欧州サステナビリティ法規則が求める人権・環境デューデリジェンスでは、苦情処理(グリーバンス)メカニズムの構築をそのうちに含めています。その受付対象は社内のみならず、直接・間接サプライヤー、地域住民などにまでに開かれていることを要請しています。対応に向けて、デロイト トーマツでは外部受付機関としての受付機能から、社内の処理機能構築のサポートする処理機能、さらに各事案の法令の観点での相談もサポートしています。
ビジネスと人権に関する指導原則(United Nations Guiding Principles 以下、UNGP)や、これを後ろ盾にしている多くの欧州サステナビリティ法規制では、デューデリジェンスのプロセスのなかに苦情処理(グリーバンス)メカニズムの構築を求めています。苦情処理メカニズムとは、企業活動による人権・環境への負の影響が懸念された場合に、当該事案を是正・改善する救済のメカニズム(仕組み)のことです。その受付対象は社内のみならず、社外のステークホルダーである、直接サプライヤー、それ以外の関連サプライヤーや地域住民などにまでに開かれていることを要請しています。
またUNGPでは苦情処理メカニズムにおいて実効性を確保するための8要件を定めており、誰もが制限されずに「アクセスすることができる」こと、目安となる所要期間などが示されており「予測可能である」こと、進捗情報を継続的に知らせていて「透明性がある」ことを求めています。さらに受付時の配慮事項だけではなく、受け付けた内容をもとに今後の苦情や被害を防止するために「継続的学習の源となる」こと、メカニズムの設計やパフォーマンスについて協議し「エンゲージメント及び対話に基づく」ことなど、運用における定期的な改善を求めています。
UNGPは人権を中心とした要請事項ですが、電池及び廃電池に関する規則(EU)2023/1542、企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD:Corporate Sustainability Due Diligence Directive)などの欧州サステナビリティ法規則では、人権のみならず環境も含めることから、より幅広い検討が必要となります。
苦情を受付ける対外的な窓口はあるけれども、実際に受付けた場合に、以下のような事態に陥る可能性はないでしょうか?
苦情処理のあるべき姿としての対応期間を踏まえると、事案を受付けてからフローや体制を構築していては間に合いません。上記のようなケースを想定して、誰が、どのように処理するのかのプロセスを事前に検討し、マニュアル化しておく必要があります。
上記のようなお悩みをもつ企業に向けて、デロイト トーマツでは、外部受付機関としての受付機能から、貴社内部の処理機能の構築、さらに各事案の法令観点での相談もサポートしています。
外部通報者からの苦情をEメール、WEBフォームで受け付けます。情報に不足がある場合は、当該確認を行うために申し立て者に確認します。人権・環境侵害に関する事案と該当しないものを分類し、貴社へ連携いたします。受付は日本語・英語を含めた最大14言語対応可能です。グローバルホットラインの外部窓口としての多数の実績のあるデロイト トーマツでは、スムーズな運用が提供可能です。
内部の通報制度であっても、外部機関で受け付けたとしても、当該事案の事実の確認・調査、対応措置の検討・実施などは、各企業に任されることとなります。どの部署が事案に対する実施事項の明確化をするのか、どういう基準で重要性を評価するのか、誰が是正対応を実行するのか、取引先だった場合はクローズ・取引停止の判断はどのようにするのか、外部協力者とのエンゲージメントの必要あるのか・・・など、事案が起きる前に判定基準とフローを決めておく必要があります。またグローバル事案だった場合に、本社との連携はどのタイミングでどのように行うかも事前に検討しておく必要があります。
デロイト トーマツでは、既存の内部通報制度やリスクマネジメントの仕組みや運用をヒアリングしながら、新規に検討するべきフローや判定基準を明らかにして、効率的にメカニズムの高度化の助言を行います。
通報された内容が特定国の法令違反を根拠とするものであった場合、当該通報内容の真偽を検討し、重大性を評価するに当たっては、当該法令の内容を把握して理解する必要があります。加えて、当該通報の対応策を検討するに際しても、当該国における法令(及び実務)に適った内容にする必要があり、現地法に精通した法務専門家による助言が必要になります。デロイト トーマツでは、グローバルなリーガルネットワークを活用し、各国の法務専門家と連携しながら、個別の通報内容の精査・評価、及び対応策の検討に必要となる現地法令に関する法務助言を提供することが可能です。
苦情処理メカニズムの構築は、人権・環境リスク評価やサプライヤー管理のノウハウなど、多岐にわたるナレッジを結集した上で、社内内部のステークホルダーを巻き込みながら行う必要があります。デロイト トーマツは、サステナビリティに関する専門家に加え、法務、税務、グローバルガバナンス等、様々な専門性を有したメンバーでチームを組成し、貴社社内のステークホルダーとのコミュニケーションにも参画しながら取り組みを支援いたします。また、苦情処理メカニズム対応を契機として、全社的リスクマネジメント(ERM)やサプライチェーンマネジメントの見直し、コンプライアンス/ガバナンス体制構築などの展開にも柔軟に対応しております。