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【AI時代の判断と責任 ― 幹部採用の新基準|調査レポート】経営・会議の「意思決定の中枢」に浸透する生成AI、幹部採用の見極めにも大きな変化

AI活用スキルを採用時に「確認しない」企業はわずか3.8%でAIスキルは標準装備の様相、採用も変革の兆し

デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社は、生成AIを業務で活用している企業の経営層・採用に携わる幹部・採用担当者を対象に、「AI時代の判断と責任―幹部採用の新基準」に関する調査を行いました(有効回答数:1,004人)。

はじめに

驚異的なスピードで進化し続ける生成AIは、今や企業経営にも影響を及ぼす存在です。

AI活用スキルは現場レベルにとどまらず、経営や事業の方向性や意思決定を担う経営層や管理職にも求められています。一方で、「どこまでを生成AIに任せるのか」「最終的な意思決定は誰が担うのか」といった活用範囲は、マネジメント層の役割や評価と密接に関わるテーマでもあります。

そこで今回、AI時代の“判断”と“責任”、そして“幹部採用”をテーマに、活用実態や企業の判断基準、そして幹部採用における評価の分岐点を調査しました。

AI活用が進む「今だからこそ」見えてくる、企業が求める幹部人材像と意思決定のあり方を読み解きます。

※本調査における「幹部採用」とは、部長・事業責任者などのマネージャークラスを中心に、経営判断や事業運営に関わるポジションの採用=管理職採用と定義しています。
※本調査における「企業規模」は、大企業:従業員1,000名以上、中堅企業:従業員300~999名、中小企業:従業員50~299名、小規模企業:従業員10~49名と定義しています。

調査概要

「AI時代の判断と責任 ― 幹部採用の新基準」に関する調査
■調査期間:2026年1月19日(月)~2026年1月21日(水)
■調査方法:PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
■調査人数:1,004人
■調査対象:生成AIを業務で活用している企業の経営層・採用に携わる幹部・採用担当者
■調査元:デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社

調査結果 サマリー

  • 大企業では約半数が生成AIの「即戦力スキル」を求め、実務での本格活用が先行している
  • 生成AI活用による変化は全体で「業務効率・生産性の向上」が最多
  • 経営や会議など「意思決定の中枢」への生成AI浸透が進む一方、「誤情報の利用」や「責任所在の不明瞭化」が課題に
  • 幹部採用時に生成AIスキルを「確認しない」企業は全体でわずか3.8%、生成AI活用能力の評価が選考プロセスとして定着傾向
  • 8割以上がAI時代の幹部の役割に変化を実感、生成AIが出すデータの妥当性を見抜く「目利き力」が最重要視される傾向に

調査結果 詳細

生成AI活用の現在地|大企業が先行する本格活用、実践的なAIスキルを求める大企業が約半数という結果に

はじめに、「生成AIに関して自社社員に求めるスキル」について尋ねたところ、『生成AIへの一定の理解(43.6%)』が最多となり、次いで『生成AIを使いこなすAI領域の即戦力(28.8%)』と続きます。

また、『生成AIに関するスキルや知識を問わない(14.5%)』と『生成AI活用の方針をまだ定められていない(13.1%)』が2割未満という結果です。

<企業規模別>での傾向も紹介していきます。

小規模・中小・中堅企業では『生成AIへの一定の理解』を求める声が多いのに対し、大企業は『生成AIを使いこなすAI領域の即戦力(47.4%)』が最多で、約半数が実践的なスキルを求めていることが明らかになりました。

一方、小規模企業では『生成AI活用の方針をまだ定められていない(21.8%)』や『スキルや知識を問わない(21.4%)』の回答割合が他と比べて2割以上とやや高く、すでに生成AI活用を前提とした事業運営にシフトしている大企業との差が見受けられます。 

AI浸透による最たる変化は「業務効率・生産性の向上」で約4割、特に大企業が効果を実感

次に、「生成AIの活用によって最も変化を感じている点」について尋ねたところ、最多は『業務効率・生産性の向上(36.4%)』で他項目を圧倒し、次点以降は『会議の意思決定や決裁判断に関わる時間の短縮(20.7%)』『営業戦略や営業活動の高度化/効率化(17.4%)』と続きました。

下位項目については、『特に変化を感じていない/分からない(10.3%)』『組織マネジメントの高度化/効率化(9.2%)』『人材育成の迅速化(3.5%)』『情報発信・情報共有の高度化(2.6%)』という結果になりました。

ここでも<企業規模別>では興味深い傾向が見られました。

全体データと同様に、すべての企業規模で『業務効率・生産性の向上』が最多です。
特に大企業では『48.8%』 と約半数が生産性の向上を実感しており、前問で“AI領域の即戦力スキル”を自社社員に求めていた背景とも一致する結果です。

