人工知能(AI)の利活用におけるデータプライバシーは、イノベーションと倫理の間のバランスをどのように図っていくかについての試金石の一つと言えます。AIにかかわる技術は前例のないペースで進歩していて、それが効果的に機能するために膨大な量の個人データに依存しており、個人データがどのように収集され、利用され、保護されるかについて大きな懸念が生じています。
AIにかかわる技術は、インターネットの普及とデジタルデータの収集・保存の時代を通じて長年見られてきたプライバシーの懸念をさらに深めます。AIが他と一線を画しているのは、データに対する莫大なニーズとそのプロセスの不透明さであり、収集される個人データやその利用方法、また修正や削除に関するユーザーのコントロールはさらに弱まっています。今日のデジタル環境では、個人はオンライン上で追跡されるのを避けることは難しくなっており、AIの台頭はこれらの課題をさらに深刻化させる可能性があります。
対話型生成AIサービスやスマートホームデバイスなどの会話型ツールから、ヘルスケア診断や顔認識に使用される高度なアプリケーションまで、AIシステムはユーザーやその他多くの人々の両方からのデータをもとにモデルを改良し、出力結果を生成します。しかしながら、プライバシーにかかわる保護がなければ、こうしたデータは不適切に利用される可能性があり、企業を重大なレピュテーションのリスクやレギュレーションのリスクにさらす可能性があります。そのため、AIデータのプライバシーの問題は、世界中の政策立案者、開発者、その他のステークホルダーにとって重要な焦点となっています。
こうした背景の中、企業は、AIの大きな可能性を引き出すことと、規制当局の要求に応え、消費者の信頼を得ることのバランスを取ることが求められています。このレポートでは、AIにかかわる規制上の問題としてデータプライバシーに焦点を当て、上記の2つの期待を同時に満たそうとするときの課題を明らかにしようとしています。私たちは、アジアパシフィック (AP) 地域における現在のデータプライバシー規制の状況と、特定のデータにかかわるAIの要件を分析し、ステークホルダーが責任を持って効果的にエコシステム創り出すのに役立てていただくための洞察や実用的な方策を示すことを目的としています。
「データプライバシーにかかわる規制の概況」では、アジア太平洋におけるAIとデータプライバシーの規制について全体的な動向を述べているほか、域外適用や越境移転、データローカライゼーション等、各地域・国での規制上の重要な要求事項の有無をまとめています。
「データプライバシーに関する主な課題」では、特に同意、国境を越えたデータ移転、データの最小化という、AIの利活用に関連してどの規制にも共通して見られる3つの課題について、企業での対応を検討する際の留意点を述べています。「求められる対応の例」では、規制で求められる要求事項を踏まえ、社内の意識の醸成やプライバシーバイデザイン等、企業での対応において参考となるプラクティスを紹介しています。
「地域・国ごとの詳細」では、アジア太平洋の地域・国ごとに、AIにかかわるデータプライバシーの規制について、法律やガイドライン等の動向を述べています。
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