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日米の友好関係と、北海道へのコミット― 必要不可欠な要素が交わった「さっぽろ雪まつり×America250」

2026年2月。雪に包まれた札幌の中心部に、ひときわ目を引く雪像が姿を現した。アメリカ合衆国大統領官邸、いわゆるホワイトハウスを精巧に再現した雪のホワイトハウス。この雪像は、アメリカ建国250周年を記念する国家プロジェクト「America250(以下、「A250」という。)」の日本における第一弾として実現したもの。手がけたのは米国大使館・在札幌米国総領事館だ。

米国として「さっぽろ雪まつり」に出展するのは初めてのこと。その舞台裏を伴走する形で支えたのが、デロイト トーマツ。雪像の背景に広がっていたのは、単なるスポンサーシップではなく、50年にわたり北海道と向き合ってきたコミットメントに加え、デロイト トーマツと米国大使館・在札幌米国総領事館による二人三脚の協業だった。
※写真中央、ユキ・近藤シャー 在札幌米国総領事館 首席領事  

北海道に根差した長年の共創で実現したプロジェクト

「アメリカ建国250周年の取り組みを日本でも展開するという話を聞き、ぜひ一緒に盛り上げたいと、申し出ました」

こう切り出したのは、本プロジェクトのキーマンの一人、デロイト トーマツ グループ ストラテジー・リスク・トランザクション リーダーであり、合同会社デロイト トーマツ 常務執行役の鹿山真吾。本プロジェクトの背景には、北海道に根差して長年活動してきた実績と、在日米国大使館との継続的なコミュニケーションがあったと語る。

デロイト トーマツ グループ ストラテジー・リスク・トランザクション リーダー | 合同会社デロイト トーマツ 常務執行役 鹿山 真吾

「私たちが札幌市で監査業務をスタートさせたのは約50年前のこと。以来、商工会議所や地元を代表する企業との関係構築を長らく続けてきました。北海道にとって『最近の新たな顔ぶれ』ではないことからも、その知見を十分に生かせると考えたんです。当然、道内の取り組みの中でも、アメリカ政府は重要なステークホルダーとして関わり続けてきました」

背景には、北海道が日本の経済安全保障やグリーントランスフォーメーションの文脈において、重要な拠点になりつつあるという認識もある。半導体、データセンター、エネルギーなど次世代産業の基盤が集積し始めているこの大地で、デロイト トーマツは地元北海道に根差す企業の一つとして地域の発展に関わり続けてきた。その延長線上に、今回の雪まつりがあったのだ。 

ジョージ・グラス駐日米国大使の視察ツアー

プロジェクトが正式に動き出したのは2025年12月初旬。本番までは2か月を切っていた。

「在日米国大使館にとっても我々にとっても初めての取り組みで、しかも時間が限られていました」

そう振り返ったのは、プロジェクトマネジャーを務めた合同会社デロイト トーマツ ディレクターの黒石秀一。本プロジェクトの実行部隊を取りまとめ、デロイト トーマツの複数部署から横断してチームを組成した。

合同会社デロイト トーマツ ディレクター 黒石 秀一

「毎年200万人以上が訪れる日本を代表するイベントです。工程管理や各所との調整も精緻に積み重ねないと、与えるインパクトが大きいため、精度高く準備するのは簡単ではありませんでした」

在日米国大使館・在札幌米国総領事館との間では毎週のようにウェブ会議で議論し、日英両言語の長文メールが矢継ぎ早に飛び交った。黒石は「コンサルタントとしてさまざまな日米プロジェクトを経験しましたが、これだけの分量がこれだけのスピードで行き交うのは初めてのこと」と中空に真剣な眼差しを向ける。

2026年2月5日、ジョージ・グラス駐日米国大使がさっぽろ雪まつりの雪像を視察するツアーに参加した。ホワイトハウスの雪像をにこやかに眺め、実際に手を動かした製作者とも談笑。その表情からもツアー自体、何より日米の友好関係が表現されたことに満足していたことが伺える。が、その裏側には膨大な会話と調整、そして2か月弱を走り抜けたチームの熱量があったのだ。

在札幌米国総領事館のユキ・近藤シャー首席領事は、今回の取り組みを次のように振り返る。

「北海道は、クラーク博士に象徴されるように、日米の学術・農業交流の歴史を深く共有してきた、米国にとって特別な地域です。America250を日本で展開するにあたり、東京だけでなく、こうした歴史と未来の可能性を併せ持つ北海道から発信できたことには、大きな意義がありました。準備期間は限られていましたが、初期段階からの明確なビジョンの共有と、工程や役割を丁寧に整理しながら進めたデロイト トーマツとの緊密な連携があったからこそ、さっぽろ雪まつりという日本を代表する舞台で、この象徴的なプロジェクトを確実に形にすることができたと感じています。」

大通、つどーむ、すすきの、3会場での展開で異なる層にアプローチ

大通会場に佇むホワイトハウスの雪像の前では、観光客がスマートフォンを構え、親子連れが立ち止まった。ユキ・近藤シャー首席領事は次のように語る。

「ホワイトハウスの雪像のそばで、日本の来場者の方々がその建築を見て、『ここがアメリカ大統領の住んでいる場所だよ』と子どもや友人に話している様子を耳にしたとき、この取り組みが人々の日常の中に確かに届いていると感じ、強く心を動かされました。」

左から、デロイト トーマツ グループ パートナー 大濵 憲、鹿山 真吾、ジョージ・グラス 駐日米国大使夫妻、デロイト トーマツ グループ CEO 木村 研一、デロイト トーマツ グループ コンサルテイティブ ビジネスリーダー 長川 知太郎

