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今治.夢スポーツが生み出す社会的インパクトの可視化 2024

サッカーを通じて社会づくりに取り組む今治.夢スポーツのSROI分析レポート

近年、スポーツへの投資は社会的課題解決においても大きな意味を持つようになっています。本レポートでは、サッカーを通じて社会創りに取り組む株式会社今治.夢スポーツの事例を通じ、社会的投資収益率(Social Return on Investment, SROI)を分析することで、社会的価値の可視化を行いました。今回は、2023年1月に竣工したアシックス里山スタジアムの存在価値や利用価値を可視化した結果、前年より大きなインパクトが明らかになりました。

スポーツチームが生み出す社会的価値

スポーツチームが生み出す価値は、財務的価値と潜在的財務価値、社会的価値の3種類に切り分けられるという考え方があります。スポーツチームが生み出す「財務的価値」とは、チケット収入や放送権料など、興行活動を通じて直接得られる収益を指します。また、「潜在的財務的価値」は、パートナーシップ、チームロゴの使用、広告露出の権利など財務諸表には現れないものの、適切に活用することで将来的に財務的価値を生み出す可能性のある無形資産を指します。

一方で、スポーツチームが創出する「社会的価値」は、財務的価値や潜在的財務価値とは異なり、地域社会や他産業に波及する多面的な価値を指します。この社会的価値は、サポーターや地域住民など、チームに関わる幅広いステークホルダーに還元されるものであり、チームの活動が地域の活性化に寄与する重要な要素となっています。これまで、こうした社会的価値は定性的に認識されながらも、明確に可視化されることはほとんどありませんでした。しかし近年では、スポーツチームがもたらす社会的価値の「見える化」に対する関心が高まっており、その具体的な把握と評価が進められつつあります。

今治.夢スポーツとの本年度の取り組み

今治.夢スポーツは、2002年5月29日に設立され、愛媛県今治市を拠点とするサッカークラブ「FC今治」の運営を基軸に活動している企業です。「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」という理念のもと、青少年へのサッカー教育、指導者の育成、環境教育の推進など、多角的な社会貢献活動を展開しています。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は、2021年より今治.夢スポーツがもたらす社会的価値の分析を継続的に行っており、今年で4年目を迎えました。2024年度は、新たに2023年1月に竣工した「アシックス里山スタジアム」の存在価値および利用価値の可視化も対象に加え、より広範な視点からの分析を実施しました。

社会的インパクト分析結果

今年度は、里山スタジアムの2023年1月完成以降2年間にわたるSROIを累積的に分析しました。結果は以下に示すグラフの通りです。

このグラフの通り、5つの全ての事業区分においてSROIが1.0倍を大きく上回るという結果が出ています。そのため、この結果から、5つの事業全てにおいて社会的インパクトの観点から効率的な運営ができていると結論付けることができます。

事業別にみると、サッカークラブ運営事業の社会的インパクトは5つの事業区分の中で最も大きく可視化されました。里山スタジアムが完成した2023年以降、スタジアムの収容人数が大幅に増加したことがホームゲームの来場者数に顕著な影響を与え、社会的インパクトの増大にも寄与したと考えられます。

里山スタジアム関連事業のSROIは4.1倍となり、5つの事業区分の中で最も高い水準を記録しました。これは、今年度に里山スタジアムの存在価値と利用価値が新たに可視化されたことが主な要因です。2023年に建設されたこのスタジアムは、今治市民のシビックプライドを高めるとともに、市外の人々に対しても「里山スタジアムがあるから今治に行ってみたい」と思わせるような効果があると推察されます。

本レポートでは、上記の内容に加え、事業ごとにSROIを単年度ベースで比較した内容や、パートナー企業との共同取り組みの社会的インパクト分析の結果も記載しております。ご興味のある方はぜひPDF版をダウンロードしてご覧ください。

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