本稿では、報告書が公表された背景、および当該報告書の内容について概説します。
注1:Cryptographically Relevant Quantum Computer/Cryptanalytically Relevant Quantum Computerの略
注2:本報告書は、金融庁開催した「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会」(開催期間:2024年7月から10月)における議論や有識者へのヒアリング結果に基づき取りまとめられたものです。(https://www.fsa.go.jp/news/r6/singi/20241126.html)
本報告書は、①CRQCが暗号技術に与える影響およびその対策技術の動向、②国内外におけるPQC移行に関する動向、③PQC移行で想定される脅威と影響、予め検討すべき項目や有用と考えられる技術等、④金融機関がPQC移行において留意すべき項目がそれぞれ記載されている4つのパートから構成されています。
図1.報告書の目次および各パートの概要
ここでは、本報告書のエグゼクティブサマリーに基づき、PQC移行に際して、金融機関のシステムに関する責任者や経営層が認識・対処すべき観点について整理します。
図2.海外における対応動向(注3)
注3:参考:金融庁「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会報告書」(https://www.fsa.go.jp/singi/pqc/houkokusyo.pdf)
注4:参考:金融庁「量子コンピュータの登場に伴う機会とリスクに備えた計画に関するG7サイバー・エキスパート・グループによるステートメントの公表について」(https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20240926/quantum_letter.html)