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ファミリービジネスインサイトシリーズ

ファミリービジネス業界を定義する(2025年)

本レポートは、数と収益の面で世界的・地域的にファミリービジネスがどの水準にあるかを探るとともに、リスク管理方法、長期的な成功に向けた戦略的計画の策定方法、ガバナンスアプローチについて検証します。

ファミリービジネスは世界経済を牽引し、イノベーションとレジリエンスを備えた産業を形成しています。ファミリービジネスの最新の考え方や活動のトレンドを明らかにするために、収益が1億米ドル以上、且つ、ファミリーが株式の過半数(51%以上)を保有する世界中のファミリービジネス1,587社のシニアエグゼクティブを対象とした調査を実施しました。2024年、対象のファミリービジネスの収益は平均で28億米ドル、合計すると4兆4000億米ドルとなりました。

ファミリービジネスは世界の全ビジネスの22%を占め、年間売上高は1億米ドル以上です。2020年の16,194社から現在は18,087社に増えており、マクロ経済要因を考慮すると、この数は2020年から2030年の間に22%増加し、2030年までに19,744人に達する見込みです。欧州は最も成長が速い地域になると予想されており、2025年の4,084社から12%増加し、2030年には4,577社になると推定されています。一方、現在ファミリービジネスが拠点としている地域として最も多いのはアジア太平洋の7,595社です。これに対し、北米は5,152社、欧州は4,084社、中東は528社、南米は352社、アフリカは377社となっています。

現在、世界の全事業の収益は現在109兆米ドルと推定されており、そのうちの19%にあたる21兆米ドルをファミリービジネスが占めています。これは、2020年の16兆米ドルから増加しています。ファミリービジネスの収益は、2030年には29兆米ドルに達すると予測されていますが、2020~2030年の間には84%という急速な伸びとなる見込みであり、非ファミリービジネスの予想成長率59%を大きく上回っています。同期間において、北米とアジア太平洋地域のファミリービジネスは最も大きな増収となることが予想されており、いずれも収益が97%増加し、それぞれ12兆米ドルと9兆米ドルに達する見込みです。​

オーナーシップの移行を迎える中、ファミリービジネスの4分の1以上(26%)が現在、外部投資またはプライベートエクイティをターゲットにしています。一方で、一族以外の経営幹部によるオーナーシップを拡大しようとしているファミリービジネスは19%で、株式上場を検討しているのは12%、事業全体の売却を予定しているのは3%です。オーナーシップの変更は、複数の要因により生じることがありますが、その中でも大規模な資産の移転が最大の要因であるという回答が得られました。現役世代が引退を迎えつつある中、ファミリービジネスのオーナーシップやリーダーシップが再編されようとしています。​

2024年、ファミリービジネスの収益成長率は世界平均で8%でしたが、2025年は12%に、2026年は14%に増加すると回答者は予想しています。この成長率を達成するための策として1位に挙げられ、回答者の40%がすでに採用している戦略は、効率化やコスト削減、イニシアチブの規模拡大を目的としたAIなどの技術革新への投資です。​

欧州連合(EU)には4億5000万人以上の単一市場であることを受け、現在、ファミリービジネスの進出先として最も有力視されているのは欧州です。今後1~2年のうちに欧州で事業を拡大する予定のファミリービジネスは半数(51%)に上ります。僅差で次点に選ばれたのは48%の北米で、次いで40%がアジア太平洋地域、28%が中東と南米、17%がアフリカです。

女性CEOが率いるファミリービジネスは、調査対象企業の23%を占めており、2024年の収益成長率は10%で、男性CEOの企業(8%)を若干上回りました。この成長を支えるため、女性CEOは戦略全体で男性CEOより多くのリスク軽減策(定期的なリスク評価または監査の実施、サイバーセキュリティへの投資、緊急時対応計画の確立など)を採用しており、ガバナンスメカニズム(ファミリー定款、ファミリーの取締役会/評議会など)の導入でも男性CEOに先行しています。​

本調査を実施した時点で、ファミリービジネスは経済の不確実性が最大の外部リスクであると認識しており、回答者の69%が中リスクまたは高リスクとして評価しています。また、68%が、そのリスクによって主要な事業投資や成長戦略の遅れが生じていると回答しました。さらに、地政学的緊張が経済の不安定性や不確実性の一因になっているとした回答者は73%に及び、70%が追加関税が経済と自社のビジネスに打撃を与えるだろうと回答しました。​

サイバー脅威の懸念もリスク評価の上位に挙げられており、69%がサイバー脅威を中・高程度の外部リスクとして評価しています。また、自社のサイバー攻撃への対策不足を中・高程度の内部リスクと評価した回答者は61%でした。こうした状況を受けて、ファミリービジネスの42%は、サイバーセキュリティ対策とデータガバナンスの強化に取り組んでいます。​

ファミリービジネスの平均離職率は20%に達しており、回答者の約3分の2(64%)が人材の確保と定着に苦慮しています。この問題を解決しようと、在宅勤務モデルを取り入れるファミリービジネスが増えており(76%)、さらには競争力のある短期・長期報酬プログラムやキャリアパス、前向きかつ包摂的な企業文化の提供にも力を入れていることがインタビューで明らかになりました。​

ファミリービジネスはさまざまなガバナンスアプローチを活用しており、その中で最も一般的なものは、定期的なファミリー会議の開催(43%)、ファミリーの取締役会/評議会の設置(41%)、倫理ガイドラインの導入(41%)です。また、ファミリービジネスが現在直面しているガバナンス上の課題として回答者が口を揃えたのは、意思決定権の所在の不確実性(37%)と、リーダーシップの移行に関する承継計画(36%)に関するものでした。

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