なお、『特に変化は感じていない/分からない』が小規模企業では『20.5%』と2割に至りました。対して大企業はわずか『1.4%』にとどまり、企業規模による生成AI活用の浸透度と成果の格差が鮮明となっています。 

経営・会議・戦略 ― 意思決定の中枢へ生成AIが浸透。一方で「誤情報」「責任所在」のリスクが浮き彫りに

意思決定の場面に生成AIがどの程度の影響度があるかを紐解きます。

「生成AIを活用した意思決定が、特に重要だと感じる場面」について質問しました。

3割を超えた上位3項目の回答は、『会議・ミーティングでの意思決定(37.8%)』『リスク・コンプライアンスに関する判断(33.5%)』『経営・事業戦略に関する意思決定(33.1%)』という並びです。

下位項目は『営業戦略・営業マネジメントの判断(27.8%)』『業務改善・オペレーションの判断(24.1%)』『人事・採用・評価に関する判断(18.4%)』『現時点では、重要だと感じる場面は特にない(8.6%)』と続きました。

<企業規模別>のデータでは、企業規模が大きくなるほど、各局面において生成AIの判断を重要視する傾向が強まる結果となりました。

大企業においては、『会議・ミーティングでの意思決定(46.9%)』が最も多く、次いで『経営・事業戦略に関する意思決定(41.2%)』『リスク・コンプライアンスに関する判断(39.3%)』が上位に挙がりました。 

日々の会議や経営方針の策定といったビジネスの中枢部分において、すでに生成AIが不可欠な判断材料として機能している傾向が示されました。

また、生成AI活用が進んでいないことを示す『現時点では、重要だと感じる場面は特にない』の回答は、大企業ではわずか『1.9%』にとどまりました。

続いて、「生成AIを活用した意思決定やマネジメントにおけるリスクやデメリット」について尋ねたところ、『生成AIの提案・回答に対する妥当性判断がつかず、誤情報を利用してしまう(35.2%)』が最多で、次いで『生成AI依存により、意思決定時の責任所在が不明瞭になる(33.8%)』『生成AI依存により、意思決定のロジックが不透明になる(25.6%)』が上位に挙がりました。

幹部採用の新基準 ― 生成AI活用スキルは「標準装備」の時代へ。

では、意思決定の中枢に生成AIが入り込む中で、その最終判断を担う幹部の評価基準はどのように変化しているのでしょうか。

「幹部採用において、生成AIの活用スキルはどの程度影響するか」と尋ねたところ、『非常に影響する(24.1%)』『ある程度は影響する(55.6%)』『あまり影響しない(15.1%)』『まったく影響しない(5.2%)』という結果になりました。

『非常に影響する』と『ある程度は影響する』を合わせると、約8割(79.7%)が生成AI活用スキルは幹部採用に“影響を及ぼす”と判明しました。

続いて、前問で『非常に影響する』『ある程度影響する』と回答した方に「生成AIを活用できる幹部人材を採用するうえで、最も重要な能力」について聞きました。

2割超となった上位項目としては、『組織やメンバーに生成AI活用を促進する能力(32.6%)』が唯一3割を超え、次いで『生成AIの出力を鵜呑みにせず、妥当性を判断できる能力(25.4%)』『情報管理・セキュリティに関するリスクを意識して活用できる能力(21.5%)』と続きます。 

幹部採用時にAIスキルを確認しない企業はわずか3.8%

「幹部採用候補者の生成AI活用能力を採用面接時にどのように確認しているか」と尋ねたところ、『業務での具体的な生成AI活用事例を質問し、実務経験を確認している(45.0%)』が最も多く、次いで『過去の生成AI活用プロジェクトへの関与経験を確認している(41.9%)』『生成AIに関する知識や理解度を質問形式で確認している(31.1%)』が上位に挙がりました。

知識の有無だけでなく、具体的な経験値が幹部採用時の重要な判断材料となっている傾向が見られます。

そして、特に注目すべき点は、『採用時には確認していない』と回答した企業はわずか『3.8%』にとどまっていることです。大多数の企業が、幹部採用の選考プロセスにおいて生成AI活用能力が必須条件であることが見て取れます。 

AI時代に幹部に求められる役割は「データの妥当性」を見極め、意思決定の「判断スピードの向上」と「仕組みの再構築」を主導する力

「生成AI時代において、幹部に求められる役割は変化していると思うか」と尋ねたところ、『大きく変化している(27.0%)』『ある程度は変化している(55.0%)』『あまり変化していない(13.2%)』『変化していない(4.8%)』という結果になりました。

