中国経済が弱めの動きを続けている。足元、小売売上高の伸びが2%台に止まるなど、個人消費の低迷が目立つ。不動産市場の調整が長引いており、住宅販売に関連する家具や家電といった派生需要には下押し圧力がかかっている。また、住宅価格の低迷は、マインド面への悪影響や債務負担の重さから消費を押し下げる、いわゆる逆資産効果につながっている。さらには、若年層を中心に雇用・所得環境の改善が鈍いことも、消費にとっては大きなマイナス要因となる。中国では、ゼロコロナ政策の解除後、経済再開によってサービス業を中心とする消費の拡大が見られていたが、そうした特殊な押し上げ要因にも一巡感が見られている。高成長期の中国経済を支えてきた投資に関しても、不動産開発投資が低迷を続けていることは言うまでもないが、インフラ投資も伸び率を低下させており、経済全体のけん引役を期待することは難しい。
今年のグローバル経済・政治上の最大のイベントと言える米国の大統領選挙まで、1ヶ月あまりとなった。今回の選挙戦はバイデン大統領の続投断念など異例の展開をたどったが、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領の支持率は僅差のまま終盤に突入している。選挙の結果に関わらず、米国の政策環境の変化に身構えている企業や金融市場の参加者は多いだろう。
金融規制・監督における気候関連リスクや自然関連リスクの重要性が高まっている。バーゼル銀行監督委員会(BCBS)などの国際的な組織や各法域の金融当局は、主に銀行の健全性や金融システムの安定性確保の観点から、官民一般の気候変動リスク対応と平仄を合わせる形で、気候変動がもたらす金融リスクに対する取組みを進めてきた。また、近年では、生物多様性等の自然関連のリスクに対する当局の対応にも注目が集まっている。本稿では、こうした気候関連リスクおよび自然関連リスクに対する国際的な金融規制・監督上の取組みを概観した上で、本邦金融機関に求められる対応を考察する。