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「理想のキャリアは、自分で描く」~デロイト トーマツ主催女性管理職向けキャリアセミナーに込められた想い

2025年5月9日、東京會舘にてデロイト トーマツの女性管理職向けの社内キャリアセミナーが開催されました。今回は、そのキャリアセミナーの様子と、そこに込められたメッセージを丁寧に掘り下げて、これからのキャリアに不安や迷いを感じているすべての人へお届けします。

「『自分らしい道』を描くために」

デロイト トーマツが本キャリアセミナーを企画した背景には、女性管理職たちが抱える「仕事と育児の両立」や「昇進への不安」といった声がありました。事前アンケートでは、育児と仕事のバランスに悩む声が最も多く、また、「昇格にポジティブになれない」といった意見も少なからずありました。

そんなリアルな声に向き合い、 「悩みを抱えながらも前を向いて働き続けたい」と考える女性たちを後押しする場として、このキャリアセミナーは企画されました。

2時間にわたるこのキャリアセミナーは、単なる情報提供やスキルアップの場ではなく、参加者一人ひとりが「自分にとって理想のキャリアとは何か?」を問い直すための、熱く深い対話の時間となりました。

第一部は、パネルディスカッションです。登壇者は、デロイト トーマツのCTaO(Chief Talent Officer)神山友佑、DTC(デロイト トーマツ コンサルティング)のDEIリーダー増永加奈子、同じくDTCのBHRL(Business HR Leader)の友野敬介、そして特別ゲストとして元ポーラ社長の及川美紀氏。ディスカッションに先立って展開された及川氏の経験談には、会場から何度も頷きとメモを取る姿が見られました。

「究極のお人好し」からポーラ社長へ

及川氏は自身を「学生時代も社会人になってからも、リーダーとは無縁の、究極のお人好し」と語ります。責任感が強かったため、みんながやりたがらない仕事を割り振られていたが、リーダーというものには縁がなかったそう。こうしてキャリアを歩まれていた及川氏ですが、出産後はワンオペ育児と仕事の両立を「自分でバランスを決めて」取り組んできたということです。「家訓は『埃じゃ死なない』」というリアルな言葉に、参加者の多くが笑いながら共感していました。

そんな及川氏が社長になるときにかけられた言葉が、「あなたには足りないところがたくさんある。でも、変えたいことがあるでしょう?」というもの。ここで自身も再認識した、というように、「完璧であること」ではなく、「変えたいという想いと行動」がリーダーシップの本質である、と力強く語られていました。

「育児と仕事、『どちらか』ではなく『どうバランスを取るか』を自分で決める」

キャリアセミナー開催前に実施した社内アンケートでは、「育児と仕事の両立」が最も多い悩みとして挙げられていました。その点にも触れ、及川氏はこんな実体験を明かします。

「私は出産してからずっとワンオペ育児でした。仕事との両立は大変でしたが、『どちらか』を選ぶのではなく、『どう両立するか』を自分で決めるしかない、と決めて取り組んできました」

この発言の背景には、及川氏自身の価値観と覚悟があります。彼女は、自分の人生と仕事に共通する「志」を見つけたことで、日々の選択に迷いがなくなったのです。

「『育児があるから』キャリアを止めるのではなく、育児も仕事も自分にとって大切なテーマ。だったら、その二つをどう共存させるかを自分で考え抜く。そうすることで、誰かのせいにしない働き方ができる」

この「自分の選択に責任を持つ」というスタンスは、参加者たちの心にも強く響いていたようです。及川氏が成長していくお子様と交わしてきたというリアルなやり取りは、まさに育児中の参加者には強く響くエピソードとメッセージで、参加者たちにも強い実感を持って受け止められていた様子でした。

「『やりがい』は肩書きで与えられるものじゃない。変化の中で見つけていくもの」

事前の社内アンケートでは、昇進に対して不安を持っているという声もありました。

及川氏も、当初は「頑張っているから認めてほしい」「出向して苦労したんだから給料を上げてほしい」といった、報酬や待遇への動機で昇格を目指したと語ります。

ところが、実際に昇格する際に、自分自身の本当の「志」に気付かされたのだそうです。

「自分のいるこの組織を一流にしたい。そんな気持ちが自分の中からスッと出てきて、それが『やりがい』にも変わった瞬間でした」

「キャリアアップは、自分の志を叶えるための手段」だという視点。その自分の志が「どの範囲を対象としているもの」なのか、それにより見える世界が異なる、という及川氏の言葉に、はたして自分の志とは、と参加者たちが自分自身に問いかけ直すきっかけになっていたように見えました。

