2024年11月2日~2025年3月16日、金沢21世紀美術館にて「すべてのものとダンスを踊ってー共感のエコロジー」展が開催されました。本冊子では、その関連企画として行われた金沢21世紀美術館とデロイト トーマツの共同研究「森林と動物、新しい共生のありかたにむけて」の記録と寄稿をまとめています。
今回の「金沢21世紀美術館×デロイト トーマツ 共同研究」は、人間と人間ならざる者との共生のありかたについて、「それぞれの視点」で問いかけるものです。
アーティスト、文化人類学者、マタギ(猟師)、経済人、美術館、そしてクマ、ミツバチ等々ーー。環境という同じ世界に生きていても、その世界をみる主体ごとに、その主体が意味を与えて構築したそれぞれの環世界が存在しています。自分以外の人や別の生き物が、一体どんな意味を持った世界を生きているのか?時に、異なる主体が出会えば、そこにはコンフリクトやハレーションが生まれることもあるが、そうではなく共に「ダンスを踊る」にはどのような道が考えられるか?
本書は、単にエコロジーや自然といったテーマやコンセプトを掲げるのではなく、もつれあうそれぞれの視座、現実、ビジョン、思想を紐解き、共感に焦点を当て、これからの世界のあり様について自ずと問いかけを促す力を持っています。
一方、デロイト トーマツ グループも「クライアントがみる世界」を知り、観察、理解し、少し先の世界を描く主体に他なりません。また、我々に留まらず、違う視点・観点で世界をみることは、時、場に限らず本質的に重要なことです。そして、さらに広い視野でみれば、異なる集団や価値観、立場、時代の間で共感を生み、協力しあえる動機やアイデンティティを探ることこそが、近年注目を集めるサステナビリティの核心と考えています。
是非、本書を通じて、立場や、みる世界が異なる者同士の議論やダンスを覗いてください。
※金沢21世紀美術館の許諾を得て、全文PDFで公開しています。