ニュースリリース
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一、以下 デロイト トーマツ)は、2025年7月、プライム市場に上場する売上1,000億円以上の企業の部長クラス以上を対象に、生成AIの活用に関する意識調査を実施しました。このたび、その調査結果を発表します。本調査では、日本のリーディング企業における生成AIの導入・活用状況をはじめ、その目的や成果、収益や人員への影響を明らかにしました。また、前年度との比較も交えながら、日本企業における生成AI活用に関連する課題や今後の展望を多角的に分析しています。
昨年に続き2回目となる本調査では、社内における生成AIの導入率はもちろん、生成AIを搭載した顧客向けサービスを提供している企業の割合も増加しており、登場から3年弱という短期間で生成AIが企業活動に不可欠な存在となりつつあることが明らかになりました。生成AIの利用目的は「業務の自動化・効率化」が最多ですが、社員利用割合が高い企業ほど「事業構造の変革」など、単なる業務効率化を超えた事業そのものの見直しを進める姿勢が強まる傾向が見られます。また、社員利用割合の高さは意思決定スピードや競争優位性、社員の生産性の向上や収益増の見込み、人員の配置転換の実施割合にも影響を与えている傾向が見られ、2年連続で、社内での浸透度が高いほど生成AI導入によるメリットが顕著に表れるという結果となりました。
ほぼ全ての企業が生成AI導入を有益と考え、約半数が「全社的に導入している」と回答、導入状況と比べて社内の利用割合は限定的、「ほとんどの社員が利用している」の回答が約2割
97.7%(前年94.3%)の回答者が生成AI導入を有益と考え、95.6%(前年87.6%)が生成AIを既に導入していると回答しました。中でも、特定の部署だけではなく「全社的に導入している」と回答した割合が47%(前年26.4%)と、昨年から20ポイント以上高くなりました。しかし、社内での生成AI利用割合は「ほとんどの社員が利用している」と回答した割合が18.5%(前年6.3%)、「半数以上の社員が利用している」と回答した割合が32.9%(前年23.1%)と昨対比で増加したものの、実際の社員利用割合が導入の広がりに追いついていない状況が見受けられます(図表1、2)。
導入後の社内利用における課題については「データの活用不足」「社員の理解不足」「機能の不足」をそれぞれ約4割の企業が挙げており僅差でトップ3となりました(図表3)。
また、生成AIが搭載された顧客向けサービスの提供状況についても「すでに生成AIが搭載されたサービスを提供している」が27.0%(前年15.5%)と、生成AIのビジネス活用が進んでいる状況が明らかになりました(図表4)。
生成AIの導入目的は「業務の自動化・効率化」が最多。一方で社員の生成AI利用割合が高いほど生成AI活用を前提とした「事業構造の変革」を重視する傾向に
生成AIの導入目的では企業規模を問わず「業務の自動化・効率化」が最多となっています。一方で生成AIの社員利用割合別に見ると「ほとんどの社員が利用している」と答えた企業では「事業構造の変革」を重視している傾向があり、生成AIの社内浸透が進むと、単なる業務効率化にとどまらず事業そのもののあり方を見直す姿勢が強まることが分かりました。(図表5)
PoCやトライアルの段階から生成AIの本格的な開発・導入に取り組む際の課題は「専門人材の不足」が第一に挙がるほか、ガバナンス体制の整備や全社的な推進機能、データ整備やAI基盤構築など多くの要素が存在
9割以上の企業が生成AIを既に導入している中、PoCやトライアルの段階から生成AIの本格的な開発・導入に取り組む際の課題を聞くと、「専門人材の不足」が多くの業界で第一の課題に挙がり、人材不足の課題が浮き彫りになりました。他にも、ガバナンス体制の整備や全社的な推進機能、データ整備やAI基盤構築など多くのポイントが課題認識されており、生成AIの本格導入にあたっては専門人材の確保のみならず全社的な推進体制やデータ・AI基盤の構築も鍵になることが分かりました。(図表6)
生成AI導入による社内の意思決定スピード向上、競争優位性向上、社員の生産性向上、収益増を見込んでいる企業の割合は全体的に昨年を上回る中、社員利用割合が高い企業ほどその傾向が顕著に
生成AI導入により「社内の意思決定スピードが向上した」と回答した企業の割合は42.7%となり、前年比10ポイント以上増加しました(図表7)。
社員の生産性についても「変化なし」の回答が前年56.0%だったものの今年は28.6%と半減しており、その分生産性向上を実感する企業が増えていることが見て取れます(図表8)。
また、「競争優位性が向上した」と回答した企業の割合も前年39.3%から今年は56.6%と大幅に増加しました。一方で「ほとんど変化していない」という回答も32.7%となり、企業差が見受けられました(図表9)。
生成AI導入による売上の変化においては、前年は「変化なし」が過半数であった中、今年は「増加する見込み」が過半数を超え逆転しています(図表10)。これらの成果に関わる指標の傾向はいずれも社員利用割合が高い企業ほど顕著になっています。
生成AIの導入により人材の配置転換を行っている企業は約4割と前年よりアップ、AIで代替される人材の雇用を減らし始めている企業の割合は2.5割ほどで前年比横ばいだが、業界によっては3割を超えるところも
雇用に関連する組織再編について、生成AIの登場により人材の配置転換を行っている企業は39.3%と前年の32.4%より増加しました(図表11)。
この項目についても生成AIの社員利用率が高いほど割合が高くなっています。AIで代替される人材の雇用を減らし始めている企業の割合は23.0%(前年23.1%)と前年比横ばいとなりましたが、金融・保険(34.5%)や通信・メディア・エンターテイメント(31.1%)など、業界によっては3割を超えるところもありました(図表12)。
調査目的
企業の、生成AIに対する理解度や関心度合い、生成AI活用の現状の実態を調査し、課題・悩みを把握すること
調査期間
2025年7月 インターネットでの調査
調査対象者
プライム市場所属売上1,000億円以上の企業の部長クラス以上700名
設問
33の本設問で「生成AI導入・活用関連」「売上・コスト関連」「生成AI人材関連」の3テーマの回答を取得
デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ グループ合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従いプロフェッショナルサービスを提供しています。また、国内約30都市に2万人超の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト、www.deloitte.com/jpをご覧ください。
Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネットワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。
デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ベンガルール、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、ムンバイ、ニューデリー、大阪、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。
Deloitte(デロイト)は、最先端のプロフェッショナルサービスを、Fortune Global 500®の約9割の企業や多数のプライベート(非公開)企業を含むクライアントに提供しています。デロイトは、資本市場に対する社会的な信頼を高め、クライアントの変革と繁栄を促進することで、計測可能で継続性のある成果をもたらすプロフェッショナルの集団です。デロイトは、創設以来180年の歴史を有し、150を超える国・地域にわたって活動を展開しています。 “Making an impact that matters”をパーパス(存在理由)として標榜するデロイトの約46万人の人材の活動の詳細については、www.deloitte.comをご覧ください。
報道機関の方からの問い合わせ先
デロイト トーマツ グループ 広報担当
電話番号: 03-6213-3210
Email: press-release@tohmatsu.co.jp