ベンチャークライアント(Venture Client)は、スタートアップの顧客となる主体を指し、ベンチャークライアントモデル(Venture Client Model)は、世界トップクラスのスタートアップのソリューションを発掘、試験購入、導入することで、事業会社が直面する最も差し迫った戦略的課題を解決し、経済的効果（売上の増加、費用の削減）を実現する手法です。ドイツをはじめ世界40カ国以上で、大手自動車メーカーや化学メーカーなどを中心にすでに多くの企業が同手法を導入しています。先進企業では、社内のベンチャークライアント能力を構築、向上、成長させるために、テクノロジーやデータを活用し、スタートアップの発掘、試験的購入、導入するまでの一連のプロセスを、投資の費用対効果を勘案しながら効率的および効果的に運用しています。その結果、トップクラスのスタートアップのテクノロジーをバリューチェーン全体に導入することが可能となり、コスト削減とトップラインの成長を実現しています。

スタートアップの力を活用すべき背景

世界中でスタートアップは未来の競争優位性を生み出す存在として注目されています。世界では年間6,000億ドル以上のベンチャーキャピタルによるリスクマネー（データソース：ブルームバーグ2022年）を原資とし、様々な先端技術や専門人材をメンバーとするスタートアップは、スピード感をもって技術的な大躍進を生み出しています。スタートアップとの共創は、企業の未来の競争力の源泉となりうるため、多くの大企業はオープンイノベーションや出資の相手先としてスタートアップに注目しています。一方で、一流のスタートアップから戦略的なインパクトを与えるソリューションを見つけ、購入、検証し、大規模に導入するプロセスは非常に複雑です。各社が個別に取り組むには、様々な専門知識やコストを必要とし、ハードルが高いのが実情ではないでしょうか。そういった課題を解決し、ハードルを越えるためのコーポレートベンチャリング手法を持つ企業こそが、競争優位の源泉を手にすることができると考えています。

ベンチャークライアント(Venture Client)について

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)やアクセラレーターといった従来のコーポレートベンチャーの手法は、戦略的利益に主眼を置いた場合に、結果に直結する手法としては弱点があると言われています。特に、トップクラスのスタートアップに出資をするには、必ずしも戦略的メリットに結びつくかわからない状況で多額の資金が必要となります（Harvard Business Review, 2017）。ベンチャークライアントモデル(Venture Client Model)は、大手企業が直面する最も差し迫った戦略的課題を解決することのできる世界トップクラスのスタートアップ企業のソリューションを発掘、試験購入、導入し、経済的効果(売上の増加、費用の削減)を実現する一連の手法です。企業が最適なスタートアップと迅速かつ効果的に協業し、経済的利益を得る様々な成功事例が生まれている新たな手段としても注目されています。

構築

世界クラスのベンチャークライアントユニットを運営するための戦略設定、文化醸成、組織、データ、テクノロジーの基盤を構築します。
 

• 戦略と組織構造の定義：専門のベンチャークライアントユニットを設立し、スタートアップのソリューションを大規模に採用するための戦略設定、組織構築をすることで、世界のトップクラスのスタートアップとの協業によって競争上の優位性を獲得します。
• スタートアップとの協業文化の確立：組織全体で、スタートアップとの協業の戦略的な重要性を認識する文化を構築します。ベンチャークライアントユニットに対する社内、社外およびグローバルなスタートアップエコシステム内での信頼を築きます。
• テクノロジーの活用：ベンチャークライアントユニットのために設計された「ネイティブ」ベンチャークライアントソフトウェアの導入を検討します。独自のクラウドベースのベンチャークライアントプラットフォームは、問題発見の初期段階から、スタートアップのスカウティング、導入プロジェクトの管理、トップクラスのスタートアップとの協業やM&Aによる戦略的効果の測定まで、ベンチャークライアントを運営するプロセスのあらゆる面で究極のサポートシステムとして機能します。ベンチャークライアントの成功には、データが極めて重要な役割を果たします。27pilotsは、企業の戦略的課題に最も合致するスタートアップが提供するテクノロジーおよびソリューションに関する独自の知見を持っており、毎年、何千ものスタートアップのテクノロジーを評価および検証しています。
   

運営

確立されたベンチャークライアント機能を活用し、スタートアップが持つソリューションごとに競争優位性を構築します。
 

• 重要なビジネス課題の発見：経営トップやビジネスオーナーと協力し、スタートアップソリューションによって解決できる戦略的な優先順位の高い課題を特定します。
• 関連するトップスタートアップの発掘：グローバルのネットワークと独自のシステムを活用し、商業的および技術的評価を通じて優れたスタートアップを特定し、スタートアップ発掘に関するリスクを低減します。
• ソリューションのパイロットと採用：“minimal viable purchase”(最小単位で実行可能な購買)を実施して事業部でパイロットテストを行い、スタートアップのソリューションを採用し、利用を拡大します。
• 創出価値の測定、トラッキング：独自のシステムを通じてスタートアップのソリューションによって創出された価値を測定し、経営層や意思決定者に客観性のある説明を提供します。
• 買収検討の支援：知的財産の独占所有が望ましいかどうかを評価し、買収の可能性をサポートします。