AIによる脆弱性発見が可能となったことに伴い、高速で脆弱性対応を実施する必要があります。企業は、自社が高速で脆弱性対応できる人材・業務プロセス・技術基盤を備えているか改めて評価する必要があります。
AIは脆弱性発見を根本的に変えつつあります。従来、脆弱性発見は専門知識を必要とし 長時間を要する作業でしたが、今では高度なAIモデルによって機械的に高速で実行されています。
最先端AIモデルは、ほとんどの企業が優先順位付けするよりも速くゼロデイ脆弱性を特定できるようになりました。企業は機械的に高速で特定される脆弱性に対応する必要があります。しかしながら、本当の課題は、脆弱性が高速で特定されることではありません。AIが見つけた脆弱性に対して組織が実際に対応を進めることができるかどうかにあります。
組織は高速で脆弱性対応が可能な体制を整える必要があります。攻撃者側もAIの活用を進めているため、この課題は今後もさらに大きくなると考えられます。
大規模な組織ではシステムが非常に複雑であり、更新が困難な旧版のソフトウェア、独自開発コード、独自の技術などの多くの問題を抱えています。修正プログラムの準備ができても、グローバル展開をする組織全体で検証やインストールを行う作業には長期にわたる時間が必要となります。
AIによる脆弱性発見の高速化は、以下の変化をもたらします。
AIによって脆弱性の発見が加速する時代に対応するには、人材、業務プロセス、テクノロジーを含むセキュリティ運用全体の見直しが必要です。
最高情報セキュリティ責任者 (CISO) は、検出範囲だけでなく、意思決定の速度の観点で体制を評価する必要があります。セキュリティチームには、リスクを迅速に把握、重要なリスクの選別、ビジネスへの影響の評価を行って、対応の優先順位をリーダーに効果的に伝えることができるアナリストが必要です。そのためには、人材モデル、スキルアップ、組織設計を再考する必要があります。
組織は、迅速な対応能力を実現するためにプロセスの圧力テストを実施する必要があります。理想的には、発見された重要事項 に対して48時間以内に許容/対処すべきリスクか判断する必要があります。そのためには、明確なエスカレーションパス、具体的なリスク許容基準、SBOM(ソフトウェア部品表)の整備、さらに調達や業務の迅速な対応だけでなく、速やかな情報開示と連携が可能な委託先との調整が必要です。
一番の課題は、大量に発見された脆弱性の優先順位付けを行い、実行可能な修正作業と結びつける仕組みを構築することです。そのためには、ほぼリアルタイムでの資産把握、悪用可能かどうかの検証、脅威インテリジェンスとの自動突合、運用上の制約を踏まえた修正の振り分けなどが求められます。
AIによる脆弱性発見の加速は、もはや将来のシナリオではありません。複数のAI開発企業やセキュリティ研究組織で実際に進行している変化です。今後こうした能力はさらに高まり、防御側だけでなく攻撃側にも広がっていきます。
人材、業務プロセス、テクノロジーの3つの観点から組織の備えを点検・強化できる組織は、この変化に対して優位な立場で対応できます。対応を先送りする組織は、増え続ける脆弱性情報や修正バックログに対して、十分な対応基盤を持たないまま規制当局による調査の増加に直面することになります。
AIによる脆弱性発見への移行を迅速に進めるには、サイバー運用モデルそのものを変革する必要があります。本件について、ぜひご相談ください。