今年、2024年の世界経済を振り返ると、中国や欧州の成長が下振れる展開となったものの、米国経済が大方の予想を覆す高い成長を実現したほか、IT関連需要の回復基調を受けてアジア新興国などがまずまずの成長となった。この結果、多くの不安要素を抱えつつも、世界経済は3%を幾分超える底堅い成長で着地したものとみられる。
当方では、2025年の10大リスクシナリオを「図表1」の通り選定した。今月の当メールマガジン記事「不確実性の高まりに直面する世界経済:2025年の主要地域の展望」では、当方の2025年の主要地域経済のベースラインシナリオを提示している。これに対し本稿の10大リスクシナリオは、主要地域経済がベースラインシナリオよりも大幅に悪化するシナリオを10項目選定し、その蓋然性と、日本企業への影響度から評価してランク付けしたものである。以下ではこれらを経済要因、地政学要因、その他の項目に分けて概観する。
世界金融危機以降、国際的な金融機関の破綻処理に関する規制・監督強化が進められてきた。特に、金融安定理事会(FSB)は、「大きすぎて潰せない」問題への対応として、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)等の破綻処理に関する国際基準やガイダンスの策定に取り組んできた。また、各法域においても、秩序ある破綻処理制度の整備が行われている。本稿では、こうした金融機関の破綻処理に関する国際的な動向を3つの観点で簡潔に整理した上で、本邦金融機関に求められる今後の対応を検討する。