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人材育成の実態調査2026

調査結果から分かる日本企業の現在地と問題点

デロイト トーマツ グループが日本企業の人材育成の実態を調査した結果、研修施策の整備は一定程度進む一方で、経営戦略・事業成果との接続や、効果向上の追求が十分でないことが明らかになった。人材育成の高度化に向けては、育成を戦略実現の仕組みとして捉え、必要な人材像の設計・施策・効果検証・改善等を一体的に設計・運用することが重要である。

現在、日本企業の人材育成は、事業や組織の成果にどれだけつながっているだろうか。また、そのつながりはどこまで可視化されているだろうか。人材育成は人事施策にとどまらず、戦略実行に必要なスキル・能力を形成する取り組みである。実効性を担保するには、戦略遂行に必要な人材の質・量を明らかにし、育成、実務活用、効果検証までを有機的につなげ、一貫して機能させる必要がある。

今般、デロイト トーマツ グループでは、日本企業の人材育成の実態と課題について、戦略から基盤に至るまでの全体像を把握するために調査を実施した。なお、本稿では、調査結果のうち全体傾向をサマリとして紹介する。回答企業には、項目別の平均マチュリティレベルやデータ集を含む詳細レポートを別途提供している。

調査の特長

本調査の特色は、国内の一般的な「企業の人材育成に関する調査」では十分に捉えられてこなかった、人材育成のプロセスとそれを支える基盤の各項目について、企業のマチュリティを可視化した点にある。

一般的な調査では、研修や制度といった個別施策の有無、実施・参加状況を把握するものが多い。これに対し、本調査では、人材育成を単発施策ではなく、経営戦略と接続する育成戦略の策定から、育成計画の策定・実行、効果測定・改善に至るプロセスとして捉えて実態を調査した。さらに、これを支えるコミュニケーション、支援体制、ツールなどの基盤要素も調査対象とした【図1】。


図1:人材育成のプロセス・基盤

経営戦略に基づき、人材育成を計画・実行・評価・改善する循環が重要。

そのうえで、各社の取組み状況については単純集計にとどめず、15項目で構成されるマチュリティモデルを用い、あるべき姿に対する到達度を整理・分析した。マチュリティレベルはLevel 1~5の5段階とし、Level 1を「プロセス・基盤が未整備な状態」、Level 5を「プロセス・基盤が全社に浸透・定着し、継続的に運用・改善されている状態」と定義した【図2】。

 

マチュリティモデルの15項目

人材PF・育成戦略の策定

1.人材ポートフォリオおよび育成戦略の策定状況
2.期待する成果(KGI/KPI)が定義状況


育成計画・施策の策定

3.獲得すべきスキルの整理状況
4.Off-JT/OJT/サポート施策の整理・運用状況


育成施策の実行

5.研修の提供形態の充実度合い
6.スキルに紐づけた課題・実務を与える仕組み有無


効果測定の実施

7.効果測定の実施状況


育成戦略・計画の見直し

8.戦略・計画・施策全体の見直し状況
9.研修コンテンツの見直し頻度・範囲

社員へのコミュニケーションの実施

10.社内への育成戦略・施策の説明状況


支援体制の構築

11.事務局の体制・予算の充実度合い
12.経営層のコミットメント状況
13.育成計画・施策策定への事業部門関与状況


ツールの整備

14.スキル・研修受講履歴の管理ツール有無
15.必要なスキル獲得を支援するツール有無

図2:マチュリティモデルにおけるレベル

組織のプロセス・基盤整備の成熟度を、未整備から全社定着まで5段階で示す。

調査結果から分かった人材育成に関する日本企業の現在地と問題点

各企業の回答を集計した結果、平均レベルが高かった項目、低かった項目は次の通りとなった。

平均レベルが高かった項目(カッコ内はマチュリティレベルの平均点)

経営層のコミットメント状況(3.1)

社内への育成戦略・施策の説明状況(2.9)

研修コンテンツの見直し頻度・範囲(2.9)

平均レベルが低かった項目(カッコ内はマチュリティレベルの平均点)

必要なスキル獲得を支援するツール有無(1.1)

人材ポートフォリオおよび育成戦略の策定状況(1.4)

獲得すべきスキルの整理状況(1.7)

調査結果より、日本企業の人材育成における二つの問題点が見えてきた。

問題点1.人材育成と経営戦略の分離

一つ目は、人材育成が「人事施策の一つ」に留まり、経営課題に昇華できていないことである。研修の提供形態やコンテンツの見直しなど、人事部門が主導しやすい領域では一定の整備が進んでいる。一方で、経営戦略と人材育成の「繋ぎ」は発展途上である。

例えば、多くの企業では、経営戦略の実現に向けて、どのような人材が、どの程度必要なのかが明確に定義されていない。そのため、現有人材とのギャップを踏まえた育成計画を立てにくく、施策も個別の研修やテーマ別施策として設計されがちである。KPI・KGIについても、受講率や参加人数など、人事施策の進捗指標にとどまるケースが多く、売上、利益、品質、生産性等の事業成果と関連する指標は限定的であった。結果、経営課題解決への育成の貢献度合いを説明しにくい状況が生じている。

問題点2.人材育成に関するフォローアップ施策の不足

二つ目は、人材育成が場当たり的な活動に留まり、効果向上の追求が十分でないことである。人材育成前後の支援について、多くの企業は十分に整備できておらず、学びの実践・定着につながっていない傾向がある。また効果測定についても、満足度や理解度の確認にとどまり、行動変容や業績への影響まで検証している企業は少ない。

以上を踏まえると、今後の人材育成の高度化においては、育成を「人事施策」ではなく「経営戦略を実現する仕組み」として捉え直すことが重要である。必要人材像の明確化、学びの実践・定着を促す支援、行動変容や事業成果を見据えた効果検証・改善等を一体で設計・運用していくことが求められる。

デロイト トーマツ グループでは、今後も人材育成の実態調査を継続して実施していく。自社の現在地を確認し、今後の取り組みを検討する機会として、今後の調査にぜひ参加いただきたい。

調査概要

調査名称

人材育成の実態調査2026

調査方法

Webアンケート

調査期間

2026年5月11日~6月10日

参加企業数

78社

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