本稿では、「令和8年度厚生労働省予算概算要求の主要事項」について、「令和7年度厚生労働省予算案の主要事項」との比較を通じて、医療・保健・介護領域における直近の政策トレンドをまとめる。
国の医療DXの施策における「全国医療情報プラットフォーム」の仕組みの一つとして、「電子カルテ情報共有サービス」の構築が進められています。提供されるサービスは次の4点になります。
※傷病名、感染症、薬剤アレルギー等、その他アレルギー等、検査、診療情報提供書等に記載された処方
電子カルテ情報共有サービスは、今後の医療情報システムの整備計画や医療情報の活用に大きな影響を与える取組みになると想定されますので、動向や医療機関に与える影響について本記事で紹介いたします。
病院の施設は年数の経過とともに老朽化し、耐震性や安全性、動線の問題、感染症対策など、様々な課題が顕在化します。こうした課題が深刻化した場合には、建替えを検討することが求められます。建替えの形態には、複数医療機関による再編・統合型のプロジェクトもあれば、単独での建替え計画もあり、地域や病院の状況に応じた選択が必要です。
一方で、病院側に建替えのニーズがあっても、外部環境は厳しい状況にあります。建築コストの増加に加え、病院の経営状況を踏まえると、建替えに充てる投資資金の確保は大きな課題です。資材や労務費の高騰、収益の伸び悩み、補助金の縮小などが重なり、従来のように計画どおりの建替えを進めることは容易ではありません。
こうした状況の中でも、安全で持続可能な医療提供体制を維持・強化するためには、施設整備を検討していかなければなりません。非常に厳しい経営環境の中で、医療提供を途切れさせないためには、病院の建替えだけでなく、改修や機能強化などの現実的で最善な策も視野に入れ、対応していくことが求められます。