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金融庁が推進する内部監査の高度化の取り組み

内部監査を単なるコストから「企業価値向上」に貢献する戦略機能へ。金融庁が提唱する内部監査のいわゆる「成熟度モデル」は、自社のガバナンスレベルを自己評価し、次の経営戦略を描くための羅針盤です。経営判断に資する監査とは何か、そしてフォワードルッキングな監査体制をいかに構築するか。持続的成長を目指す全ての経営層、マネジメント層必読の要点を解説します。

経営判断に資する監査の実施に向けて

金融庁は、内部監査の高度化に向けて以下の4つの文書を公表しています。

金融庁は、金融機関の内部監査の高度化を推し進めるために「現状と課題」および「報告書(2025)」を公表し、その中で段階別評価、いわゆる成熟度モデルを公表することにより金融機関に自律的な取り組みが推進されることを期待しています。

金融庁は、金融機関に対するモニタリング等を踏まえ、大手銀行グループにおける内部監査の取り組み状況および認識された課題を整理し、「プログレスレポート」としてまとめています。「プログレスレポート」は、「現状と課題」公表後の大手銀行グループによる内部監査の高度化に向けた取り組みについて、監査態勢の各項目、監査基盤などについて好事例を紹介しています。

また、「プログレスレポート」の中では、金融機関が実効性ある内部監査を通じて、業務の適切性や財務の健全性を確保し、企業価値を向上させるためには以下の3つの論点を推進することが必要であると述べています。「報告書(2025)」も合わせて考慮すると以下のような建て付けとなります。

「経営陣等の内部監査部門への支援」「内部監査部門における高度化に向けた取り組み」「被監査部門に対する取り組み」の3つの柱について、「第一段階:事務不備監査」「第二段階:リスクベース監査」に重ねて「第三段階:経営判断に資する監査」が重要となります。

金融庁の期待(水準)

金融庁は、金融機関の内部監査水準の底上げを目的とした取り組み事例の発信、経営陣の意識改革に対する強いメッセージの発信、金融庁の期待(水準)を明示するといった目的のために、大手銀行グループ、地域金融機関、大手証券会社、大手保険会社において上記3つの論点に基づいた内部監査の取り組み状況を様々な業態・成熟度における特徴的な好事例の概要と主な課題事例といった内容で「モニタリングレポート」として公表しています。「モニタリングレポート」では、以下のような6項目における金融庁の期待(水準)を明示しています。 

金融機関の 内部監査の高度化に対する金融庁の期待(水準)の6項目は、「ガバナンス、リスク管理を維持・高度化するための内部監査の役割」「オフサイト・ モニタリング」「リスク・ アセスメント」「真因分析」「グループ・グローバルな内部監査態勢のあり方」「コソーシングの活用」です。

金融庁が示す内部監査の段階別評価(いわゆる成熟度モデル)

① 「現状と課題」

金融機関が持統可能なビジネスモデルを構築することにより、業務の適切性や財務の健全性を確保し、金融システムの安定に寄与していくためには、ガバナンスを有効に機能させていくことが重要です。その中で内部監査部門は、リスクベースかつフォワードルッキングな観点から、組織活動の有効性等についての客観的・独立的な保証、助言、見識(洞察:インサイトおよび将来洞察:フォーサイト)を提供することで、組織体の価値を高め、保全するという内部監査の使命を適切に果たすため、急激な環境の変化に応じて、内部監査を持続的に高度化していくことが求められています。 金融庁は、いわゆる内部監査の成熱度を段階別評価として4段階で提示し、大手金融機関についてはまずは第三段階のレベルの態勢整備が望まれるとし、その上で各社が直面する経営課題やビジネスモデルに応じてさらなる高度化を図ることを求めています。当該段階別評価の公表については、コンサルティング会社等が提示する成熱度モデルは多数ありますが、権限を持つ行政機関が公表しているものは他国も含め現状ないと思われます。 当該段階別評価は、金融機関に特化した内容ではなく、他の一般事業会社においても適用できる内容となっています。

②「報告書2025」

グローバル内部監査基準の適用に合わせて広く金融業界・コンサルティング会社から取り組み状況や課題について意見を聴取しまとめることにより、段階別評価について内容の明確化と再定義を図っています。金融庁が示す段階別評価の概要は、以下のとおりです。

金融庁は「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会「報告書2025」」の中で段階別評価について再定義を行い、卒業方式ではなく加算方式で発展していくものであることを明示しました。いま求められている内部監査の役割は、「第四段階:信頼されるアドバイザー」です。

金融庁が、「現状と課題」を公表し金融機関に内部監査の高度化を求めた結果、公表時には地域金融機関の平均的な成熟度が、第一段階から第二段階、大手金融機関の平均的な成熟度が第二段階から第三段階とされていましたが、数年経過した現時点において全体として少し前進し、特に多くの地域金融機関では、第三段階に踏み込んだ段階に進歩していると思われます。業界全体として高度化が進んでおり、当該成熟度モデルの公表の効果は大きかったと評価できます。また、段階別評価の内容の明確化を目的とした「報告書(2025)」の公表により、我が国の内部監査の底上げと、海外金融監督当局の指針となることが期待される状況となっています。

デロイト トーマツの内部監査サービス

デロイト トーマツでは、金融機関向けの外部品質評価サービスにおいて、「グローバル内部監査基準」に加えて、金融庁の内部監査高度化に関する各種文書も評価基準として用いており、金融庁の期待(水準)や段階別評価を踏まえた評価や高度化助言を実施いたします。

また、金融庁出身者や出向経験者が評価チームのメンバーとして加わることで、金融庁の目線や最新の動向を勘案した、経営判断に資する監査に向けた高度化助言を実施いたします。