及川氏の志も、肩書きや役割が変わる中で、自分の「視野」や「責任感」が広がったことにより変わってきたものでした。「『想う』範囲が広がれば、見える景色も変わる」。完璧主義で理想が高いがゆえにリーダーになることを避けてしまう傾向のある女性たちにとって、「完璧じゃなくても、一歩ずつ、志を持ってチャレンジしていけば、世界は変えられる」というメッセージは、大きな勇気となったようです。

「『道をつくる』のがリーダーの仕事。あなたの背中を見ている人が、きっといる」

及川氏は、リーダーとしてのあり方について、「道をつくる存在であること」と語ります。印象的だったのは、ある先輩から言われたという言葉です。

「及川、一人で仕事をするな。君の周りには誰がいるんだ」

これは、「リーダーとして『自分が』やらなくては」と力が入るあまり、周りが見えなくなり、チームとして機能していないということを突いた一言でした。

「及川のコピーはいらない」

「自分と同じように、自分ができることをできる人を増やす」ことが、リーダーとしての育成ではない、という指摘です。自分のコピーを育てるのではなく、違う個性を持つ人が活躍できる環境を整えること。リーダーである自分が完璧である必要はなく、自分ができないその部分をこそ人に任せることで、任された人は成長し、成果を出す機会に恵まれ、その人自身が評価される。このような形で「人を育てる」ことがリーダーの仕事であるという言葉に、多くの参加者たちが、はっとした表情をしていたのが印象的でした。

リーダーが果たすべきは、「後ろに続く人たち」の道を照らすこと。また、そのためにも、自分の「影響力」を過小評価しないことの大切さも語られていました。

「働く女性がキャリアの楽しさを再認識できる場を」

パネルディスカッション終了後は、テーブルごとに分かれたランチ懇親会が行われました。東京會舘の華やかなランチを楽しみながら、パネルディスカッションを受けての感想や、それぞれの参加者のキャリアに対する思いがテーブルごとに交わされていました。

懇親会は、終始和やかでありながら、どのテーブルも熱量のある対話が続き、キャリアに対する真剣さがにじむ時間となっていました。キャリアの「正解」は一つではないこと、そして「自分の志と会社の志の共通点を見つけながら、視野を広げていくことが、成長の鍵になること」という希望に満ちた静かな興奮が会場を包んでいたように思います。

CTaOの神山友佑が、懇親会で各テーブルから発表された意見やコメントに熱心に耳を傾け、自分の思いを語りかける姿に、女性管理職の周囲のリーダーの意識改革自体そのものにも努めていく、という強い意志を感じることができました。

「自分らしいキャリアは、自分でつくっていける」

今回デロイト トーマツが開催したこのキャリアセミナーは、「自分らしいキャリアを描く」ことの大切さを伝えるとともに、参加者の背中を後押ししてくれるようなものだったと感じます。

「昇格はいまの自分ではとても無理そう」と感じていた方も、「ロールモデルがいないから自信がない」と立ち止まっていた方も、「ライフイベント(育児や介護)とキャリアをどう考えればよいのかわからない」と迷っていた方も、ここで受け取った言葉をきっかけに、自分自身の軸や目指す姿をあらためて再発見できるのではないでしょうか。

キャリアとは、人生そのものです。そして、キャリアに絶対の正解はありません。だからこそ、他人と比較したり他人を目指したりせず、自分の想いと志に正直に挑戦を重ねていくことで、自分自身の納得感と満足感のある人生を歩んでいけるのだと思います。

デロイト トーマツがこのキャリアセミナーを通して届けたメッセージは、これから先、参加者一人ひとりの働き方の中できっと確かな指針の芽生えとなってくれると信じています。

デロイト トーマツが示した「自分の軸でキャリアを選ぶ力」は、社内に向けてのメッセージとしてだけではなく、働く人誰にでも指針となる、そう感じさせるキャリアセミナーでした。

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