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久米島MaaSモデルの実証結果について

久米島MaaS事業概要

有限責任監査法人トーマツは、経済産業省が実施する「令和6年度地域新MaaS創出推進事業」について、2024年7月26日付で内閣府沖縄総合事務局と委託契約を締結しました。本委託契約には、実証地である久米島町に加えて、アンケートを担当する一般社団法人くめじまDMO、EVカートの提供を担当する株式会社イメイド(地元EVメーカー)、広報等を担当する株式会社TOVILAが参画しました。本委託契約において、久米島町における地域交通と社会課題の解決に向けた事業(久米島MaaS事業)として、主に観光客を対象にした実証を2024年9月1日~10月31日間で実施しました。昨年度は地域住民向けに具志川エリアにて実証を実施しており、本年度は日本の渚100選に選ばれたビーチがある久米島の代表的な観光エリアであるイーフ地区にて実施しました。実証内容としては、EVカートを用いてイーフ地区内を実際に移動していただき、移動に関するニーズや社会実装に向けた課題の調査を実施しました。また、観光客向けの異業種連携サービスとして久米島の観光資源を生かした「島のほろよいクラフトビールセット」、「EVカートで真謝周遊と車海老素焼き体験」ツアー等も展開し、計82名(島のほろよいクラフトビールセット:75名、EVカートで真謝周遊と車海老素焼き体験:7名)の皆様にご体験いただきました。今後は、将来を見据えた調査として自動運転の導入可能性調査を島尻エリアで実施します。

図1. イーフ地区周遊線路線図

久米島MaaS事業の実証結果(運行状況の把握)

久米島MaaS事業では、MaaSシステムとグリーンスローモビリティを活用することで、将来的に地域交通がシームレスな運行を達成できることを目指しています。久米島町には公共交通機関として町営バスが走っていますが、町営バスだけでは細かな移動ニーズに応えられず島民及び観光客の多くは自動車での移動を余儀なくされています。自動車移動は便利な一方で、高齢者による免許返納やCO2排出等の課題もあり、公共交通機関を利用したシームレスな移動が可能となることで島内外の皆様により便利と感じていただける島内移動の構築と脱炭素の実現を目指しています。また、本事業の最終目標として、主要エリアの移動はバス、エリア内の移動はEVカートと棲み分けをすることで、公共交通機関の走行頻度などの移動課題を解決し、島民および観光客による交通機関利用の促進を目指しています。本年度事業では町営バス(一台)及びEVカート(一台)に乗降者数センサーおよび位置ロケーションシステムをテスト導入し、島内において乗降者データ(乗降者人数*1、位置情報*2)を遠隔で自動取得が可能かを調査しました。乗降者データは混雑状況のリアルタイム発信や今後の最適な公共交通機関の路線検討等への適用を想定しています。島内の通信状況により3G/4Gの電波が届かないエリアが点在したと推測される一部データの欠損はありましたが、概ね問題なくデータをリアルタイムで取得できました。今後は町営バス及びEVカートでの乗降者データと実データとを比較し、センサーの精度検証及び改善策の検討を実施します。

*1 乗降者人数:人を認識できるカメラセンサーを用いてEVカートに乗車・降車した人をカウントした数
*2 位置情報:カメラセンサーで人の乗車・降車をカウントした場所の緯度経度データ

図2. 観光コンテンツパンフレット

久米島MaaS事業の実証結果(利用者数の推移)

本実証のEVカートの路線ではKPIを総利用者数週50名と設定し、最終結果として合計1,302人(週平均130名)の利用者数となりました(10/27に行われた久米島マラソン開催日の臨時便も含む)(図3)。利用者需要が多い地点としては、主要なリゾートホテルである久米島イーフビーチホテルやリゾートホテル久米アイランドおよび、観光地として有名な畳石(奥武島)での乗降者数が多い結果となりました。台風などによる天候不良で運休となった期間もありましたが、結果的には多くのお客様に乗っていただくことができました。

EVカート周遊線利用者が目的地で楽しめることを提供するために企画したキャンプ場の「島のほろよいクラフトビールセット」は累計75人が利用し、平日、休日ともに利用が多くなりました。ビールを飲むだけでなく、自然を感じられることもあり、多くの世代の方にご利用いただき、おひとり様から家族連れまでお楽しみいだけるパッケージとなりました。また、異業種連携サービスによる事業多角化ツアーでは「EVカートで真謝周遊と車海老素焼き体験」を催行し、実証期間中は7人の利用がありました。こちらに関しては周知の点で課題があったものの、参加者からは久米島で今まで体験することが出来なかった車海老の素焼きなどに関して好評をいただいており、来年度以降も新しいコンテンツを考案しながら異業種連携の一つとして引き続き事業継続をしたいという声をいただいております。

実証中には、乗降いただいた住民、観光客の皆様へ島内移動や観光ツアーに関するアンケートを実施しました。乗降いただいた住民、観光客別の乗車の多い路線は久米アイランド~イーフ情報プラザを経由した周遊線となりました。住民では51名、観光客では307名の利用があり、観光客については「絶景を楽しめるビーチ ハテの浜」への船が出ている泊フィッシャリーナや観光地である畳石、キャンプ場へのルートとして利用したからと考えています。

「久米島MaaS事業」は離島での交通課題解決となるビジネスモデル構築として取り組んでおり、久米島での成果を基に同モデルの別自治体への展開を目指しています。

図3. EVカート(路線運行)利用者数の推移

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