2008年以来、隔年で発行されているDeloitte Art & Finance Reportは、アートとファイナンス業界の成長を促進し、アート・文化・ファイナンスのエコシステム全体に利益をもたらす可能性を探求し続けてきました。他の多くの経済社会と同じように、グローバルアート業界でも、経済、環境、地政学的な不確実性が高まっています。しかし、そのような状況下でも、アートとファイナンスの融合がもたらす革新と可能性を模索する動きはさらに活発になっています。
本レポート『Deloitte Art & Finance Report 2024日本版』では、昨年末に発刊されたグローバル版であるDeloitte Private & ArtTactic Art & Finance Reportのサマリーに加えて、日本の現代アート市場の概観、そしてアート領域を積極的に自社ビジネス開発に参照している企業へのインタビューなど、日本版ならではのコンテンツを収録しています。
『Deloitte Art & Finance Report 2023グローバル版』では、2022年の超富裕層(UHNWIs)のアートとコレクティブル資産と関連する富が2.174兆ドルに達したことを明らかにしました。これは、アートとファイナンスの重要性が増加していることを示しており、今後も更なる成長が予測されています。
本章では、『Deloitte Art & Finance Report 2023グローバル版』をひも解く前のインデックスとして活用していただくために、サマリーとして特に留意すべき点を定量的に理解するためのファクトをピックアップし、わかりやすいグラフィックスで表現しなおしました。今後のエコシステム全体を俯瞰した場合、考慮すべきトピックを網羅的にカバーすべく以下の点に焦点を当てています。サマリーを通じて概括的に理解した後に、特に関心の高い事項については、グローバル版を通じて定性的なトレンドや分析を参照していたければと思います。
日本版独自のコンテンツとして、日本の現代アート市場の現状と課題、そして将来展望について分析しています。近年、日本の現代アート市場は着実に成長しており、海外からの注目度も高まっています。しかし、市場規模は欧米諸国と比べるとまだ小規模であり、透明性や流動性の改善といった課題も残されています。本レポートでは、これらの課題克服に向けた取り組みや今後、日本の現代アート市場がどのように成長していくのかについて考察しています。
若手コレクター・若手アーティスト・各所でオープンしているアートコンプレックスなど日本でもアートビジネスシーンに新しい変化が登場してきています。これらの動きが、伝統的なアートビジネスの潮流とどのように合流し、特徴的な日本市場の市場形成がなされようとしているのか、アートグローバルトレンドと対比しつつ議論するための端緒として利用していただければと思います。
アート領域は、その原初的な性質として創造性、柔軟性、革新性に富んでいます。ビジネスの現場ではそうしたアート領域の営みや考え方を積極的に取り組もうという動きが始まって久しく、多様な業種でその試行錯誤が展開されてきました。アート×ビジネスの方程式に王道はありませんが、試行錯誤も一巡し、単なるブレストから経済的な付加価値をアートによってどのようにドライブできるかという段階になり、各社の試みも高度化してきたのではないでしょうか?本章では、アート領域から学びを得て、自社のビジネス開発に活かしている企業のインタビューを掲載しています。記事では、各社がアートからどのようなインスピレーションを得て、どのようなビジネス展開を行っているのかを紹介し、読者の皆様に新たな視点とアイデアを提供することを目的としています。
『Deloitte Art & Finance Report』は日本版、グローバル版ともに、アートとファイナンスの融合がもたらす可能性と不確実性の時代を乗り越えるためのヒントを探求する羅針盤となることを目的として編纂されています。本レポートが、アートとファイナンスに関わる全ての方々にとって、価値ある情報源となることを期待しています。
関心のある方は、是非、当ページよりダウンロードし詳細をご参照ください!