企業が直面する税関申告リスクは、グローバル市場の拡大や関税政策の変化等により複雑化しています。このような状況に対応するため、専門家の知見とAI技術を活用した税関申告リスクのアナリティクスサービスを提供し、リスク管理を支援します。
グローバル化の進展に伴い、企業が海外取引を拡大する中で、関税に関する課題はますます複雑化しています。特に、2025年4月以降、米国の関税政策の影響により、関税に関する現状の可視化・影響分析などの短中期的な対応に加え、サプライチェーンの見直し等の長期的な対応まで、関税に対する注目が世界中で高まっています。また日本国内では、COVID-19の影響によって減少していた税関事後調査(税関が、輸入貨物の通関後に、輸入者の事務所等を個別に訪問して、納税申告が適切に行われているか否かを事後的に確認する調査)件数が、COVID-19前の水準に戻るなど、当局の動きも活発化しています(2020年度:715者→2023年度3,576者)。
このような背景を受け、デロイト トーマツでは、デロイト トーマツGTA&テクノロジーズ株式会社(以下GTAT)の関税・税関に関する専門家が長年培ってきた税関対応ノウハウにAI技術を組み合わせ、企業の方々の事後調査対応の負担を軽減・追徴リスクを軽減するサービスを提供します。専門家のノウハウとAIによるデータ解析や異常検知技術を融合させ・活用することで、定期的なリスク分析に加え、実際に事後調査が実施された場合の対応・フォローアップまで、一貫してサポートします。
1. 課題・ニーズ
税関の事後調査は、毎年、約4,000社に対して実施されており、そのうち、約7割の企業が輸入貨物に関する関税等の申告漏れを指摘され、追徴課税を受けています。これは、税関側は、事後調査に関するノウハウを活用し、事前に、企業の申告データ等を分析・確認した上で調査を行っている一方で、多くの企業には、関税や・データ活用に関する専門家が少ない中、貨物の引き取りに焦点が置かれ、日々の業務の中で、正しい納税申告が行われたかどうかチェックを行うことが難しい状況にあります。
2. 分析概要
税関事後調査に関するGTAT専門家の知見×AIの活用により、関税等の納税申告の分析に関する業務を高度化させることを通じて、追徴課税に関するリスクの軽減、チェック業務の省力化(コストの削減)及びコンプライアンス強化といった複数の課題を同時に実現することを目指すものです。
具体的には、企業が保有する税関への申告データを活用し、輸入貨物に関する関税の申告誤りが想定される取引を「シナリオベースのアプローチ」や「AI(機械学習)活用のアプローチ」などを活用し、効率的・効果的に抽出します。(図1)
本サービスは、税関事後調査に関する専門家の知見とAIの力を掛け合わせ、税関申告リスクを低減と適正なプロセスを実現するものです。
このサービスでは、複数のリスクシナリオに対応する複数のリスクスコアを統合する独自のアルゴリズムを活用しています。この技術は2022年9月に特許(特許番号:第7143545号)を取得している技術です。
デロイト トーマツ グループは、技術革新を通じて税務リスクマネジメントの新たなスタンダードを築き、変化するステークホルダーの期待を適時的確に捉え、それらに応え続けていきます。