人口増加に伴う資源の枯渇が世界的な課題となる中、海洋資源の利活用がそれら社会課題を解決する大きな打ち手となる可能性は高く、海洋は巨大なCSVフィールドに位置付けられます。少資源国である我が国にとって、国の力を育むために、排他的経済水域と領海を合わせて世界6位という海洋国土・自然資本と様々な海洋関連産業の競争力とを、資源として最大限活用することが重要になってきます。
その市場成長期待の一方、生物多様性条約第15回締結国会議(COP15)で定められた昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえ、2030年に向けて生物多様性の損失を止めて回復へと転換させるネイチャーポジティブの取組みを進めることが国際的に企業に求められる中、生物多様性保全への対応が重要性を増しています。
その流れは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が推進する、自然環境や生態系に与える影響の情報開示に関する枠組み提言の公表により、更に加速し始めています。
原材料調達~製造~流通~廃棄に至る企業のサプライチェーンを俯瞰した際に、海・水・資源とのつながりが無い企業はほぼ皆無と言っても過言ではなく、企業のサステナビリティ推進におけるマテリアリティ・マネジメントにおいて、海洋における生物多様性保全やネイチャーポジティブは、あらゆる企業にとって不可避なイシューのうちの一つとなってきています。
欧州では生物多様性への対応を「グリーンエコノミー」の一環として先行させていますが、日本は海洋国家たるポテンシャルと関連産業の競争力とを活かし、「ブルーエコノミー」で世界を先導することが一つの戦い方になりうると考えられます。関連する市場領域には、我が国の経済安全保障に貢献しうる領域も数多く存在しており、海洋をフィールドとした社会課題の解決を通じて世界のサステナビリティに貢献することで、日本国・日本企業が世界のリードポジションの獲得と独自性ある経済安全保障基盤を確立することにつながります。
企業にとって、生物多様性への対応を事業推進の前提条件に置きつつ、海洋をフィールドとした社会課題の解決・社会要請に貢献する骨太なCSV事業の創出に挑戦することが、自社の事業成長と日本の将来への貢献につながります。