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Japan CFO Signals Survey : 2025H1

財政環境見通しはやや改善、AI活用・デジタル化遅れへの課題意識が高まる

日本における第40回目の実施となったCFO向けの定期サーベイ。本サーベイでは、「経済環境に関する調査項目」で時系列でCFOの意識変化やマクロ的な視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオに関する意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。あわせて、日本独自のホットトピックとして、「CFOならびにファイナンス組織の役割」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2025/8/21~9/12)

2025H1 CFO Signals Report Highlights

経済環境に関する調査

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回の調査では、「楽観的」との回答が前回調査に比べ幾分増加した。この間、米国による関税引き上げに関しては、状況が大きく変化する場面が何度もあり、企業は先行きの事業環境について読みづらい状況にあった。もっとも、7月の下旬以降、米国が日本を含む多くの国との間で関税率や付帯する条件について基本合意に達したことから、先行きに関する不透明感が一旦は低下することとなった。さらに、日本国内では、継続的な賃上げを受け、サービスを中心に個人消費が緩やかな増加基調を続けているほか、IT関連投資や都市開発投資など企業の設備投資も堅調な動きを続けており、内需型企業の業況にも底堅さが窺える。ただし、今回、「楽観的ではなくなった」という回答が減少している訳ではなく、状況が全体として大きく改善したイメージとはなっていない。グローバルにみると、米国経済については、労働市場が軟化し始めており、この先、減速傾向が強まっていくと考えられる。また中国経済は、政策的なサポートに支えられていた消費や設備投資に息切れ感が見られており、先行きに注意が必要な状態にある。また、国内では、労働コストを中心に、各種のコスト増加が続いており、CFOとしては注意が怠れない状況となっている。(全文レポートより一部抜粋)
 

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

今回、「人材・労働力不足、賃金コストの上昇」が第1位となった。少子高齢化など人口動態上の変化に伴う慢性的な働き手の不足や最近の転職市場拡大を受け、個々の企業にとって人手不足への対応は経営上の最重要課題となっている。企業としては賃金の引き上げによる従業員の確保のほか、生産性を向上させるための自動化やデジタル化投資を一段と強化する必要性に迫られている。第2位は、「為替動向(円高の進展)」となった。米国による関税の引き上げ幅は、リスクとして意識されていた最も悪いシナリオに比べれば、一定程度のものに止まったものの、輸出収益には下押し圧力がかかることとなる。こうした下で、円高が大きく進行すれば、輸出収益はさらなる減少を免れないことから、為替動向に対する関心が改めて高まっているものと考えられる。今回、特徴的な結果と言えるのは、前回調査で第9位だった「フィンテック・AI活用・デジタル化の遅れ」が、「追加利上げ」と並ぶ同率4位に急上昇したことであろう。デジタル化の遅れは日本企業にとって長年に渡って意識されてきた問題だが、このところのAI技術の加速度的な進化や、AIの活用の一段と広がりを眺め、自社がデジタル化の遅れから競争力の強化や生産性の向上といった点で、他社と大きな差がつくことへの警戒感が急速に広がっている様子が示唆されている。(全文レポートより一部抜粋)

CFOならびにファイナンス組織の役割に関する調査

設問6. CFOの業務管掌範囲

税務・制度会計・財務はほとんどの企業において、CFOの管掌であることがわかった。加えて、IR・経営管理(FP&A等)についても半数以上の企業において、CFOの管掌下であるという結果となった。

また、経営企画・経営戦略といった戦略立案・実行そのものを管掌範囲としているCFOも4割超いるということが分かった。

サステナビリティについても3割の企業においてCFOが管掌している。経営企画・広報・経理といった複数の部門が関与することが多いと想定されるが、ここ数年のサステナビリティ開示に関する新基準の導入も相まって、CFOで管掌するケースが増えてきていると考えられる。(全文レポートより一部抜粋) 

設問10. 現在ファイナンス組織として力を入れている取り組み

ファイナンス組織が現在力を入れている取り組みとしては全体票・一位票ともに経営資源の適正配分(ポートフォリオ経営への参画)となった。前回調査時においても一位となっており、多くの企業にとって欠かせない取り組みであることがわかる。

次いで、一位票の上位はビジネスパートナー機能の強化(経営・事業戦略立案への参画)となった。グラフ6にあるように、半数の企業において経営管理やFP&AがCFO傘下であることからもうかがえるように、事業戦略そのものに入り込んでいくことに取り組んでいる企業が多いといえる。

全体票ではデータドリブン経営へのシフト(データ提供および意思決定への参画)、ファイナンス人材育成・人的資本の強化について、半数近くの企業が力を入れていると回答した。(全文レポートより一部抜粋) 

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