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自治体の問い合わせ対応は変えられるのか

電話対応に追われる自治体職員へ 生成AIが変える住民対応

自治体における住民からの問い合わせは増加を続け、電話対応や窓口業務にあたる職員の負担が大きな課題となっている。本記事では、生成AIチャットボットを活用した問い合わせ対応の効率化と、業務負担を削減する具体的なアプローチについて解説する。

問い合わせ対応の負担、増えていないか

自治体においては、住民からの問い合わせ対応が日常業務の中でも大きな割合を占めており、同様の問い合わせが繰り返し発生している。

例えば、以下のような問い合わせである。

  • 給付金や補助金の対象・申請方法
  • 各種手続きの進め方や必要書類
  • ごみ分別など生活関連情報

これらの問い合わせは、制度改正や新制度の開始、年度末などのタイミングで一時的に集中するだけでなく、制度の複雑化や情報量の増加に伴い、平時においても増加傾向にある。

さらに、今後は職員数の制約や業務の高度化が進む中で、限られた人員で問い合わせ対応を担い続けることは、大きな業務負担となることが想定される。

現場で起きていることは何か

こうした問い合わせの増加により、自治体の現場では日常的に業務が分断される状況が生じている。例えば、申請処理や窓口対応を進めている最中でも電話が鳴り、その都度手を止めて同じ内容の問い合わせに対応せざるを得ない。

1件当たりの対応は短時間であっても、対応のたびに業務が中断されることで、作業効率の低下や対応の抜け漏れにつながるケースも少なくない。

  • 同じ質問への繰り返し対応
  • 電話対応による業務の中断
  • 窓口・電話の混雑

こうした状況が積み重なることで、問い合わせ対応が増えるほど他業務に割ける時間が減少し、業務全体を圧迫する構造となっている。

その結果、

  • 業務の中断が頻発し、全体の生産性が低下する
  • 対応にばらつきが生じ、住民への案内品質に影響が出る
  • 現場対応に追われ、業務改善や見直しに着手できない

といった状況が発生している。

なぜ解決できないのか

この課題は、現場でも対策が取られていないわけではない。繁忙期に応じて人員を増やしたり、FAQを整備したりといった対応は行われており、一定の負荷軽減につながっている。

しかし、こうした対応は一時的な対応にとどまり、問い合わせ対応の負担を根本的に減らすことは難しいのが実態である。

その背景には、

  • 問い合わせの多くが定型的である
  • 特定の時期に問い合わせが集中する
  • 同じ対応が繰り返される

という構造がある。

特に、同じ内容の問い合わせに繰り返し対応する状況では、人員を増やしても「対応する人が増えるだけ」で、業務そのものの効率は大きく変わらない。すなわち、現場で努力しても改善しきれない“構造的な問題”が存在している。

したがって課題は人手の不足ではなく、問い合わせ対応の「構造」そのものにある。

問い合わせはすべて人が対応すべきか

自治体における住民からの問い合わせは、次の3つに分類できる。

分類

問い合わせ例

① 自己解決可能な問い合わせ

申請方法、必要書類、受付期間など

② 少し補足すれば解決する問い合わせ

対象条件の確認、手続きの流れなど

③ 個別事情に応じた対応が必要な問い合わせ

例外対応、個別相談、ケースごとの判断など

このうち①②は、制度や手続きに関する「決まった内容」が多く、同じ説明を繰り返す形になりやすい。そのため、人が毎回対応しなくても、仕組みによって対応できる領域であるといえる。

チャットボットという解決手段

こうした「定型的で繰り返し発生する問い合わせ」に対しては、あらかじめ用意された情報をもとに自動で回答する仕組みを活用することで、効率的に対応することが可能となる。

このような定型的な問い合わせへの対応策として、多くの自治体で導入が進んでいるのが「チャットボット」である。

チャットボットとは、住民からの問い合わせに対して自動で応答する仕組みである。

住民にとっては、FAQ一覧から該当情報を探すよりも、質問形式で必要な情報にたどり着けるため、より自然に利用できるという特徴がある。

例:
「給付金の申請方法は?」
→ 即時に回答

また24時間対応が可能となることで、住民は時間を問わず自己解決できるようになり、問い合わせの時間帯が分散されることで、電話・窓口対応の混雑緩和にもつながる。実際の自治体においても、住民の利便性向上とともに、電話・窓口対応の負担軽減が実現されている。

AIチャットボットが市税の納付期限を案内し、利用者の質問に応答する対話画面の例を示した図。

出典:CAMEL株式会社「住民窓口Edia」画面イメージ

実証から見える実態(定量データ)

ある政令指定都市において、当社が実施した従来型チャットボットによるマイナンバーカード関連の問い合わせ対応に関する実証(12月中旬~2月末の約2カ月半)では、

  • 期間中に約2.4万件の問い合わせが発生
  • そのうち約6,500件をチャットボットで対応
  • 1日平均約85件、最大で約160件の問い合わせが発生

と、一定期間において多くの問い合わせが発生していることが確認された。また、日ごとに件数にばらつきがあることも示されている。

さらに、

  • チャットボット対応は全体の約27%を占める
  • 質問内容は上位10項目で約36%を占める

という結果となっている。

問い合わせ内容を見ると、「申請方法」「受け取り方法」「必要書類」など、手続きに関する基本的な項目が多く見られており、定型的な問い合わせが一定割合を占めていることが確認された。

