DTCY 桐原 祐一郎インタビュー
デロイト トーマツ サイバー合同会社(DTCY)は、「未来をつくるサイバープラットフォーム」というビジョンを掲げ、これからの日本の成長に不可欠な基盤づくりに取り組んでいる。
本連載では、DTCY代表執行役 桐原へのインタビューを通じて、その構想に込めた考えや取り組みについて紐解いていく。
第4回は、具体的な取り組みの一つである「Deloitte Cyber Operate」を通じて、サイバー運用をどのように変革していこうとしているのか、その考え方について聞いた。
アドバイスだけでは解決しきれない課題
DTCYはこれまで、アドバイザリーを中心にクライアントを支援してきた。サイバー領域においても、何を優先し、どのように対策を進めるべきかを示すことは重要な役割である。
一方で、桐原はクライアントが直面している課題について、次のように語る。
「アドバイザリーのご支援も当然必要ですが、本当に皆様が何に困っているかというと、アドバイスに従って日々のサイバーセキュリティの業務を行うケーパビリティもなければ、人もいないというところだと思っています」
方針を立てるだけでは、日々の運用は回らない。人材や体制が不足する中で、サイバー対策を継続的に実行していくこと自体が、多くの企業にとって大きな負担になっている。
「丸ごと請け負わない」という考え方
こうした課題に対して、DTCYが提供するのがCyber Operateである。日々の運用を支援しながらも、従来型のマネージドサービスとは異なる思想を持っている。
「我々のOperateは、そういった日々の運用を我々の方でご支援しますという形のものになっています。いわゆる世の中にあるセキュリティのマネージドサービスとの違いとしては、我々は丸ごと請け負うものとは思っていません」
桐原が重視するのは、クライアントと並走する姿勢である。
「クライアントと並走する形で、我々のリソース、ケーパビリティと、クライアント側のケーパビリティを合わせることによって運用していきたいと考えています」
すべてを外部に任せるのではなく、双方の力を組み合わせながら運用する。そこには、クライアント自身の理解や対応力を高めていくという狙いがある。
ブラックボックス化を防ぐ
サイバーは、企業にとって重要なアジェンダである。だからこそ、運用を外部に任せきりにし、何が起きているのかが見えない状態にしてはいけない。
桐原は、その点を次のように語る。
「セキュリティは非常に大事なアジェンダになっている中で、ブラックボックス化してはいけない領域だと思っています。ですので、我々が1から10までやるのではなくて、クライアントと一緒にやりましょうということを志向しています」
一緒に取り組むことで、日々の運用そのものが学びの場にもなる。DTCYが支援するのは、単なる業務代行ではなく、人材育成や体制強化にもつながる運用である。
「一緒にやりながら、クライアント側の人材育成もご支援できたらと思っています」
ビジネスバリューを起点にする
Cyber Operateの特徴は、運用の中身だけでなく、その出発点にもある。桐原は、個別のサービスオファリングに落とし込んだときには、従来のサービスと大きく変わらない部分もあるとしたうえで、こう語る。
「ただ、出発点が違うと思っていて、サイバーのバリューをランサムウェアが怖いからとか、情報漏洩が怖いからとか、そういった話の整理をしないようにしています」
リスクを避けるためだけではなく、事業を継続し、製品やサービスの品質を高めるためにサイバーを捉える。その考え方が、DTCYの運用支援の前提にある。
「オペレーションを継続的に実行するためにはどうしたらいいのか、製品またはサービスの品質を上げるためにどうすればいいのかなど、ビジネスバリューを起点としたサイバーセキュリティのサービスを我々としては展開しています」
桐原は、こうした考え方をより広い経営層に伝えていきたいと語る。
「セキュリティの担当役員、いわゆるCISOと呼ばれている人だけではなくて、その他のクライアントの役員の方々にも理解できるようなサービスを展開したい、またはバリューを感じられるようなサービスを展開したいと考えています」
Operate to Transform
Cyber Operateが重視するのは、決められた業務を同じように続けることではない。運用を通じて改善し、よりよい状態へと変えていくことにある。
「決められたことを毎日、毎年同じことをやるのではなくて、常に改善していく、または最適化していく。我々はこれをOperate to Transformという言い方をしています」
サイバー運用は、守るための作業にとどまらない。日々の運用を通じて課題を見つけ、改善を重ね、クライアント自身の対応力を高めていく。その積み重ねが、事業を支える基盤の強化につながっていく。
DTCYが掲げるサイバープラットフォームは、こうした並走型の運用を通じて、企業が自らサイバーに向き合える状態を整えていく取り組みでもある。
―最終回となる次回は、サイバー人材の育成と「送り出す」という考え方、そして日本の未来に向けた展望について桐原に聞く。