メインコンテンツに移動する

海外拠点の監査・グローバル内部監査体制

経営者の期待に応えるグローバル内部監査実施のためのポイント

グローバル展開が進展し、海外拠点に対する内部監査の重要性が高まっている一方、言語や文化・商習慣の違いから、一定の品質を確保した内部監査を実施することは難しい傾向にあります。経営者の期待に応えるグローバル内部監査を実施するためには、企業の特性に合った内部監査体制を構築し、品質向上に向けた取り組みを実施することが不可欠になります。

グローバル内部監査の必要性と困難性

多くの日本企業がその事業活動の範囲を海外に広げていますが、過去には、海外拠点における不祥事がグループ全体の屋台骨を揺るがしかねない損失やレピュテーション毀損に発展してしまった事例も生じています。一般に海外拠点は管理体制が脆弱で、本社からのガバナンスが効きにくい傾向にあるため、これらの海外拠点をモニタリングする役割を担う内部監査の重要性が高まっています。

一方で、海外拠点に対する内部監査には、国内拠点監査と比較して、以下のような課題が存在します。

  • 距離、時差、コスト
  • 言語
  • 現地の法規制、文化・商習慣の違い
  • 海外内部監査スキル、要員不足

海外拠点におけるリスクが相対的に高まっている状況下では、海外の特殊性、困難性を乗り越えてでも、内部監査による独立的モニタリングを実施することが重要です。

グローバル内部監査体制の構築・高度化に向けた検討ポイント

海外拠点に対する内部監査を組織的に実施するにあたり、各企業の特性に合ったグローバル内部監査体制を構築し、運用することが必要となります。

グローバル内部監査体制の構築

海外拠点の内部監査を実施しようとする際に、最初に決定すべきことは、どのような体制で監査に臨むかという点です。内部監査をグローバルに展開する際の監査体制については、大きく3つの選択肢があります。各企業のグループガバナンスや海外管理との整合性を図りながら、グローバル内部監査体制を検討する必要があります。

1) 集中型:グループ本社のみに内部監査部門を設置し、グループ全体をグループ本社内部監査部門が監査を行う体制です。このパターンでは、内部監査人(リソース)や内部監査品質の確保が容易であるというメリットがある一方、全拠点往査によるモニタリングが困難(カバレッジが低下)であることや移動コストが高いといったデメリットがあります。

2) 分散型:主要な子会社等に分散して内部監査部門を設置する体制です。このパターンでは、全拠点往査によるモニタリングが容易である、移動コストの削減が可能になるといったメリットがある一方、内部監査人や内部監査品質の確保が困難であるというデメリットがあります。

3) 折衷型:事業統括会社あるいは地域統括会社に分散して内部監査部門を設置し、当該事業統括会社・地域統括会社と傘下の子会社等を監査する体制です。このパターンでは、全拠点往査によるモニタリング、移動コスト、内部監査人や内部監査品質の確保のすべての面において①②のパターンのメリット・デメリットの中間に位置します。

図: グローバル内部監査体制の構築には、集中型・分散型・折衷型の三種類がある

グローバル内部監査体制の高度化に向けた取り組み

経営者の期待に応える内部監査を実現するため、グローバル内部監査体制の構築後、内部監査の品質を維持・向上させる取り組みが必要になります。具体例を以下に示します。

1. グループ内部監査の標準化・共通化

一定の内部監査品質を保つためにはまず、内部監査規程、マニュアル、想定リスク一覧、監査手続、監査調書、報告書等の標準化・共通化が不可欠です。
また、監査管理ツールの導入によりグループ会社の内部監査活動および結果をタイムリーにモニタリングすることも有効です。さらに、監査対象業務のデジタル化を受けた監査手法の見直しの際にも、子会社等の内部監査部門が単独で対応するのでなく、グループ内部監査部門主導で取り組むことで負担を軽減することができます。

2. グループ内リソースの管理

事業の多角化に伴って業務が多岐にわたり、テクノロジーの活用が進む昨今の事業環境に対応した、高度かつ複雑な内部監査を遂行できる人材を子会社等各内部監査拠点で充足することは困難です。このような状況ではグループ内のリソース管理を適切に行うことが重要です。

まず、必要な内部監査スキルの要件を定義し、現リソースのスキルの棚卸を行うことでギャップを特定します。そのうえで、他拠点のリソースの活用、人材育成、新規採用などにより不足するスキルを充足します。

3. グループ内部監査品質の管理

グループの内部監査品質を維持・改善するためには、内部監査人協会(IIA)の「グローバル内部監査基準」で要求されている「品質のアシュアランスと改善のプログラム(Quality Assurance and Improvement Program: QAIP)」(基準8.3)を策定することが有効です。このプログラムには内部評価(基準12.1)と外部評価(基準8.4)の2種類の評価が含まれています。内部評価では、子会社内部監査拠点のセルフチェック・改善に基づいて、グループ本社内部監査部門が各拠点の内部監査品質の評価・改善を促します。外部評価では、グループ本社単体だけでなくグループ内部監査体制も評価対象に含めることで、グループ内部監査品質の向上が期待されます。

デロイト トーマツのグローバル内部監査関連サービス

グローバル内部監査体制を構築・高度化するにあたっては前述のようにクリアしなければならない問題がいくつもあります。これらの多くは内部監査単独の問題ではなく、組織や機能ごとにグローバルガバナンスや海外管理との整合性を取りながら検討することになります。

デロイト トーマツはデロイトのメンバーと して強固なグローバルネットワークを有しており、これまで、様々な業種にわたる日本企業のグローバル内部監査をサポートしてきました。この豊富な実績と経験を活かし、以下の支援サービスを効果的かつ効率的に提供しています。

  • グローバル内部監査体制の構築
  • グローバル内部監査規程・マニュアル、標準監査ツール(監査手続書、報告書等)の策定
  • リスクベースの監査計画、重要リスクに対するテーマ監査手続の策定
  • GRCツール等の監査管理ツールの導入
  • 品質のアシュアランスと改善のプログラム(QAIP)の策定と品質評価(外部評価・内部評価)の実施
  • グローバル内部監査人教育研修プログラムの策定及び教育研修の実施
  • コソース/アウトソースによる内部監査の実施