特に、全体の約3割にあたる問い合わせがチャットボットで対応されている点から、問い合わせ対応の一定領域はデジタルで代替可能であり、職員が対応すべき業務を減らせる余地があることが示されている。

新しいアプローチ:生成AIを活用した問い合わせ対応の考え方

ただし、従来の多くのチャットボットは、「あらかじめ用意された回答」に基づいて対応する仕組みである。そのため、実際の運用では職員側に大きな負担が発生していた。

特に自治体業務では制度改定や時期的な変動が多く、FAQの整備とメンテナンスに多くの工数がかかることが課題となっていた。

一方、生成AIは質問の意図を理解し、その場で回答を生成できるため、あらかじめすべての回答を用意する必要がなくなるという特徴を持つ。

従来型チャットボットと生成AIチャットボットには、次のような違いがある。

項目

従来型チャットボット

生成AIチャットボット

回答方法

FAQ・シナリオを表示

質問内容を理解して回答生成

導入時の作業

FAQ・シナリオ作成が必要

FAQの網羅的な作成が不要

情報更新

FAQの更新が必要

公開情報を活用した運用が可能

想定外の質問

対応が難しい

柔軟に対応可能

特徴

運用負荷が高く対応範囲が限定的

運用負荷を抑えながら対応範囲を拡大

ただし、生成AIをそのまま利用した場合、誤った制度案内や不正確な手続き情報、最新ではない情報を回答する可能性がある。そのため、自治体業務では、生成AIを単純に利用するのではなく、信頼できる行政情報に基づいて回答を制御することが重要である。

さらに、実運用にあたっては、利便性だけでなく、回答の信頼性と継続的な運用を支える仕組みを整備する必要がある。

自治体で求められる要件

実現するための考え方

公式情報に基づく回答生成

自治体ホームページや公開資料などの公式情報を活用する

回答の信頼性確保

根拠となる情報を参照しながら回答する

誤回答の抑制

正確性を高める仕組みを備える

継続的な運用

情報更新や運用負荷を抑えながら活用できる

このように設計することで

  • FAQ整備・更新工数の削減
  • 想定外の問い合わせへの柔軟対応
  • 住民サービス向上と職員負荷軽減の両立

が実現可能となる。

解決手段の一つ:Edia2.0

前段で示した要件を満たすためには、公式情報を活用しながら回答の信頼性を確保し、継続的に運用できる仕組みが必要となる。

こうした考え方を実現する手段の一つが、生成AIチャットボット基盤「住民窓口Edia2.0」である。

「住民窓口Edia2.0」は、自治体のホームページや公開資料などの情報を活用し、問い合わせに対して自然な文章で回答を生成する生成AIチャットボット基盤であり、信頼性の高い回答と柔軟な問い合わせ対応の両立を支援する。

この仕組みにより、従来のチャットボットでは対応が難しかった表現の違いや想定外の問い合わせにも柔軟に対応できるようになり、網羅的なFAQを事前に整備することなく、問い合わせ対応の効率化と住民の自己解決促進を支援する。

詳細な仕組みや導入イメージについては、プロダクトページで詳しく紹介している。

AIチャットボット基盤「住民窓口Edia2.0」自治体の問い合わせ対応を変革

まとめ:問い合わせ対応の構造的課題と見直しの必要性

ここまで見てきたように、自治体の問い合わせ対応には、次のような構造的課題がある。

  • 問い合わせは定型化している 
  • 特定の時期に集中して発生する 
  • 同じ対応が繰り返される 

こうした問い合わせの多くは、制度や手続きに関する説明を求めるものであり、職員が繰り返し同じ内容を案内しているケースも少なくない。

特に、限られた人員で業務を維持していく必要がある中で、問い合わせ対応の見直しは避けて通れないテーマとなっている。この構造のもとでは、人手による対応を前提とする限り、いくら工夫しても業務負担を根本的に削減することは難しい。

つまり求められているのは、「人を増やすこと」ではなく「問い合わせ対応の仕組みそのものを見直すこと」である。

生成AIの活用により、こうした定型的かつ反復的な問い合わせは、デジタルで解決することが現実的な選択肢となっている。一方で、重要なのは単なる技術導入ではなく、実際の業務の中で継続的に運用できる形で実現することである。

では、自治体の問い合わせ対応はどこまで効率化できるのか。

また、実際の業務にどのように組み込めるのか。

住民窓口Edia2.0のような生成AI活用基盤を用いて問い合わせ対応の仕組みそのものを見直すことは、住民サービスの向上と職員負荷の軽減を両立する有効なアプローチといえる。

AIチャットボット基盤「住民窓口Edia2.0」自治体の問い合わせ対応を変革

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