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日本の航空機産業の競争力強化に向けて

本稿では日本の民間航空機産業の競争力強化に向けたシナリオや施策の方向性を「中期・長期」×「民・官」の観点から論じる。

はじめに

2024年4月に経済産業省が発表した「航空機産業戦略」に象徴されるように、日本の民間航空機産業はMRJ(MSJ)開発中止後の新たなステージに突入しつつある。COVID-19後の需要回復を経て、今後も継続的に成長が見込まれる世界の航空機産業において日本がプレゼンスを示すうえで、①中期(~2035年)、②長期(~2050年)という大きく2つの時間軸があると考える。すなわち、①既存航空機の延長にある「次期航空機」でのポジション向上、②脱炭素社会に向けた新しいコンセプトの「次世代航空機」における事業機会の探索、である。一方、航空機製造に関わる日本企業との対話では、①海外OEMを頂点とする業界構造の中での中期的な「勝ち筋」や、②長期的な研究開発での「社会実装」に関する悩みが多いのも実情である。例えば、航空機製造サプライチェーンの中での新規参入を実現するためには能力獲得だけではなく既存サプライヤーが存在する中でのマルチソース化の先としてOEMに選択される道筋が必要であることや、次世代航空機では長期的な研究開発予算の確保や技術開発から事業化までの推進力が必要であること、また、大前提として、将来の社会・技術動向を見据えた際の経済的な成立性が検討課題となる。航空機産業は我が国の社会経済活動や安全保障の観点から重要な産業であり、その持続的成長のためには民間企業による努力だけでなく、後押しとなる官側での支援との両輪で進める必要があると考えられる。本稿では、「中期・長期」×「民・官」の観点から、日本の民間航空機産業において想定されるシナリオや取り組むべき施策の方向性に関して、以下の順に述べていきたい。

目次

  1. 中期:次期航空機開発での日本のポジション向上
  2. 長期:次世代航空機の実現に向けた先端技術の社会実装
  3. 中期・長期での政府支援の在り方
  4. まとめに代えて

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