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業界展望2025 消費財

効果的なコスト削減:価格競争の厳しい環境下で、収益性の高い成長を追及する企業

近年、ビジネス環境や消費者需要が大きく変化する中、消費財業界においては価格競争が激化し、企業による価格決定力(プライシングパワー)がより限定的になり始めている。消費財企業は、価格、販売量、プロダクトミックスという基本的要素の均衡を取りつつ、収益性の高い商品構成で販売量増加・収益増を実現することが求められている。本レポートでは、世界の消費財業界のリーダーへの調査を基に、消費財業界における2025年の業界全体の見通しやビジネス戦略検討に向けた優先事項について解説する。

 
イントロダクション

収益性の高い成長を実現するためには、価格、販売量、プロダクトミックスという基本的要素の均衡が取れていなければならない。これは、収益(価格×販売量)と(販売されるプロダクトミックスの構成要素から得られるマージンに関する)粗利益の要素からなるシンプルながらも相互に関連した方程式で表される。当然ながら、特定の年度業績に対しては、無数の他の要因も影響するが、その中でも特に中心となるのが価格、販売量、およびプロダクトミックスの3つの要素である。

デロイトは過去の調査において、その方程式の均衡を保つのが非常に複雑になってきていることについて解説した。人口動態、政治、環境、技術、文化など様々な面で大きな変化が生じている中、消費者の嗜好はますます多様化している。消費財企業は、消費者基盤や需要の変化に対応する中で、商品の価格設定を適切に、且つ、利益をもたらす方法で行うことがますます困難になりつつある。これまでも多様化する顧客とのレレバンス(愛着度)を維持するためにより多くの投資を行うと同時に、効率化を進め、自社のリソースを最適化する方法を見出すことを強いられてきたが、この難解な課題は、まだ解消されるに至ってはいない。

2024年は、消費財企業による価格決定力(プライシングパワー)がより限定的になり始めた中で、一部の企業は成長ドライバーとして販売量を重視するようになった。2025年においても、消費財企業は価格設定で強い逆風を受けながらも、収益性の高い商品構成で慎重に販売量増加を目指す「収益を最大化する販売」の追求が目標となるであろう。しかし、企業の中でも特に好業績企業はその目標を達成するために、何かしらの差別化を図った戦略を打ち出している。

デロイトでは、世界の売上高トップ100の消費財企業を対象とした財務情報分析に加え、食品・飲料、家庭用品、美容・パーソナルケア、アパレルの消費財企業経営幹部を対象としたグローバル調査を実施し分析を行った。デロイトの分析の中で、「利益成長型企業(Profitable Growers)」と呼ばれるトップの好業績企業は、以下の3つの分野において他の企業と一線を画しているということが示された。

商品ポートフォリオとプロダクトミックス:プロダクトイノベーションへの投資を増やし、パフォーマンスの低い商品や事業ラインを積極的に整理しつつ、より優良な商品・事業を獲得する。

需要の創出:需要創出能力を刷新すべく、取引、マーケティング、およびプライスパックアーキテクチャーへの投資をより適切に行い、デジタル化、ターゲットマーケティング、レレバンス(顧客の愛着度)の向上を目指す。

変革の効率化:特にデジタル化と自動化を通して組織を簡素化・合理化し、新たな効率性を見出すことで成長への投資資金を調達する。

原文(英語)レポートは以下よりご参照頂けます。
2025 Consumer Products Industry Outlook

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