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延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズの把握に関する調査研究

本調査研究は、多様な保育ニーズに対応した保育の提供体制の確保・充実に向けた検討に資するよう、自治体、保育所等、保護者のそれぞれの立場からの情報を収集・整理することで、延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズ等の現状を明らかにすることを目的として実施した。 ※本調査研究は、令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業として実施したものです。

1.背景及び目的

≪背景≫

  • 令和6年12月に公表された「保育政策の新たな方向性」において、「働き方やライフスタイルが多様化する中において、子育て家庭における様々な保育ニーズに合わせたこどもの育ちの支援が求められており、病児保育、延長保育、一時預かりなど、多様な保育ニーズに対応した保育の提供体制の確保・充実を図る必要がある」とされている。
  • 就労形態の多様化等への対応として、やむを得ない理由により、保育時間を延長して児童を預けられる環境を整備する延長保育については、国からの補助事業である延長保育事業において、夜間の時間帯も含め支援が行われている※1。また、おおよそ午後10時まで開所する夜間保育所についても、国から運営経費の支援が行われているが、令和6年4月時点の設置状況(実施か所数)は、公営で1か所、民営で73か所の計74か所※2にとどまっており、午後10時以降の時間帯や、近所に夜間保育所等がない場合の保育ニーズに対する受け皿の整備が必ずしも十分ではないのではないかとの懸念がある。

≪目的≫

  •  本調査研究は、上述のような背景を踏まえ、自治体、保育所等、保護者のそれぞれの立場からの情報を収集・整理することで、延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズ等の現状を明らかにすることを目的として実施した。

1 こども家庭庁. 令和7年3月, 延長保育事業の実施について(通知).(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/983bf65e/20250530_policies_hoiku_139.pdf)

2 こども家庭庁.令和6年度 夜間保育所の設置状況(令和6年4月1日時点).(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/a5cc567a/20250324_policies_hoiku_136.pdf)

2.調査研究の概要

本調査研究では以下の事項を実施した。

(1)自治体、保育所等、保護者に対するアンケート調査

  • 延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズ等の現状を明らかにするため、全国の自治体、保育所等及び保育所等を利用する保護者を対象としてアンケート調査を実施し、それぞれ、1,119件、10,133件、21,513件の回答が得られた。なお、自治体は悉皆、保育所等はすべての認可保育所、認定こども園、地域型保育事業所、認可外保育施設に対して自治体を経由して調査への協力依頼を行った。また、保護者に対しては、(早朝) 7時より前、(夜間) 20時以降、(休日) 日曜・祝日、(その他) 土曜のいずれかの曜日・時間帯に、こどもを定期的に預けているすべての保護者に対して、保育所を経由して調査への協力依頼を行った。

(2)自治体、保育所等、保護者に対するヒアリング調査

  • 延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズ等の現状について、アンケート調査ではつかみきれない内容を把握・整理するために、自治体5件、保育所等5件及び保育所等を利用する保護者5件の計15件のヒアリング調査を実施した。

(3)まとめ(本調査で得られた主な知見)

  • 上記(1)、(2)の調査結果を基に、主に以下の切り口で、調査対象別に調査結果や得られた知見を整理した。また、それぞれの調査対象ごとの結果を総合的に捉え、延長保育及び夜間保育を含めた保育利用時間等の実態及び早朝・夜間・休日等を含めた保育ニーズ等の現状について整理を行った。

1.自治体向け調査の主な整理軸

・早朝、夜間帯、休日等に係る子育て支援施策実施状況

・事業実施上の課題

・保育ニーズの把握方法等 など

2.保育所等向け調査の主な整理軸

・保育所等の開所曜日・時間

・時間帯別の利用可能施設

・時間帯別の利用児童数

・保育を利用する保護者の時間帯別の特徴

・延長保育、早朝、夜間帯保育を行う上での課題 など 

3.保護者向け調査の主な整理軸

・保育等の利用時間

・こどもを預けている曜日

・預け先の選定理由

・保護者の就業状況、勤務先の業種 など

≪本調査で得られた主な知見≫

  • 自治体調査では、夜間帯等の多様な保育ニーズに対応するべく、既存の枠組みにとらわれることなく、独自事業を実施するなど、試行錯誤をしながら対応を進めている自治体もあった。
  • 夜間帯の保育を利用する保護者の職業としては、「飲食関係・美容系(美容師、ネイリスト、エステティシャン等)・看護師、保育士、自営業者」などが保育所等調査で挙げられた。保育所等ヒアリングで、夜の飲食業の方を支えたい、といった声は聞かれたが、本事業の保護者ヒアリングでは、当該職業に該当する方からは話を聞くことはできておらず、そもそも、アンケートで多くのご回答をいただけなかった可能性もあり、ニーズ把握の難しさがうかがえた。自治体と、実際に夜間帯の保育を提供している施設とで課題を共有するなどしながら多面的にニーズを把握し、どのように保育提供体制を整備していくのがよいかを検討していくことが望まれる。
  • 夜間帯や休日の保育ニーズは少数であり、ニーズが固定的ではないことが挙げられるため、保育施設の安定的な運営にはリスクがあるという状況が示された。このような中で、特に認可外保育施設においては、公的支援がない、もしくは十分ではない場合もあり、持続可能性に課題を抱えながらも、認可外保育施設を運営する法人の“こどもやその家族を支えたい”という想いによって採算度外視で支えられている面があることも明らかになった。保育が必要なこどもへの保育保障をする民間事業者が、十分な公的支援なしでリスクを負う状況は改善の必要があると考えられる。
  • 自治体、保育所等のいずれの調査においても、「人材(保育士)の確保」が夜間・休日保育提供の最大の課題として挙がっている。保育士志望者は日中保育をイメージして入職するため、夜間・休日勤務への心理的・実際的ハードルが高く、離職・敬遠の原因になっていると考えられる。
  • 保護者の多様な働き方を支えるためには、現場の声もヒントにしながら夜間帯や休日等の保育の持続可能な保育提供体制の在り方を検討していく必要性があるといえる。自治体や施設においては、こうした多様な働き方への対応の工夫として、ショートステイ・トワイライトステイの実施と組み合わせることで、柔軟なサービス提供(利用)を可能としている事例も見受けられた。一方で、早朝保育、夜間帯保育が「こどもまんなか」ではない、受け皿があるがゆえに本当に保育が必要ではないと考えられる場合に預けてしまう人もいる、働き方の見直しに取り組むべき、といった旨の声が保育所等調査で聞かれたことにも留意が必要であると考えられる。