『大きく変化している』と『ある程度は変化している』を合わせると、8割超(82.0%)が生成AIによって幹部に求められる役割は“変化している”と感じているようです。

次に、前問で『大きく変化していると思う』『ある程度変化していると思う』と回答した方に、「幹部に求められる役割はどのような点で変化していると思うか」と尋ねました。

最多は『データや根拠の妥当性やリスク評価が求められる(59.4%)』で他を圧倒し、次いで『判断スピードがより重視される(38.6%)』『業務範囲の再定義・再設計が求められる(35.8%)』と上位項目が続きます。

下位項目では、『倫理観・責任の取り方がより厳しく問われる(30.3%)』『生成AI導入による意思決定フローの新設計および運用が必要(23.1%)』『人材育成・組織開発への関与が重要(11.7%)』と並びました。 

AIを高度に活用するためにマネジメント層に求められるスキルとは

最後に、「AI時代において、あなたが“このような人は幹部・管理職に向いている”と感じる人物像」の生の声(フリーコメント)をお届けします。

【生成AI時代の「幹部・管理職に向いている」と思う人物像】
  • AIは指示がなければ動かないため、部下に対してもAIに対しても、抽象的なビジョンを具体的な「言葉」に落とし込める能力が不可欠だと感じる(20代男性/中小企業 会社員|採用担当)
  • 生成AIを具体的な業務に適用するにあたってのユースケースやリスク・軽減策を検討できる人間(50代男性/大企業 会社員|採用担当)
  • 責任感と潜在的な知能の高さを持つ人こそが生成AIと向き合えると個人的には思う(50代男性/中小企業 経営者・役員)
  • 旧来型のアナログ的な考え、経験に基づく判断と、新たなAIも活用した幅広い情勢分析をうまくバランスさせて戦略を考案できる人材(60代男性/中小企業 経営者・役員)
  • AIの判定云々に関わらず、ミクロ/マクロの両面から、俯瞰的かつ、より高い視座からの判断が出来る(60代男性/中小企業 会社員|採用担当)

寄せられた声からは、生成AIに的確な指示を出す「言語化能力」や、出力結果と自身の経験を融合させる「バランス感覚」、そして最終的な「責任」を負う覚悟が求められていることがわかります。

テクノロジーが進化を続ける今だからこそ、幹部・リーダーの本質的な人間力や決断力が、これまで以上に問われていると言えそうです。

調査結果 まとめ

今回の調査により、大企業を中心に生成AIの本格活用が経営や会議といった意思決定の中枢にまで浸透し、業務効率や生産性向上といった実利を生み出している実態が明らかになりました。

一方で、生成AIを活用した現場においては、「誤情報の利用」や「責任所在の不明瞭化」といったリスクへの懸念が上位を占める結果となりました。

企業としては、こうしたリスクを適切に管理し、生成AIのアウトプットを鵜呑みにせず「データの妥当性」を見極めることができる幹部人材が必要になってきていると考えられます。

また、幹部採用における実態を見ると、生成AI活用スキルを「採用時には確認していない」と回答した企業は全体でわずか3.8%にとどまりました。

大多数の企業が選考面接の中で、具体的な活用事例やプロジェクトへの関与といった「実務経験」を求めていることからも、もはや生成AI活用スキルは、幹部候補にとって「あって当たり前」の標準要件となっていることが見て取れます。

さらに、8割以上の企業が「幹部の役割は変化している」と回答し、正確な判断(質)を担保しつつ、意思決定の「スピード向上」や「業務プロセスの再構築」を牽引する力が求められていることが明らかになりました。

今後は、ツールとして生成AIを使いこなせるだけでなく、そのリスクをコントロールしながら組織の意思決定を加速させ、業務プロセスそのものを再構築できるリーダーの存在が、企業の競争力を左右すると言えるでしょう。

> 企業規模別に、より詳しく分析した調査データの全文版はこちら

■デロイト トーマツ ヒューマンリソース株式会社について

ハイクラス領域の採用支援を通じて経営課題・事業課題を解決する総合人材エージェントです。プロフェッショナルファームの一員であることによる人材ネットワークと、“転職潜在層”へのリーチも可能とするエグゼクティブサーチの独自ノウハウによって、個社およびフェーズ毎にある特有の経営課題を人的資本の側面から多角的に支援し、企業のバリューアップに貢献しています。
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■DTHR研究所について

デロイト トーマツ ヒューマンリソースのDTHR研究所は、経営課題の解決に向けた実行主体である「人材」を軸に、経営と連動したテーマとして重要視される“人的資本”の視点から、日本企業の継続的な成長を促進するための採用・組織開発・育成・採用マーケティングにおける多角的な情報発信をしています。

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