本記事は日本国内優遇措置検索サービス「Japan Incentive Insights」のコンテンツです。本記事は2025年7月8日時点の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。
Japan Incentive Insights(コンテンツページ):【4次公募】令和6年度補正予算 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
昨年大きな話題を呼んだ「中堅・中⼩企業の賃上げに向けた省⼒化等の⼤規模成⻑投資補助⾦ (以下、「大規模成長投資補助金」)」の第4次公募が2025年7月7日に開始されました。本記事では、過去の公募からの変更点及び申請に向けたポイントについて解説します。
大規模成長投資補助金は令和5年度補正予算にて新たに設けられた事業であり、2024年においては3月(1次)及び6月(2次)の2回の公募が実施されました。令和6年度補正予算により、新たに3,000億円の予算(令和9年までの国庫債務負担を含む)が設けられ、2025年3月10日に3次公募が開始され、7月7日に4次公募が開始されました。
大規模成長投資補助金の概要
補助対象者は資本金にかかわらず、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社等です。発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上を同一の大企業に所有されている場合等はみなし大企業として対象外になるため注意が必要です。
また、対象となる投資は10億円以上ですが、金額基準を満たしているだけでなく、労働生産性の抜本的な工場が図られ人手不足の状況が改善する取組みとなっているか、外部環境・内部環境の認識を踏まえた事業戦略において必要な投資であるか、等の評価項目を満たすような投資であることが重要です。
評価項目は①経営力②成長性・先進性③地域への波及効果④大規模投資・費用対効果⑤実現可能性の5つです。申請書(最大35頁のPPT)において、上記の評価項目を高い水準で満たしていることを定性的だけでなく、定量的にも示す必要があります。
なお、過去の採択者の各指標の中央値が公開されているため、遜色ない指標の計画となりそうかを事前に確認しておくことが推奨されます。
(参考:3次公募における各種指標の中央値)
https://seichotoushi-hojo.jp/assets/pdf/3ji_median.pdf
3次公募では、これまでの加点要素に加え、複数の加点要素が追加されました。
「地域経済牽引事業計画」は公募開始時点で都道府県知事の承認を得ている必要があり、「えるぼし認定・くるみん認定」は取得に時間を要する(都道府県により異なる)、「地域企業経営人材マッチング促進事業」を活用して採用するには時間を要することから、これらの加点要素を申請までに対応することは現実的に難しいと考えられます。また、4次公募ではこれらの外部認定による加点要素はすべて公募開始時点で認定を取得している必要があると明記されました。
一方、中小企業基本法上の中小企業者は令和9年12月までに産業競争力強化法上の中堅企業へ移行する目標を掲げた場合は加点要素となり、採択上、有利にはたらく可能性があります。ただし、当該加点要素の対象となる企業は、交付決定から原則1カ⽉以内に、従業員数及び資本⾦の⽬標値をプレスリリース等で対外的に公表するとともに、⽬標を達成できなかった場合には、事業者名を公表される可能性があることから、当該加点要素への対応については慎重に検討をする必要があります。
また、2次公募では評価項目に含まれていた、「総投資額に占める初年度の投資額の割合が高い水準であること」については3次公募及び4次公募においては評価対象外となっています。
上記以外にも細かな変更や補足の追記が多いため、必ず公募要領の原文をご確認ください。
本補助金は最大35頁のPPTで成長投資計画を作成する必要があり、申請には非常に多くの工数を要します。申請書の作成に着手する前に、最新の公募要領及び公表されている採択者の中央値の指標等を参照しながら、本補助金の政策目的に合致しているか、十分な指標の向上が見込めるかを検討する必要があります。
また、売上高100億円を目指す中小企業については、別途「中小企業成長加速化補助金」の2次公募が順次開始される予定であり、現時点で売上高100億円未満である事業者は当該補助金の適用可能性も検討することが推奨されます(7/8執筆時点で公募要領未公開)。
大規模成長投資補助金又は中小企業成長加速化補助金を含め、設備投資に係る優遇措置の適用の検討を進められる場合は、ぜひデロイト トーマツにご相談ください。