世界の自動車産業は、電動化、ソフトウェア化、産業政策の変化を背景に、大規模な変革期を迎えている。こうした構造変化の中で、消費者が自動車に求める価値も、従来の品質や性能に加え、モビリティ体験全体のニーズへと広がっている。本調査は、世界27カ国・28,553人を対象に実施した調査結果をもとに、特に主要8市場に焦点を当て、車両の電動化、今後の購入意向、コネクテッド、SDV受容、自動車整備の5つの視点からインサイトを提示する。
2025年10月から11月にかけて実施した2026年度版グローバル自動車消費者調査では、次の5つの主要なトレンドを取り上げている。
グローバル自動車消費者意識調査は、企業が戦略と投資の優先順位を決め、より良いポジションを築くための重要なインサイトを提供する。より詳細な調査結果については、レポート本編を参照いただきたい。
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また、主要8地域以外の全対象国の調査結果を含むさらに詳しい情報については、下記リンクよりオンラインのダッシュボード(英語のみ)にアクセスできる。本レポートのインサイトと併せ、皆様にとって有益で、役立つ情報となれば幸いである。
2026 Global Automotive Consumer Study
電動化では、燃料費削減が電動車(ハイブリッドを含むEV)を検討する最大の理由となっており、またBEVに対する懸念も依然として充電時間、航続距離、バッテリーの費用・性能が挙げられるなど、全体的なトレンドに大きな変化は見られない。特に日本では、自宅充電を前提とする消費者が多いにもかかわらず、充電設備の新規設置が課題となる可能性が示されており、BEV普及においては車両性能そのものに加え、生活環境に即したインフラ整備の重要性が浮き彫りになっている。こうした背景から、消費者は電動化を志向しつつも、使い勝手と価格のバランスを重視し、ハイブリッド車を含む現実的な選択をしていると考えられる。
購買行動に目を向けると、ブランド選択の判断基準は情緒的なイメージよりも、価格、車両性能、製品品質といった基本価値に重きを置かれていることに変化はない。日本の消費者は主要8市場の中でもブランドロイヤルティが高く、自国メーカーを選好する傾向が強い点も同様である。
一方で、改めて情報収集チャネルに目を向けてみると、SNSを中心としたオンラインマーケティングが主流となっている現在においても、ディーラー販売店や公式ウェブサイトといった自動車メーカーの公式チャネルが主要な接点である点は注目に値する。オンライン上の接点を通じたブランドコミュニケーションも当然重要であるが、購入体験においてはやはり「お得な価格で購入できること」「価格の透明性」「実車を確認できること」が重視されており、公式チャネルかつ対面での納得感のある価格設定と信頼できる購入プロセスが選ばれる条件となっている。
また、コネクテッドに対する受容は、特に先進国市場において慎重な傾向にある。多くの消費者は安全・安心につながる機能には追加料金の支払い意向を示す一方で、インフォテイメントや自動運転など利便性を高める付加価値機能については、特に日本の消費者で相対的に低い傾向が見られた。
さらに、位置情報、デバイス同期、車内カメラなどのプライバシーに関わるデータ共有に関して、インドを筆頭に各国で強い懸念が示されていた。一方で、日本の消費者のデータ共有への懸念は、他国と比較すると低い傾向が見られた。
「SDV」は自動車業界としてバズワード化している一方で、消費者目線での重要度を把握するため、今回の調査からSDV機能に対する消費者の受容度を測る項目を追加した。ここでは、SDV化によって消費者にもたらされるパーソナライゼーションや、購入後の機能向上といった提供価値の面から消費者の受容意向を調査している。
SDVの有用性やAIによる車両カスタマイズ機能への利用意向は新興国市場の消費者では高い一方、先進国市場では追加料金の支払い意向も含めて明確に低い結果となった。また、AIの車両実装が中国ほど進んでいない日本において、AIによる車両カスタマイズ機能の利用意向を示している消費者は約3割と、主要国の中では最も低い結果となっていた。
さらに、OTAアップデートにより安全性や性能が向上し、保有期間の延長につながる可能性についても同様の水準で意向が示されていた。今後、SDV車両の普及が進むにつれ実際に保有期間が延長される場合、OTAによって追加機能のサブスクリプション購入をいかに実現できるかが、自動車メーカーの収益確保に大きな影響を及ぼすことになるだろう。
購入後の接点となるアフターサービスもブランド評価を左右するため、今回は自動車整備についても項目を追加している。整備事業者の選定では何よりも「信頼」が最重要要素であり、整備体験では価格と整備内容の透明性、実施内容の丁寧な説明が重視されている。商品力だけでなく、販売後も含めた一貫した顧客体験の質が、長期的なロイヤルティ形成に直結する。変化の激しい時代だからこそ、先進性の訴求に加えて、価格と信頼性をどう共存させるかという視点も欠かせないだろう。そのためにも、自動車メーカーは改めて自社のディーラーネットワークとの連携を強固にし、ブランド価値を高めていく必要がある。