ほかにも、すすきの会場には「氷のキャピトル」が設置され、北の歓楽街を楽しむ多くの人が足を止めて記念撮影を楽しんでいた。一方、街中から離れたつどーむ会場では迷路のアトラクションやスタンプラリー、キッズ向けのフォトスポットも展開。特に家族連れが多い会場のため、普段は接点の少ない子育て世代にもA250のメッセージが届いていた。

「大通とすすきのは大人の来場者が多い印象ですが、つどーむは子どもたちが雪と遊ぶ場。子どもたちの笑顔に私たちが少しでも貢献できたのをうれしく思います」 

すべり台やスノーラフトがある「つどーむ会場」には多くの親子連れが集まった

黒石はそう振り返る。A250という国家プロジェクトが、巨大な雪像という形で「目に見える存在」になったこと。各国からの観光客を含めた多くの人々にアメリカ建国250周年のメッセージがしっかりと届けられ、見た目にも楽しんでもらえたのは、道内最大級の冬の祭典という場も大きな後押しになっただろう。

キーパーソンが一堂に。レセプションが生んだ交差点

2月6日の夜には、札幌市内のホテルでA250を記念したレセプションが開かれた。

会場にはジョージ・グラス駐日米国大使をはじめ、在日米国大使館の中枢を担う公使クラスが集結。加えて、北海道知事、札幌市長、北海道を代表する経済界・行政のキーパーソンが一堂に会した。

「普段はなかなか会えない方々が交流できたのもポイント。政務担当公使、経済担当公使、商務担当公使等がそろう場は、大変稀有な機会であると感じています」

黒石はこの場を、プロジェクトのもう一つの成果と位置づける。

「私たちとはビジネス上のお付き合いがあるものの、米国大使館とは必ずしも関係性が濃くない地元の重要なステークホルダーもいらっしゃいます。そういった方々をレセプションにお連れでき、コミュニティの活性化を支えるのも、我々が果たすべき役割の一つでした」

レセプションを振り返り、ユキ・近藤シャー首席領事は次のように語っている。

「雪まつり期間中に行われた一連のイベントは、政府、産業界、学術界の関係者が分野を越えて交流する貴重な機会となりました。2月6日のレセプションでは、北海道知事や札幌市長をはじめ、半導体や農業、観光分野に関わるビジネスリーダー、そして米国と日本の関係機関が一堂に会しました。こうした場を通じて、America250が祝賀にとどまらず、将来の協力や長期的なパートナーシップについて意見を交わすための対話の場となったことを、大変意義深く感じています」

ジョージ・グラス駐日米国大使をはじめ、各分野の公使と道内キーパーソンが交流

デロイト トーマツはさまざまなイベントや大会にスポンサーとして関わっているが、今回は単なる冠協賛とは性質が異なる。

「産官学の対話を促し、社会にとって意義のある議論や共創を後押しするような取り組み。日米の大事な同盟関係の中で、経済やイノベーション、人材交流の活性化につなげられるところがこの取り組みのユニークなところです」と黒石は話す。 

北海道に縁があり、道内の取り組みを地道に続けてきた2人の視点

プロジェクトを率いた2人には、北海道との個人的な縁がある。

鹿山の父と祖父は北海道釧路市の出身。黒石の母は北海道北見市の生まれ。黒石が「どちらも道東にルーツがあるんですよね」という言葉を受け、「道東という表現自体が東京の人には馴染みがないんですけどね」と鹿山も笑う。

もちろん、個人的な縁だけでプロジェクトが成立するわけではない。黒石は以前から苫小牧市の総合戦略策定や地方創生政策の実行支援に携わってきた。鹿山もまた、毎週のように北海道に足を運び、地域のコミュニティに深く入り込んでいる。

さらに、2025年1月に開設した「SAPPORO Social Innovation Hub(SSIH)」も北海道に馳せる思いを体現している。多様な人々が交わる場をつくるだけでなく、そこから生まれた構想を実行に移すところまで伴走する。それがデロイト トーマツの考えるコミットメントだ。

「私たちが北海道にいきなりやって来て、単に雪まつりの時だけプロジェクトを行うのでは地元の方々も受け入れがたいと思います」と黒石は言う。「パーティーやレセプションにしても、我々がリレーションを持っている方々をお招きできたのは、ここまで地道に取り組んできたことの現れかなと思います」
 

国境も組織も越えた協業が体現するデロイト トーマツの思い

プロジェクトで一番の手応えは何か。鹿山にそう尋ねると、「一体感を強く感じたと同時に、多くの方に雪像やイベントを楽しんで頂けたということが何よりもうれしいです」と回答。

「プロジェクトを進める中で日米のフレンドシップが非常に濃いものになりました。一緒の時間を費やし、みんなで一つのものを作り上げていった。そのプロセス自体が得がたい経験でした。そしてその結果として、地元北海道を始めとしたたくさんの方の笑顔や会話を目の前で見ることができたのが一番の喜びです」

特大氷像「アメリカ250デロイト トーマツ 氷のキャピトル」

ホワイトハウスの雪像は8日間の開催期間で役目を終えた。しかし、その裏側にあった日米の協業と北海道へのコミットメントは、次の取り組みへとつながっていく。

最後に鹿山は、あらためて強調する。

「私たちが北海道にコミットしているというのが一番大事です。そして日米の友好関係も、同じく大切なリレーションです。その二つが重なったイベントでした」

雪の街で生まれた、国境も組織も越えた協業。その現場には、デロイト トーマツが掲げる “Together makes progress” の思想が、静かに体現されていた。

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