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AI エージェント前提で業務を再設計する「Agentic BPR」

構想から実装・精度検証まで

「事務オペレーションを2030年までに80%削減する」――先行企業が掲げるこの目標は、生成AIが“効率化ツール”の枠を超え、業務そのものを組み替えるフェーズに入ったことを物語っている。

2026年4月10日に開催された「ServiceNow AI Summit Tokyo」で、デロイト トーマツはスポンサーセッションに登壇。セッション会場には、通信、製造、金融、エネルギーといった多様な業界の経営層、DX・IT部門の責任者が多数訪れた。

テーマは、生成AIの次段階として注目される「Agentic-AI」。自律的に判断し、タスクを進めるAIを前提にすると、これまで手を入れにくかった業務プロセスも再設計できる。セッションでは、Agentic-AIによる新しいBPRの考え方と、実際に現場で動かすための実装のポイントを、最新の取り組みとともに紹介した。

セッション冒頭でデロイト トーマツのパートナー森 亮は、国内企業の生成AI活用がたどってきた流れを整理した。 

Agentic-AIを活用した次世代型BPRについて話す森 亮

まずはCopilotやChatGPTなどを全社で使い始める段階、次にマルチエージェントで資料作成や調査といった作業を代替する段階。そこまで進んだ企業が次に直面するのは、「AIを前提に業務の形そのものを変えられるか」というテーマだという。ツールを導入し作業を速くするだけでは、全体の生産性が思ったほど上がらない場面もあり、発想を“置き換え”から“再設計”へ切り替える必要がある。

このアプローチを、次世代型BPRとして「Agentic-BPR」と呼ぶ。特徴は、部門や業務単位で改善対象を選ぶのではなく、業務の中に繰り返し登場する共通の動き(情報を集める、判断材料を整理する、回答案を作るなど)に着目し、工程単位で横断的に整理していく点にある。結果として、従来は優先順位が下がりがちだった例外対応や少量の業務にも、手を打てる余地が広がるという見立てを示した。

後半はデロイト トーマツのディレクター真田 実が、構想をどう形にするかに話題を移した。 

Agentic-BPRの開発は小さく試して改善しながら拡大を進めるのが現実的と話す真田 実

従来のシステム開発と比べると、AIは自然言語での指示を起点に組み立てやすく、変更にも対応しやすい。だからこそ、最初から大きく作り込むよりも、小さく試して、改善しながら広げていく進め方が現実的だと述べた。

デモでは、外部委託先管理の業務を例に、ユーザーが必要情報を入力すると、以降はAIが裏側で処理を進め、既存システムへの入力や情報取得までを含めて自動化するユースケースを紹介。実装時の論点として、①既存システムとの連携(APIがない場合の代替も含む)、②大量の事務処理に合うUI設計(チャットだけに寄せない)、③品質担保(完了率と正確性の確保)を挙げた。

品質面については、指示の出し方をシンプルにする、機能の切り分けを見直す、処理ステップを再設計するといった改善を重ねることで、完了率・正確性を段階的に向上させた検証結果を説明した。また、モデルやサービス自体の進化で、同じ設計でも時間が経つと性能が上がることがある点にも触れ、導入後も評価と運用を継続することの重要性を示した。 

処理の正確性を高めるには?処理ステップの簡素化・ステップの分割、複数機能を有するAIエージェントの機能分割により、正確性は大幅に改善

ServiceNowのAgentic-AI(ServiceNow Agentic Workflow)を用いた複数プロセス自動化処理の正確性、改善方法についての検証結果

「Agentic-BPR」とは、個別の業務(アクション)を起点にプロセスを横断的に再設計する、次世代のオペレーティングモデルである。これにより、多くの企業が直面する部門最適の壁を打ち破り、外注や中間工程の圧縮、そして属人化からの脱却を同時に実現する。結果として、事業スループットの最大化とコスト構造の抜本改革という経営インパクトをもたらす。そしてこのモデルの本質は、実装・検証・改善サイクルでAIの適用範囲を広げる “成長する運用”にある。

AIを前提とした“業務の再設計”で、DXを次のステージへ。 

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