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2025 C-suite Sustainability Report

最高経営幹部を対象とするサステナビリティに関する調査

本調査は、デロイトが27か国、約2,100名の企業経営幹部を対象に、サステナビリティに関する取り組みの状況や経営上の意識について調査したものです。そのうち日本の企業経営幹部132名の回答結果とグローバル全体の回答結果を比較し、まとめました。なお、2024年度の調査結果は「CxOサステナビリティレポート」として公開しています。

2025 C-suite Sustainability Report

2024 CxO Sustainability Report

主な調査結果

経営幹部は、「気候変動・サステナビリティ」を今後1年の三大優先事項の1つと認識

日本・グローバルともに経営幹部の45%が、「気候変動・サステナビリティ」を今後1年に優先して取り組むべき三大課題の一つであると回答しています。ステークホルダーからの要請も大きく、日本・グローバルともに81%の回答者がプレッシャーを感じています。グローバルは全てのステークホルダーからほぼ等しくプレッシャーを感じていますが、日本は株主・投資家・競合他社(55%)や銀行(54%)などと比較すると顧客や消費者(48%)からの圧力は大きくありません。

戦略的なアプローチとして、日本・グローバルともに回答者の約40%が、ビジネスモデルの変革に取り組んだり、組織全体にサステナビリティの観点を取り入れたりしています。日本の経営幹部が組織としてサステナビリティの取り組みを推進する上では、取り組みを主導する担当部門や責任者の不在が最大の障壁となっており(24%)、グローバル(14%)と比較しても大きな障壁であることが分かります。

サステナビリティ投資は、収益創出などを主なメリットとして継続

直近1年でサステナビリティの投資を増やしたという回答は、日本では90%、グローバルでは83%にのぼり、前年を上回りました(2024年:日本81%、グローバル85%)。投資評価に際しては、自社のサステナビリティ目標や環境への影響、財務上の利益などを重視しています。

具体的なサステナビリティの取り組みについて、日本の経営幹部は、「サステナブルな製品・サービスの開発」(52%)や「環境指標の把握・分析」(49%)などを実施しています。結果として、サステナビリティの取り組みによるプラスの影響を、特に「規制遵守およびガバナンス」(67%)や、「収益創出」(66%)に感じています。

AIなどのテクノロジーがサステナビリティの取り組みを推進

日本の経営幹部が直近1年間でサステナビリティの取り組みを推進した要因のトップには、「AIなどの新しいテクノロジーへの投資の必要性」(42%)が挙がりました。一方でサステナビリティの目標達成のためにテクノロジーを活用する傾向も強く、業務効率化やサステナビリティデータのモニタリングなど、どちらかというと守りの部分に活用しつつ、サステナブルな新製品・サービスの開発など、攻めの部分にも活用しています。サステナビリティの目標達成のためにAIを活用したことがある経営幹部も日本は86%、グローバルでは81%にのぼります。

調査結果へのコメント

デロイト トーマツ グループ パートナー
Sustainability&Climate Virtual Business Unit Leader 丹羽 弘善

今回の調査結果からは、引き続き経営幹部は企業経営においてサステナビリティを重視しており、日本においては回答した経営幹部の90%がサステナビリティへの投資を増やしたことが明らかになりました。前回の調査結果では、サステナブルな材料の使用や研修実施など、着手しやすい一方で目に見える変化に繋がりづらい施策が具体的な取り組みの中心であることが、グローバルと比較した日本企業の課題の一つでした。今回の調査結果からは、日本もグローバルと同様に、サステナブルな製品・サービスの開発や、環境指標の追跡・分析など、よりビジネスに直結する施策に取り組んでおり、収益創出や規制遵守などにプラスの影響を感じられていることが分かり、サステナビリティの取り組みに進歩が見られます。この進歩には、AIなどのテクノロジー活用も寄与しているようです。

一方で、日本はグローバルと比較して、企業のサステナビリティの取り組みに対して、投資家や銀行ほどに消費者の関心が高くはありません。また、主導する担当部門や責任者の不在がサステナビリティの取り組み推進における大きな障壁となっています。このことから、現在は金融機関からの要請に対応することを主眼に日本企業の取り組みが進んでいるものの体制整備が追いついていないことや、消費者までは取り組みの重要性が十分に浸透していないことがうかがえます。

日本企業がサステナビリティの取り組みを加速する上では、組織の体制を整えるとともに、消費者の意識を高める努力も求められます。実効性のある施策実施へとサステナビリティの取り組みは着実に進展しているため、今後は担当者も設置して継続的な成果に結びつけていくとともに、消費者までサステナビリティの重要性を浸透させ、市場全体の意識を底上げして取り組みが推進されることに期待します。

調査概要

本レポートは企業経営者2,106名(うち日本の経営者は132名)に対する調査を基にしています。調査はKS&R Inc.とデロイトによって2025年5月から6月にかけて実施されました。調査対象の回答者は27カ国にわたり、欧州39%、北米21%、アジアパシフィック26%、中東・アフリカ8%、中南米6%です。全ての主要業界をサンプル抽出すると共に、KS&Rとデロイトは一部の経営幹部に対して一対一の面談を実施しました。

Sustainability&Climate Virtual Business Unit(S&C VBU)とは

デロイト トーマツ グループではS&C領域において、グループ全体のシナジー強化を目指し、様々なプロフェッショナルが連携する事業横断の組織を設置しています。気候変動やサステナビリティの幅広い領域でクライアントの課題を解決するために、知見の集約および活用をしています。S&C VBUではプロフェッショナルがそれぞれの強みを融合させることで、より高度化したワンストップのサービスを提供します。

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