*Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性・複雑さ)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)
中期事業戦略(計画)が策定される時、自社既存事業の成長のみでは達成が見込めず、M&Aを主とするインオーガニック成長の追求が不可避となるケースは多い。そのような環境下で多くの企業や事業主体は、M&Aを含むインオーガニック成長をどのように具現化していくかという課題に直面しており、中期事業計画とM&Aディールエグゼキューションを結ぶ、インオーガニック戦略策定の重要性が増してきている。中期事業戦略(計画)の達成に繋げるためには、目前に現れるM&Aの検討機会に意思を左右されることなく、以下の主なポイントに代表される能動的な「攻め」のM&A検討機能の確立が重要となる。
中期事業戦略(計画)を達成するためには、自社既存事業の成長のみでは到達し得ない部分をインオーガニック成長で補完する必要があり、その戦略を実践できるレベルまで具体化することが求められる。コーポレートで描かれる中期事業戦略(計画)と部門戦略(計画)の間に蓋然性の乖離が見られたり、企画部門がリードするM&A検討と事業部門が描く成長軌道との間に意思の断絶が生じ、効果的なM&Aの検討推進の障害になるケースは少なくない。インオーガニック戦略はオーガニック成長と密接に連携している必要があり、M&Aの必要性という共通認識から一段踏みこみ、補完すべき機能や取得する時間軸の観点を踏まえてM&Aの目的を定義化し、組織横断で意思統一されたインオーガニック戦略を策定することが、中期事業戦略(計画)達成へ向けた第一歩になると考える。
中期事業戦略(計画)の達成という最終目標が定まっていて、インオーガニック活動による寄与度が明確になっていれば、個々の検討(案件)が独立した単発プロセスになることはない。その検討は恒常的かつ能動的であり、M&Aの目的に則した潜在的な候補先に対して自ら機会を探求する動きとなるべきである。求めるリソースを具備しているかという必要条件、事業規模・人員数や市場カバレッジ等に照らした選定条件、また、投資予算や目標スケジュールに基づく制約条件の下で、検討すべきM&A候補先に対してディールエグゼキューションへ繋げる糸口を見つけていく。たとえM&Aの検討機会が外部から提起される場合であっても、インオーガニック戦略が明確に固められていれば、自社目線から能動的な評価・判断が可能であり、事業計画達成への貢献度が低い「持ち込み型」M&A検討のリスクを低減することができる。
オーガニック戦略とインオーガニック戦略では、自らの意思による結果のコントローラビリティという点において本質的な違いがある。また、中期事業戦略の進捗によりインオーガニック戦略の目標も時間経過とともに変わり得る。然り、インオーガニック戦略にはコンティンジェンシーという基本概念が備わっているべきであり、優先度を持った選択肢が重層的に整理されていること、また、局面の変化によって戦略自体が変化しうる柔軟性を持っていることがカギとなる。自社の短期的戦略、市場の環境、また、M&A候補先の内部環境の変化が複合して、M&A検討の環境は醸成されるものであり、常時より恒常的な取り組みとしてM&Aの機会をモニタリングしていくことが望まれる。
モニター デロイトM&Aは、デロイト トーマツ コンサルティングの一員としてのインオーガニック活動に対するアドバイザリーサポートの豊富な経験に基づき、企業の中期事業戦略(計画)の実現を目標としたインオーガニック活動(インオーガニック戦略の構築、M&Aディール推進に向けた専門組織の組成と推進力強化等)の「実践力」を底上げする取り組みを強化している。従来型企業のプラクティスとは異なるディール推進のスタイルに留まらず、クライアント企業へディール推進(インオーガニック活動)のノウハウを自社のインオーガニック活動実践知も含めて提供することにより、企業の成長に向けてこれまで以上に寄り添った形でのサポートを行っている。