日本企業による品質不正は2020年代においても続発しており、品質を巡る「ガバナンス」の在り方が改めて問われています。品質不正に対して、「教育」や「トップメッセージ発信」は実施しているものの、「組織」や「制度・仕組み」などガバナンスの根幹にまで踏み込んだ対策は道半ばであり、全社的な経営アジェンダとしての取り組みが求められます。
近年、品質データの偽装や捏造・改ざん、製造・検査工程における法定基準・顧客仕様の非準拠、無資格検査などといった品質不正が多数発生しています。
上記のような品質不正が発覚した場合、企業は顧客や社会に対する説明や規制当局・監督官庁への対応の他、信用失墜による売上低迷や賠償責任に発展する恐れがあるなど、企業の存続にも重大な影響を与えかねません。
当グループが実施した調査によると、多くの企業が品質不正を防ぐための取り組みとして「教育」や「トップメッセージの発信」は積極的に実施している一方で、「組織」や「制度・仕組み」などガバナンスの根幹にまで踏み込んだ対策には多くの企業が課題を持っています。
品質データ捏造や改竄などの品質不正は、個人的な利益のために行われる一般的な不正とは異なり、組織からのプレッシャーにより行われるケースや当事者に自覚がないまま無意識に行われるケースが多くみられます。これらのケースを防止するためには、従業員の倫理観に頼った「教育」や「トップメッセージの発信」だけではなく、プレッシャーや機会を与えないための組織体制や社内の制度・仕組みを整備することで、予防が可能となります。
健全な品質ガバナンスの構築にあたっては、「戦略」・「組織」・「制度・仕組み」・「業務」・「組織風土・価値観」の5つの観点から、課題や施策の検討を行うことが有効です。
品質ガバナンス高度化のための施策は様々ありますが、とりわけ「戦略」・「組織」・「制度・仕組み」は関係する部署が多く、経営アジェンダとして全社的な取り組みが必要になります。
デロイト トーマツ グループでは、経営アジェンダへ対応するための様々な専門家を有しており、品質不正の予防から対処・回復まで、幅広いサービスをワンストップで提供します。