanding)」は、申告ポータルや情報交換体制の整備が十分に進んでいない場合の移行的な救済措置として歓迎されています。
答) 税制優遇措置は、様々な政策分野において、これまで以上に重要性を高めると考えられます。第2の柱、とりわけ「substance-based tax incentive Safe Harbour(実体ベース税制優遇措置セーフハーバー)」の合意を受け、各国政府は競争力強化の手段として税制優遇措置への依存を強める可能性が高くなっています。これは企業にとってポジティブな動きであり、回答者の38%は新たな優遇措置の導入を期待しており、57%は既存の優遇措置が、新たなセーフハーバーにより引き続き価値を持つと考えています。
また、グローバルな人材移動の拡大を背景に、各国政府は外国人材の誘致を目的として税制優遇措置を積極的に活用しています。回答者の57%は、これら政策手段の利用や価値が高まっていると認識しています。
さらに、税制優遇措置は、多くのサステナビリティ関連施策の中心的な要素でもあります。回答者の34%は利用可能な優遇措置、補助金、減免措置を全面的に活用しており、また回答者の59%はその活用を検討しています。
調査方法
「2026年世界租税政策調査」は、28の法域にわたる税務・財務分野のリーダー1,010人の見解を集約したものです。本調査は2026年1月から3月にかけて実施され、多国籍企業に最も大きな影響を与えるグローバルな租税政策の動向と、その業務運営への影響について、以下の6つのテーマに関して分析を行いました。
税の透明性とレポーティング
国際税制改革(第2の柱を含む)
税務のデジタル化(AI(人工知能)を含む)
労働と富への課税
サステナビリティ
通商政策と関税制度
Deloitte's 2026 Global Tax Policy Survey illustrates where complexity is intensifying, where policy is shifting, and what that means for your business today.
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ご協力ありがとうございました。