Deloitteは本調査を長年にわたり実施しており、事業環境が一段と厳しさを増す中でも、企業のサイバー対応能力が着実に進化していることを確認してきました。脅威を取り巻く状況も、この数年で大きく変化しています。
その一方で、調査回答者はこれまで、経営層の支援や予算措置を背景に冷静な対応を維持し、増大するサイバーリスクへの防御に一定の成果を上げてきました。
Deloitteの Global Future of Cyber Survey(第5 版)は世界43カ国のビジネスおよびテクノロジー領域のリーダー1,058名からの回答と、経営幹部への詳細なインタビューを基に作成されています。
本調査は、サイバーセキュリティ対策の進展とリスクマネジメントの現実との間に存在する、5つのパラドックスに着目しています。
リーダーの自信は高い水準にあり、85%が自社のサイバー戦略に「ある程度自信がある」「非常に自信がある」と回答しています。しかし、実際に「準備」が整っているかは、その戦略を全社レベルで一貫して実行できるかにかかっています。
経営層の関与は高く、CISOとCEO の66%、CISOと他の経営幹部の76%が強固な関係であると回答しています。
一方で、現場での実行力にはばらつきが見られます。例えば、78% がサイバーセキュリティにDevSecOpsを形式上は統合しているものの、共通指標に基づく真の共同責任を認識しているのは40%にとどまります。
多くの組織がベンダーの集約と簡素化を追求しているにも関わらず、実際には利用するベンダーエコシステムは拡大しています。74% は過去1年でサイバー関連ベンダーが増加したと回答しました。
こうした状況を背景に、統合プラットフォームへの関心が高まっています。21% は統合プラットフォームへの移行中、51%が2026年にはプラットフォームが変革をもたらすことを期待していると回答しています。
侵害は依然として頻繁に発生しており、78% が2025年に少なくとも1件の侵害を経験と回答しています。
一方で、組織の多くはその二次的な被害を抑え込むことに成功しています。深刻な悪影響があったは平均52%、深刻な業務中断があったする58%と回答にとどまっており、被害の拡大を一定程度防いでいることがうかがえます。
サイバーセキュリティの支出は安定的に推移しており、85%が前年比で予算を増額、88% が今後12ヶ月での増額を予定していると回答しています。しかし、事業環境は、特に生成AIの登場により急速に変化しています。そのため、変化に対応するには、予算にも柔軟性を持たせることが求められます。例えば、不測の事態に備え予算の10~20%程度の柔軟性を確保することや、硬直的な複数年計画を見直し、ローリングフォーキャスト、継続的予算編成などを導入することが有効です。
本レポートが示す5つのパラドックスは、実践的な好機を示唆しています。これらのパラドックスを解消できた組織は、サイバーセキュリティにおける「ビジョンと実行のギャップ」を最小限にすることが可能になります。経営層の戦略的な重要性の認識や投資への意欲、CISOによる強固な戦略、プロセス、体制の構築などの実施に向けた前提条件はすでに整っています。今こそ、これらの要素を組み合わせ、次なる脅威に備えるために真に統合されたサイバー防御メカニズムを構築すべき時です。
次なるステップは、この「パラドックス」というレンズを通して自社にとってどの要素が最も重要かを見極め、関係者と連携してそれを解消し、実行を最後まで推進する「変革の担い手」として行動することにあります。
本レポートでは、調査にご協力いただいた調 査回答者のデータに基づく洞察と、Deloitteが実施した詳細な市場インタビューおよびDeloitteのグローバ ルなサイバーセキュリティ領域に関する豊富な知見を 踏まえた、将来志向の考察についてご紹介します。本レポートの洞察が、皆さんのサイバー施策に役立つことを願っています。ぜひご一読ください。
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