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国税庁 BEPS2.0第1の柱「利益B」に関するFAQの公表について

Japan Tax Newsletter:2025年7月2日号

Executive Summary

  • 国税庁は2025年6月30日、ウェブサイトにおいて、OECD/G20のBEPS包摂的枠組みで合意された、移転価格税制の適用に係る簡素化・合理化アプローチ(利益B)に関するFAQを公表した。
  • 日本の対応として、当面の間、簡素化・合理化アプローチ「利益B」は導入されない。しかし、国外関連者が所在する国・地域によっては、利益Bが導入される可能性があるため、国税庁はFAQを公表し、日本における税務上の取扱いを明確にした。
  • 当該FAQの内容は、OECDから2024年2月に公表されたガイダンス(利益Bガイダンス)と、これ以降に公表されている内容に沿ったものであるが、日本における取扱いとして以下のポイントが列挙されている。

    • 独立企業間価格の算定、事前確認の申出、二重課税が生じた場合の相互協議、移転価格文書のいずれにおいても、利益Bのみを用いる方法は認められず、日本の移転価格税制に則した従来の独立企業間価格の算定が必要となる。この取扱いは、国外関連者の進出先国・地域がCovered jurisdiction(政治的コミットメント対象国)に該当するか否かによって影響を受けない。
    • 一方で、利益Bガイダンスには、当該国・地域が政治的コミットメント対象国に該当し、かつ、租税条約が締結されているときは、利益Bを適用した国外関連者との取引を行った法人の所在地国・地域内の法令や執行上の慣行の範囲内において、当該進出先国・地域の利益Bの適用結果を尊重(respect)する旨が記載されている。相互協議でもこれを踏まえ、日本の法令や執行上の慣行の範囲内において、対応することになる。
  • 各国・地域の利益B導入に係る判断と公表のタイミングは引き続き不透明な状況であるが、非導入の場合でも価格決定マトリクスのROSがフロア(下限)として機能する可能性もあり、各国・地域の導入判断を待たずに適格取引、適用ROSレンジ、既存営業利益率に係る事前アセスメント(ヘルスチェック)を行い、移転価格リスク低減に係る行動計画の検討を行うことが望ましい。特に、利益Bに基づくROSよりも実績ROSが低い場合には注意が必要である。

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

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