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ウガンダの難民とホストコミュニティによるビジネスアイデア実証事業終了報告

ウガンダで実施したビジネスアイデアコンテストの入賞社BEMCOSとBUAKによる約5か月のビジネスアイデアの実証事業が2025年12月に終了いたしました。本レポートでは事業を通じた成果を報告いたします。

コンテスト結果とビジネスアイデア実証事業の概要

2025年7月10日に、ウガンダ政府と国際協力機構(JICA)主催のもと、ウガンダの難民およびホストコミュニティが直面する課題解決に向けたアイデア発掘を目的とするビジネスアイデアコンテストがウガンダで開催されました。ウガンダ国内の難民およびホストコミュニティから寄せられた50件を超える応募から、Bidibidi Electronic Waste Multipurpose Cooperative Society Limited(BEMCOS)とBioenergy Umbrella Association of Kyangwali Limited(BUAK)が入賞企業に選ばれました。両社には、副賞として1,200万ウガンダシリング(約3,457米ドル)相当の実証事業支援金と、JICAコンサルタントによる実証事業の実施支援が提供されました。両社は事前に策定した事業計画や予算に基づいて提案したビジネスアイデアの実証事業を昨年8月から開始し、12月に約5か月に渡る取り組みが終了しました。以下では、両社の事業概要、ビジネス実証の成果、事業上の課題を紹介します。

BEMCOS

ビジネスアイデア概要

BEMCOSは、ウガンダのBidibidi難民居住区で発生したソーラーランタンやリチウム電池などの電子廃棄物の修理や再生バッテリーパックの製造、外部から調達した新品のソーラーランタンを販売するビジネスアイデアの実証事業に取り組んできました。同事業はこれまで、外部支援機関の援助に基づき、無償で地元コミュニティに対して電子機器の修理サービス等を提供していましたが、本事業を機に持続可能なビジネスモデルの構築を目指しました。

 
実証事業

達成事項

8月から開始されたBEMCOSの実証事業では、Bidibidi難民居住区の各ゾーンに設けられた5つの拠点を中心に、使われなくなったソーラーランタンやリチウム電池の回収と修理や再利用、新しいソーラーランタンの販売を進めてきました。事業期間を通じて計773点の故障品を回収、そのうち601点を修理、459点を納品、約420万ウガンダシリングの売上を達成しました。同事業開始前は無償で修理サービス等を提供しており、事業開始後は支援金を活用して有料サービスへの移行が目指されました。競合他社との価格競争力を確保しながら段階的に割引率を縮小することで、顧客離れを生じさせることなく、本事業期間内に黒字水準までの引き上げに成功しました。
また、本事業ではメンバーの能力強化を目的としたトレーニングも併せて実施しました。トレーニングは9月と10月の2回に分けて行い、電子機器の修理に関する技術的知識のインプットに加え、実務を想定したハンズオンにより現場で修理を担える技術者の育成を図りました。これにより人材育成が進み、業務効率が向上しました。さらに、マネジメント体制の見直しを行い、従業員のモチベーション向上にも取り組んだ結果、売上の増加につながりました。

課題

修理業務においては、必要なスペア部品の欠品や高度な技術を要する案件が一定数発生しており、対応できる技術者が限られることで、修理に時間を要して迅速な対応が難しいケースがありました。修理の遅延は、機器を預けた顧客の不安につながるため、各拠点に配置した地元出身のスタッフが状況を丁寧に説明し、進捗を適時共有するなど、信頼維持に向けた対応が求められました。また、サービス提供エリアの拡大やメンバーへの賃金支払いに充てる資金が慢性的に不足している点も主要な課題であり、今後の事業継続・拡大に向けては、収益性の一層の向上が不可欠です。

今後の予定

本事業を通じて黒字化に至ったビジネスモデルを持続的に運営するため、上記の課題に対する取組を継続します。具体的には、修理技術の向上および新規技術者の育成に向けた継続的なトレーニングを実施するとともに、顧客との関係強化を図ります。あわせて、離職・欠勤の抑制に向けてマネジメント体制を強化します。さらに、日々のオペレーション改善を目的として、全メンバーを対象とした財務管理およびリーダーシップ研修の実施も検討しています。並行して事業拡大に向け、修理可能品の回収ネットワークの拡充・強化、業績が伸び悩む拠点の改善に取り組むとともに、中長期の成長戦略の具体化を進めていきます。

