複数の新たな自然資本のフレームワークにより、企業価値が大きく変化し、目標設定・KPI設定は大幅な変更を余儀なくされます。それに対してデロイト トーマツでは一歩先を行く支援を対応しています(図2)。
TNFDは2023年にフレームワークの最終提言を公表し、多くの企業が一斉に自然関連財務情報開示に取り組み始めました。TNFDへのコミットメントを示す「TNFD Adopters」に登録した日本企業(金融、非金融)は2025年11 月末時点で200機関を超え、世の中の生物多様性・ネイチャーポジティブを取り巻く環境は急激に変化しています。2025年11月には、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、「TNFDの開示に関する推奨事項、指標、ガイダンス等に基づき、自然関連のリスク・機会に関する基準設定プロセスに移行する」と発表し、2026年10月に開催される生物多様性条約(CBD)COP17会合までに、公開草案を準備予定とされています。ISSB基準は世界約40の法域で採用または使用されていることから、各国でのさらなる自然関連財務情報開示の主流化が期待できます。TNFDフレームワークは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)と類似するものの、1) 自然が事業に与える影響と、2) 事業活動が自然に与える影響の双方を評価する「ダブル・マテリアリティ」の視点が新たに求められています。
また、気候変動に関するSBT(Science Based Targets)設定に参画する企業が世界で2,000社近くとなるなか、SBTN(Science Based Targets Network)による自然に焦点を置いた自然SBTsの枠組み検討も進められており、2023年に自然SBTsに関する初期ガイダンス(Step1, 2, 3【淡水・土地】)が公開されました。
これらTNFD・SBTNに応じた目標・KPI設定※1や開示に関する規制等が将来的に導入される可能性が高い中、自然に対する事業活動の依存性や影響を把握することはレジリエンス向上にもつながるため、今からの準備が奨励されます。
※1 KPIの検討では、社会的投資の活性化を目的にロックフェラー財団を中心とした投資家達によって着想・創設されたインパクト投資を推進する国際イニシアチブであるGIIN(Global Impact Investing Network)が提供するインパクト測定ツール「IRIS+」が参考になります。このIRIS+にはSDGsを含む様々な社会課題との関連性やそのインパクトを測定する為の685の指標が紹介されており、テーマの一つとして設けられている「Biodiversity and Ecosystems」を選択することで45の指標(Metric)を抽出することができます。ここから自社に関連する指標をピックアップして事業活動や製品・サービスとの関係性を整理することでリスクと機会が見えてくるはずです。その際、自社の活動のみならず、バリューチェーン全体に広く思いを巡らせることが重要です。手法としてはSDGsコンパスなどでも紹介されている、投入(インプット)から活動(アクティビティ)、産出(アウトプット)、結果(アウトカム)、影響(インパクト)までの道筋を追う「ロジックモデル」が有効と考えます。このような方法で識別されたマイナス影響を最小化し、プラス影響を最大化するKPIや目標の設定が期待されます。