▼技術研修に参加するスタッフ 

▼収集された電子廃棄物

▼廃棄電池から再生したバッテリーパック

BUAK

ビジネスアイデア概要

BUAKは家畜の糞などの有機物からガスを生成する装置「バイオダイジェスター」と、ブラックソルジャーフライ(BSF)というハエの養殖を通じて有機肥料や動物飼料を生産するシステム(BSFキット)を販売する事業モデルの実証に取り組んできました。同事業は低所得世帯でもシステムを導入できるように、製造の過程で発生する副産物である液肥や昆虫の排泄物を活用して購入時のローン返済する「loan to own」制度を導入しており、ビジネスを通じた難民およびホストコミュニティの持続可能な生活基盤の確立が目指されました。

 

実証事業

達成事項

実証事業では、バイオガス発酵装置とBSFキットの導入候補となる世帯のマッピングを実施し、バイオダイジェスターを2基設置、BSFキット26台を制作しました。BSFキットは、初めに事業適合性の高い顧客をマッピングした後に、BSF飼育の体制が整備されており、利用に対する意欲の高い顧客に絞ってから段階的に配布を進めました(10台配布済み、16台は配布待ち)。副産物を活用したローン返済制度については、現在はバイオダイジェスターの導入先1件、BSFキットの配布先5件で返済が始まっています。
また、バイオダイジェスターで生成される液肥やBSFの幼虫の糞を再利用して販売する事業では、デモンストレーション用の畑を造成し、肥料としての有効性の実証を進めた。その結果、外部の協力機関との連携構築にも成功しました。
技術体制の面では、バイオダイジェスターの建設やBSFキットの作成を当初は外部の業者が担当していましたが、事業期間中のトレーニングを通じて技術者育成を進めるなど、技術の現地化を推進しました。

課題

一方で、現在事業はボランティアメンバーによって支えられており、彼らに賃金を支払うために十分な売り上げが立っていないことや、運営業務に十分な人手が足りていないことなどから事業の継続性については依然として課題が残っています。また、BSFキットの運用に関しては、一部の導入先でBSFの飼育管理が不十分であったり、支援に依存してシステムの活用の意欲が低いことなどもあり、システム利用時の副産物の生産が想定を下回る事態が発生しました。また、バイオダイジェスターの設置に関しても、導入先が当初の負担分を払いきれないことで、BUAKの負担割合が増加し、ローンの金額が増加することもありました。上記を踏まえると、バイオダイジェスターやBSFキットの配布先の精査、配布後のフォローの拡充などを通じて、安定してシステム運用のサポートとローン回収を実現することが今後の課題となります。

今後の予定

今後は、「loan to own」制度確立に向けてデジタルでのローン追跡・モニタリングシステムの開発・導入を進める方針です。あわせて、ローン返済の仕組みについても、定期的なレビューを通じて改善を続けていきます。本事業終了後も、これまで得られた成果を基に、事業は継続して実施していきます。

▼BSFキットを利用して土壌の質を向上させる過程

▼新設されたバイオガス発酵装置

▼ウガンダで実施したビジネスコンテストのハイライトは以下の動画から視聴いただけます

その他のファイナリスト

ウガンダで実施したビジネスコンテストでは、入賞には至らなかったものの、他のファイナリストからも難民およびホストコミュニティの課題解決に向けた革新的なビジネスアイデアが提案されました。以下では、ファイナリストのビジネスアイデアをご紹介します。

WaterkitPay

WaterKitPayは、難民およびホストコミュニティ向けの衛生およびクリーンエネルギー製品の購入を支援する資金調達プラットフォームです。オンライン上のマーケットプレイスと小口金融機能が備えられており、利用者はデジタルウォレットを活用して製品やサービスの購入・貯蓄が可能となります。これにより、生活に不可欠な資源へのアクセスが向上し、持続可能な自立を後押しします。

Smart Skills Innovation

Smart Skills Innovationは、難民およびホストコミュニティ向けのデジタルスキル学習を支援するプラットフォームのサービスで、スマートフォンや地域拠点を通じてプログラミング、モバイルマネー、フリーランス、起業などのオフライン研修を提供します。事業では自立支援や失業率低減を図るとともに、地域ニーズに沿った学習コンテンツや仲間同士のメンタリングを通じて協働を促進します。

 

お問い合わせ

JICAビジネスアイデアコンテスト運営事務局 (有限責任監査法人トーマツ)
Email: nanminpitch-office@tohmatsu.co.jp

 

主催

ウガンダ政府

国際協力機構 (JICA)